なぜoasisは解散から10年経った今なお”ロックンロールスター”として君臨しているのか

さて、今日はoasisについてです。あの言わずと知れたマンチェスター育ちのゲジ眉ロックンロールスター、ギャラガー兄弟です。
oasisといえば先日knebworth 1996公演の映画が全世界上映されてましたが皆さんも行かれたのでしょうか。最高でしたね。
やっぱりknebworthのcast no shadowとslide awayは何度聴いても飽きないですね。
まだ見られていない方はDVDでぜひ。

前置きもほどほどに本題です

ーーーーーーーーーーーーーーー

oasisの歴史


いまさらこの記事を読む人の大半は既に知ってるよって内容だとは思いますが簡単に

1991年:Gt. ボーンヘッドらのバンド "the rain"にリアムが加わる形でoasis結成
同年:ノエル加入
1993年:グラスゴーのライブに来ていたアラン・マッギーの目に止まりクリエイション・レコーズと契約
1994年:1stシングル”Supersonic"
同年:1stアルバム”Definitely Maybe” 全英1位
1995年:2ndアルバム”(What's the Story) Morning Glory?" 全英1位・全米4位
1996年:knebworth公演 2日間で25万人動員
1997年:3rdアルバム”Be Here Now" 全英1位・全米2位
2000年:4thアルバム"Standing On the Shoulder of Giants"
2002年:5thアルバム”Heathen Chemistry"
2005年:6thアルバム"Don't Believe the Truth"
2009年:7thアルバム”Dig Out Your Soul"
同年:兄弟喧嘩を理由にノエルが脱退する形で解散

ものすごーーーく端折りましたがざっとこんな感じです。
改めて見ると彼らはとんでもないスピードでの成功収めてますね、、
そして2009年の解散から今年で12年目となるわけですがどういう訳かoasisはロックンロールのアイコンとしてあり続けてます。
定期的に映画は作られるわ、ちょっと兄弟の小競り合いをすればネットニュースになるわ、しばしばcmに使われるなど話のタネがとにかく尽きない。

そして若者のリスナーが多いことも特徴です。
体感ではありますが、僕のような大学生でも周りにoasisを知っているっているってひとは結構多いです。多分20代におけるUKロックバンドの知名度で言ったらビートルズ、クイーンに次いで3位くらいにつけるんではないかというほど。
そのくらいリスナー層に若者は多いですし今この瞬間にも10代のリスナーを取り込み続けています。
僕自身、oasisを聴くようになったのが解散後のことですし全盛期にいたっては母のお腹にすら存在していなかったので当時の空気感はよくわかりませんが、oasisレベルの成功を収めた他のバンドに比べてもそのような傾向があるように思います。

かなり寄り道しましたが、ここからoasisが現代のロックンロールスターたる所以について考えていきます。
乱雑な文になるかと思いますがよければ最後までお付き合いください。

ーーーーーーーーーーーーーーー

oasisの魅力

・圧倒的なキャラクター性

oasisというバンドを語る上で外せない存在のギャラガー兄弟。
彼らはマンチェスターの公営住宅の母子家庭の三人兄弟として育ちます。
そして何の奇跡か二番目の兄ノエルは世代一のソングライター、末っ子リアムは世代一のシンガーという並外れたキャラクター性を持っています。
そしてその2人共が超弩級の毒舌を吐くものでたびたび国内外で取り沙汰され、メディアを賑わせます。

ときに他バンドをディスり、ときに大先輩をディスり、ときに薬物使用を大っぴらにしたり、、、と、とにかくまあやりたい放題の限りを尽くすわけです。(音楽の才能がなければそんじょそこらの南大阪のヤンキーと何も変わらんのですよもはや、、)
そんなニュースに目が止まり一度彼らのステージを見たらあら不思議、圧倒的な実力の前に一瞬で取り込まれてしまいそのときには既にファンになっています。
やってることは今で言う炎上商法のようなものですが違うのは彼らには圧倒的な才能と実力があることに他なりません。

また、カリスマロックスターでありながらも、まるで友達かのような目線の低さで飾らないステージでの姿も魅力です。

1996年のMaineroadでリアムが着てるこのumbroのドリルトップ。
今でこそファンの間で人気になって二次市場で30000〜くらいで出品しても即売するような代物になってますけど、その辺の人がこの服着て歩いてたら薄給で働く田舎の体育中学教師にしか見えないですよ。
これだけではなくadidasのジャージであったり、どんなに大きなステージ上でも煌びやかに着飾ることなくその辺の店で買ったダル着に身を包んで、ビール片手に歌う姿はいい意味でそこらへんの兄ちゃんて感じがします。
最近のノエルなんかは革ジャンにいかにもなスカーフ巻いたりして気取ってますけどね、、、

その他にもいまだにマンチェスタシティの本拠地で群衆と一緒にシティを応援をする姿がたびたびカメラで抜かれたり、庶民的なパブで安酒を飲みながら弾き語りしてみたり、家の前で出待ちするファンと笑顔で記念撮影したり、どこまで成功して金を持っても”俺たちのoasis"というイメージを抱かせてくれます。

・成功のスピード感とスケール

当時のロックンロールシーンといえばやはりニルヴァーナに代表されるグランジブームの真っ盛りです。とにかく陰鬱、とにかく自己嫌悪。
まるでイギリスの空模様のような時勢の中、肝心のイギリスはというと80年代後半からのストーン・ローゼズらのマッドチェスター、90年からはマイ・ブラッディ・バレンタインらのシューゲイザーといくつかムーブメントはあったもののやはりシーンの中心はアメリカでした。

そんなグランジシーンも1994年4月のカート・コバーンの自殺によって割れた風船のように一気に終焉を迎え、世界が次なるロックンロールスターを今か今かと涎を垂らしながら待望していた折、入れ替わるように同月にシングル”Supersonic"でデビュー、さらに4ヶ月後の8月に1st”Definitely Maybe"の発売を迎えるわけです。
マイブラと同じレーベルということもありイギリス国内で徐々に知名度を高めつつあった期待の若手バンドという思いで蓋を開けてみると飛び込んでくるオープニングナンバーが”Rock’n’Roll Star"
(先に言っておきますがoasisというバンドの真髄は全てこの曲の中にあります。)

人々は度肝を抜かれました。それもそのはずデビューしてまもないバンドがいきなりサビで「今日から俺はロックンロールスターだ!」とあまりにも傲慢に叫んでいるのだから。
しかしそんな杞憂をよそ目に、歪んだギターサウンドとがなるような歌声はグランジで陰鬱で曇ったロックンロールシーンの灰色の空に風穴を開けるように全てまとめて吹き飛ばしてしまうわけです。

I Hate Myself And I Want To Die"一色だった世の中に”Live Forever”と叫ぶように風雲児として産声を上げた彼らは、これこそ求めてたロックンロールだと言わんばかりに担ぎ上げられ、あれよあれよと一年足らずでイギリスロックシーンの頂へと立ちました。
そして翌年に満を辞して発表した2nd  ”What's the Story?(Morning Glory)"。
1stとは打って変わって"Don't Look Back in Anger"や””Wonderwall”のようなメロディアスでシンガロングするような曲が主体となったこのアルバムでついに世界のロックスターとなります。

(個人的にこの方の訳が一番oasisの世界観を上手に反映していて素晴らしいと思います。
アホなoasisファンからの嫌がらせでoasisの訳はやめてしまわれたそうです、、、
反省しろよバカファン共、そして願うことなら訳を再開して頂けるともれなく僕の人生がさらに豊かになるので何卒よろしくお願い申し上げます。)

余談ですがここでRock'n'Roll Star”について
先ほどこの曲をoasisの真髄として紹介しましたが、ノエル自身にこの曲が最高傑作の一つで1stの"Live Forever"と”Cigarettes&Alcohol" の3曲で言いたいことのほとんどを書いたと言わしめるほどです。
デビューアルバムのオープニングナンバーとしてはあまりにも尖っていて傲慢。実際、発売前には2人の観客に対して演奏することや観客から嘲笑を受けることもあったようです。
しかしこの曲を書いた数年後には実際にロックンロールスターへと上り詰めているわけですからそこが彼らのすごいところですよね。
”Definitely Maybe"を超えるアルバムは世界に存在するかもしれませんが、この曲を超えるオープニングナンバーは存在しないしこの先も生まれないのではないかと思ってしまいます。

ここからは個人的な推測ですがこの曲の背景にはストーン・ローゼズの影響がとても大きいのではないかなと思います。
何を隠そうリアムの音楽の原体験は10代の頃に行ったストーン・ローゼズのライブでした。そこで見たイアン・ブラウンの圧倒的なフロントマンとしての存在感に魅せられたリアム少年は音楽の道へと足を踏み入れるようになります。

そしてそのストーン・ローゼズのファッキン大名曲こそ”I Wanna Be Adored”です。曲名を直訳すると「俺は崇拝されたい」となり、曲名からして"Rock'n'Roll Star"を彷彿とさせます。
作詞作曲こそノエルによるものですが、「オアシスの曲は全て俺たちのことを歌ってる」というとおり、ローゼズを聴いて育ち、憧れるリアムの姿を見たノエルがその代表曲である"I Wanna Be Adored"を飛躍・進化させて書き上げた曲こそ"Rock'n'Roll Star"なのではないかと思っています。
以上、史上最高のオープニングナンバーの紹介でした。
また話がかなり逸れましたが、本線に戻ります。

・シンプルな進行からなる曲の再現性

これまで長々と2人のキャラクター性に多くの焦点を当てて話してきましたが、全ての大前提としてオアシスはなにより曲の素晴らしいということがあります。いくらビッグマウスのキャラでメディアの注目を集めようと集まるのは一見さんであり曲がダメなら向かう先は一発屋でしかありません。

しかしオアシスはそうでは無い。
なぜなら曲が良いからです。
あの攻撃性からは想像もできないほどにオアシスの曲は、静的でとにかく優しい。
ライブ映像なんかを音を消してみるとまじでつまんないですよ。長いMCもなく立って歌ってたまにビールを飲むくらい。シンバルを蹴りあげるでも、歯でギターを弾くわけでも、ステージで○○○を出して逮捕されるでもありません。

ただそれだとしても曲がいい。むしろ余計なパフォーマンスなど無粋と言わんばかりの姿でただ歌う。
そしてそれに付随するかのように最盛期までのオアシスの曲はとにかくシンプルです。2ndあたりまでは難しいコードもドラムもほとんどでてきません。
でてこないんじゃなくてそんなことできないんです彼ら。

ノエルはカーペッツでローディーとしての下積みはあれど、音楽理論をきちんと学んだわけでもありません。更にバンドメンバーは弟のヤンチャ仲間、特にドラムのトニーなんか酷いもんです。お遊戯会かってくらいのズンタンドラムを叩きます。それ故、バンドメンバーに嫌われてはいじめられ、MVで土に埋められ、ついには2ndの制作途中でバンドからクビにされます。
ああ、可愛そうなトニー。
そんな状況で複雑なコード進行を使い、音の詰まった曲を作るなんて不可能でした。俗に言う無い袖は振れないというやつです。
じゃあどうすればいいかってシンプルで簡単な曲で売れればいい。
それができるならみんなやっとるわ!ってツッコミが入りそうですがそれをやったのがノエル・ギャラガーという男です。

よくノエルの曲はミニマムだなんだと言われるけど狙ってミニマムにしたのではなく、少ない手札でできる限りのことをしたら偶然ミニマムな曲ができたというのが実際のところだと思います。多分。
しかしそんな複雑なものなどいらないのです。例えるならノエルの曲はA5ランク和牛。必要なのは最高級な塩だけ。タレなど雑味に過ぎません。
ではオアシスにおける塩とはなにか。ここまで読んでいただけた方ならわかると思います。
そう、世紀のフロントマン、リアムの歌声です。
いい肉にいい塩振れば不味いわけがないじゃないですか。

そしそのシンプルな曲作りの副産物としてできたものが様々な楽曲のcopyable性です。
それを証明するかのようにオアシスはデビュー以降とにかくコピーされていきます。武道館を埋めるようなメジャーバンドから学祭のなんちゃってバンドまで、とにかく広い範囲で誰かのコピーやインスピレーションとなりいつの間にかオアシスサウンドは誰もが1度は耳にしたことがある普遍的なものとして受け入れられました
2000年代あたりにでてきた邦ロックバンドなんてほとんど影響受けてますしね。受けてないバンドを探す方が難しいくらいだと思います。

https://music.apple.com/jp/album/e/1536363189?i=1536363199

(代表例だとアジカンとか[Alexandros]とかが有名ですよね。
この曲も3:25あたりからLive Foreverのギターソロがそのまま引用されてたり。[Alexandros]の前身の名前の[Champagne]が"Champagne Supernovaからきてたり。)

おそらくoasisの寿命の長さはこの構成の普遍性で成り立ってます。
あまり音楽を聞かないライトリスナーにも耳馴染みが良くて、新規リスナーが参加しやすいのでバンドの新陳代謝がいいというのは間違い無いと思います。
ヘビーリスナーからするとつまらないって評価を割とされがちですけどそこはしょうがないですよね。
ライトリスナーがゴリゴリのプログレやらオルタナを聴いても大半が「何やってんだこれ」って思うのと一緒で、音楽以外のどの分野も言えることですが「シンプルでライト層受けがいい」と「アヴァンギャルドでヘビー層受けがいい」を共存させることがそもそも二律背反するような存在にあるのでどうしてもそういう評価はされちゃいます。
(そういう意味ではスピッツというバンドはその存在に日本で一番近いと思うのでほんとにすごいなぁ…と思います。)

最後に

以上が僕が考えるoasisが今なおロックンロールのアイコンである理由です。
これを書くにあたって改めてoasisを全部聴きましたがやはりどれも耳馴染みがよくていいですね。
リアムはもちろん最近はノエルからもリアムの話題に触れることが多くなっている印象があるので昔ほど関係は悪くなさそうだし、今のうちにとりあえず武道館にでもきてAcquiesceやってくれよ。ほんとに。

去年の11月に描き始めたこの記事も就活やらなんやらでバタバタしている間に気づけばもう4月になり、年度が変わって大学4年になってしまいました。
最初の方にどんな文調で何を書いてたかを実際ほとんど覚えていないのでかなり冗長なものにはなっているかと思いますが、忙しくて全部推敲してる暇がなさそうなのでここらで適当に切り上げで放流します。

次はThe Libertinesについてでも書こうかなと思ってましたけど、イギリスのバンドについて続けて書くのもなんなので、和製Libertinesとかいう誰がつけたんそれ見たいな異名で呼ばれがちなandymoriについてでも書こうかなぁと思ってます。元気があれば。

それでは!






この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?