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人と地域を元気にする地産地消の給食改革! 【第2弾=新潟県新潟市①】

給食を提供する株式会社の発展的な事業展開モデル①

【この連載について】
この連載は、総務省地域力創造アドバイザー/食環境ジャーナリストの金丸弘美さんが、地産地消の給食に取り組む日本全国の画期的な事例を取材したルポルタージュです。
第2弾は、新潟県新潟市で給食サービスを中心に多彩な事業展開を行っている株式会社総合フードサービスを全4回でまとめていきます。
     第2回       第3回        第4回

▼新潟市の幼稚園・中学校などの給食を手掛ける

 新潟県新潟市西区山田にある「株式会社総合フードサービス」(代表取締役・長嶋信司)は、新潟市の幼稚園給食、中学校給食、社員食堂、農産物の加工など幅広く手掛ける会社だ。自社で大型の給食センターをもっており、そこで給食の調理から配達・食器の洗浄まで手掛ける。このほかにグループ会社で、農業を行う健幸食品、弁当販売や炊飯事業を行う叶味家がある。従業員は215名。このうち管理栄養士が7名、栄養士が5名いる。     

1B_新潟フードサービス外観

◆株式会社総合フードサービスの給食センター施設
 

 株式会社総合フードサービスは代表の長嶋信司さんのお父さんが創業した会社だった。
 「父が栄養士でした。佐渡ヶ島の病院の栄養士として勤めた。そのあと新潟に移り自分で給食会社を作り、社員食堂、幼稚園給食を始めたんですね。幼稚園給食を始めたころは栄養士で給食の会社の社長でした。自分で会社を起こしたんです」
 1966年(株)総合給食サービスとして設立された。(株)総合フードサービスに名称変更となったのは1979年のことだ。 
 長嶋信司さんは2代目。2003年に後を継いだ。総合フードサービス 給食センターが竣工したと同時に代表となった。
 それまではグループ会社で当時弁当販売を手掛けていた叶味家(かみや)の代表をしていた。

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長嶋信司さん

▼安心安全を多くの人に知ってもらうために最新設備を導入

 総合フードサービス給食センターは、最新の設備と徹底した衛生管理が行われている。2009年には新潟市で初めてISO22000を取得した。
 給食センター内は、洗浄室、野菜下処理室、調理室、和え物室、揚げ物・焼き物、炊飯室、盛り付け室、コンテナプール室と、それぞれ別室になっている。
 スタッフが入るのは午前3時。白衣、帽子、マスクをして、すべてローラで丁寧に小さな埃や髪の毛などがないように取る。調理室に入るには、さらにエアーシャワーを浴び、それから手洗いとアルコール消毒をする。
 センター内の調理をするところはドライシステムキッチンで、少しでも水がこぼれると床の排水口に流せるようになっており、乾燥しやすくなっている。床も清潔に保たれている。
 調理室には大・中・小の回転釜が合計8個並んでいる。大釜ではスープだけでも1500人分の調理ができる。熱源はボイラーで熱した蒸気が使われている。焼き物はスチームコンベクションで行われ、一度に300人分の調理ができる。
 揚げ物は自動連続フライヤー、炊飯は連続炊飯器で行われる。

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◆大きな釜の並ぶ調理室の様子

2B_給食センター調理の様子_各学校ごとに料理を配缶

◆各学校ごとに料理を、配缶各学校への配缶の準備。

 1日で8校分約3000食が作られ、それぞれの中学校に運ばれる。給食の弁当は、衛生管理上の決まりで、一度、真空冷却される。
 給食の配送では冷蔵車6台が8校を巡る。一便でランチルーム分の配達。二便でランチBOXを配達している。
 運ばれた料理は先生による検食があり、それから配膳となる。
 生徒の食事のあと、残食量は市に報告される。食べたあとの食器は給食センター洗浄室で洗われ乾燥機にかけて保管される。
 残食は給食センターで発酵式生ごみ処理機に入れられて、完全堆肥化され、農家や学校に配られたり、養豚農家へ運び家畜の飼料として使われることもある。
 またセンターで使用されたあとの水は汚水処理施設に入れられて雨水レベルまでに浄化される。
 作った料理は、サンプルが各々とられて2週間冷凍保管される。
「給食を民間委託すると事故が起こると思っていらっしゃる方もいるので、徹底して衛生管理をする設備を作り、理解してもらえればと思っています」と長嶋さん。
 どんな風に調理されるのかを広く知ってもらうために視察や学校の研修なども積極的に受け入れている。そのために2階部分にガラス張りで中が見えるように見学コースが作られてもいる。また映像による紹介も作成されている。

*関連サイト
株式会社総合フードサービス(代表取締役・長嶋信司)    ◎http://www.sogo-food.com/プロフィール

金丸 弘美   総務省地域力創造アドバイザー/内閣官房地域活性化応援隊地域活性化伝道師/食環境ジャーナリストとして、自治体の定住、新規起業支援、就農支援、観光支援、プロモーション事業などを手掛ける。著書に『ゆらしぃ島のスローライフ』(学研)、『田舎力 ヒト・物・カネが集まる5つの法則』(NHK生活人新書)、『里山産業論 「食の戦略」が六次産業を超える』(角川新書)、『田舎の力が 未来をつくる!:ヒト・カネ・コトが持続するローカルからの変革』(合同出版)など多数。
 最新刊に『食にまつわる55の不都合な真実 』(ディスカヴァー携書)、『地域の食をブランドにする!食のテキストを作ろう〈岩波ブックレット〉』(岩波書店)がある。
*ホームページ http://www.banraisya.co.jp/kanamaru/home/index.php

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