2月2日 風をよむ アウシュビッツ強制収容所・解放75年

1月27日、ポーランドで行われた、
アウシュビッツ強制収容所・解放75年の追悼式典。

およそ50か国から招かれた首脳や国王に加え、
90歳前後の高齢となった元収容者200人以上が出席しました。

番組では日本でも公開中の、映画「ジョジョ・ラビット」を紹介。
ナチス支配下のドイツで、
立派なナチ党員になることを夢見る、少年を描いた物語。

少年が空想世界で、しばしば語りあう相手が、ヒトラーでした。
ジョジョ「アドルフ、僕にはムリかも」
ヒトラー「そんなことない!できるさ!」

しかし、その少年の「世界を見る目」を変えたのが、
屋根裏に隠れ生活していた、ユダヤ人少女との出会いでした。

少女「あなたはナチスじゃない。おかしな軍服が好きな10歳の子供よ。
みんなの仲間でいたいだけ」
ユダヤ人であるワイティティ監督は、映画の狙いを
「独裁主義や権威主義の歴史は古い。その思想はどの時代にも絶えることなく続いてきたが、かつてない程“今”に直結しています。だからこそ、第2次大戦の出来事を語り継ぐことに意味があるんです」

第2次世界大戦中、ナチスにより、
およそ100万人のユダヤ人が、ガス室などで虐殺された。

ほかの収容所での虐殺も含め、
死者数は600万人にものぼるといわれる、ホロコースト。

その背景には、ローマ帝国による弾圧で離散して以来、
祖国なき民となったユダヤ人、とりわけ、経済的な成功者に対して、
根深い差別・反感が向けられてきた歴史がある。

追悼式典に出席した、
元収容者のマリアン・トゥルスキさん(93歳)は
「皆さんに伝えたい。歴史を偽ることに無関心になるな。権力を握る者に無関心になるな。そうしなければアウシュビッツは空から降ってくる」

ホロコーストは、人々の無関心から生まれるとして、
歴史を風化させてはならない、という訴えるトゥルスキさん。

しかし、ドイツなどヨーロッパ7ヵ国での調査では、
「ナチスのホロコーストをほとんど知らない」と回答した人が、
3人に1人、34%に上った。

こうした風化の進行は、現実にも反映し始めている。

去年10月、ドイツで、反ユダヤ主義の男がユダヤ教礼拝所を襲撃、
2人が死亡しました。

「反ユダヤ主義」に基づくと思われる犯罪が、
5年間で4割以上も増加している。

また、フランスでは、ユダヤ人墓地の墓石に、
ナチスのカギ十字が描かれ、イギリスでも商店に落書きがされるなど、
各地で事件が起きている。

歴史の風化の一方で、日に日に深刻さを増す、反ユダヤの動き。

27日、国連のグテーレス事務総長は、
「反ユダヤ主義は歴史のある時期のものではなく、千年にわたって続いてきた憎しみだ。気を引き締めなければならない」と警告した。

しかし、AfD(ドイツのための選択肢)ビョルン・ヘッケ氏
「ドイツの歴史が酷くバカにされている。このままではダメだ!」
悲惨な歴史の記憶の風化。その影響は、政治にもあらわれている。

ビョルン・ヘッケ氏「ベルリンのホロコースト記念碑は、恥の記念碑だ。
ドイツの歴史が酷くバカにされている」

ホロコーストの記憶をとどめるための記念碑をけなし、
ナチスの行為に対する反省は、もうやめにしよう、と呼びかけた、
ドイツ極右政党「AfD・ドイツのための選択肢」の幹部、ヘッケ氏。

AfDは、去年、チューリンゲン州議会選挙では、
反ユダヤ主義に加え、移民排斥を主張、第二党に躍進しました。

同様な動きは、オランダやオーストリアなどにも、拡大している。

人々の不満を、移民・難民・ユダヤ人など、
弱い立場にある、他者への嫌悪感にすり替え、
それを煽る動きは、歴史が75年の時を経て、
逆流し始めたかのようにもみえる。

ドイツのシュタインマイヤー大統領は、
苦渋の思いを「人類史上最悪の犯罪に手を下したのは、私と同じドイツ人です。
そのドイツ人は『歴史から学びました』と言えればいいのですが、
憎悪が広がる今、そう言いきることはできません」とコメント。

→歴史は繰り返すという言葉が本質であると存じます。
歴史を風化させないよう、あらゆる活動してもなお
悲しい歴史は繰り返されてしまうのか。


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