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日本酒のシェアを広げてマウントおじさんと共存する方法について考えた

東京はいま少しじめじめしていて、たまに霧雨のような小雨が降ったりしています。梅雨ってこんな感じだっけ?と毎年思うんですよね。
もう少し日が過ぎたら、さらに蒸し暑い夏が来ます。マスクしないといけないと思うと億劫です。

お酒のご紹介です。

月桂冠(げっけいかん)

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京都府京都市伏見区にあります月桂冠株式会社。1637年に笠置屋として創業し、科学技術を積極的に取り入れた酒造りで第一線を走り続けている、言わずと知れた大手日本酒メーカーです。

今回は月桂冠が2019年より発売開始した THE SHOT。
飲んでみましょう。

上立ち香はうっすらバナナ系の果実香。
口に含むと舌先にほんのりとした甘み、にごり由来のざらっとした米感。
遅れて舌の両サイドから酸がかすかに感じられてきて、フルーティな中間です。
後口は甘酸。ラムネのような爽快な余韻です。

ラベル情報を記載しておきます。

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THE SHOT 爽やかホワイト うすにごり
アルコール分:13度以上14度未満(13度)
原材料名:米(国産)、米麹(国産米)、醸造アルコール
製造年月:2020.03(キャップに記載)

「冷やしてよく振ってからお飲みください」
なんて書いてある日本酒、初めて見ました。笑

180mlで250円(希望小売価格)。
購入は月桂冠のオンラインショップです。

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日本酒には熱狂的なファンがいます。
私もそうですし、私の周囲にもたくさんいます。

そしてそういう熱狂的な人たちは、まだ日本酒を飲んだことが無い人や、これから日本酒を飲んでみようと思っている人に(きっと、善意で)いろいろ教えてくれるわけです。

「このお酒はホントお薦めだから騙されたと思って飲んでみて」
「あのお酒はこういう味でね、お燗にすると美味いんだよ」
「このお店は店主がこんな感じの人でこういうお酒をメインに置いてて」

この時点でちょっとうざい気がしますね笑
そして中には…

「そのお酒は年々美味しくなくなってきてるんだよなあ。昔はさ…」
「えっ、あのお酒を燗しちゃうの?もったいないよ、冷酒で飲まなきゃ」
「あそこのお店に行ったのにアレ頼まなかったの?それはちょっと損してるなあ」

なんて、わざわざ余計なことを言ったり、いわゆる価値観の押し付けをしちゃうような人がいるわけですね。
日本酒マウントおじさんなどと揶揄されたりもします。こういう人がそばにいたせいで、日本酒ってめんどくさいとか、日本酒っておじさん臭いとか感じてしまった人もいるのではないかと思います。

こういう話は日本酒に限った話ではなく、他のジャンルでも存在します。
どんなジャンルかというと、マーケットが成熟していて、そこまで大きくないようなジャンル
熱狂的ファンやマニアが生まれやすく、しかも市場が小さいから相対的にそういう人たちの声が大きく聞こえるジャンル。
日本酒って、そういうジャンルの飲み物なんですね。

個人的には、この状況はどうにかしたい……と思っています。
そのためにどうするのが良いか?

私の考えは、今まで日本酒を飲んだことの無い人たち(ゼロ杯層)に、たまには日本酒もいいじゃんと(一杯層)思ってもらうのが一番の近道なのではないか、というものです。

いま日本酒のシェアは縮小傾向にあって、気軽に飲む人たちが減っていっている。
でもそういう中でもマニアは(アイデンティティになっていたり、危機感を持っていたりして)減らないので、相対的にマニアの声が大きくなるのです。

ということは、逆に日本酒を消費する人たち全体の分母を増やすことができれば、そのぶん日本酒マウントおじさんも増えるかもしれませんが、それ以上に気軽に日本酒を楽しんでいる人たち(ライトな人たち)が増えるはず。

そしてシェアが拡大すれば、ライトな人たちはライトな人たちで楽しみ、マニアはマニアで楽しむようになるはず。
おそらく、きっちり住み分け(共存)ができるでしょう。

では、どうすればゼロ杯層を一杯層に押し上げられるのか?
これはかなり難しい問題ですが、造り手でも売り手でもない私が勝手なことを申し上げれば、私が出した結論は、日本酒をとことんライトにして、気軽でカジュアルなものにするというもの。

日本酒をライトにする。気軽でカジュアルにする。
例えばパッケージをかわいくしたり、オシャレにする。
小容量化もひとつの手でしょう。
アルコール度数を落として(昨今の低アルコール日本酒よりも低いとよりカジュアル)、携帯してどこで飲んでも美味しく、酔いづらいものを開発する。
そうすることで、日本酒に興味を持っていなかった人の、日本酒の第一印象を変える。

こういう日本酒は、マニアの一部からは敬遠されることになるかもしれません。でも、そういう革新的な商品の登場が、日本酒の未来を救うのではないか?と思うのです。

・・・

今回ご紹介の月桂冠 THE SHOT。
アルコール度数は13度と低アルコール日本酒です。
味わいはライトでカジュアル。アルコール感もほぼ感じませんでした。
包装もオシャレで、日本酒のイメージとはなかなか結び付かない容姿だと思います。
180ml瓶で持ち運びも楽。スクリューキャップなので開け閉めできる点も良いですよね。

私は、月桂冠が THE SHOT を企画した目的は、一杯層の開拓だと思うんです。
そして、少なくとも日本酒に興味を持っていない人の第一印象を変える一助になっている気がするんですが……どうでしょうか。

日本酒のシェアを広げて、いろいろな嗜好・思想の人が共存するマーケットになったら、素晴らしいと思いませんか。

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