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プロデューサーとして、続編を制作する際に留意していること

おはようございます!
久々にゲーム開発に関係したことを書きたいと思います。
ナムコが1995年にスーパーファミコンで発売して以来、最新作であるテイルズ オブ アライズまで26年間も愛されているシリーズで2作もプロデューサーをさせてもらうという幸運に恵まれ、いずれもしっかりと売れて会社にも貢献ができ、テイルズ オブ ヴェスペリアは2008年に発売されてからキャラクターランキングでもユーリがトップを争っているほどに愛されています。

テイルズ オブ アライズはシリーズ最速で100万本のセールスを記録し、好評を得ていて、シリーズタイトルに関わっていた者としてはめちゃくちゃ嬉しいです。

私は家庭用では
・テイルズ オブ シンフォニア ラタトスクの騎士
・テイルズ オブ ヴェスペリア
をプロデューサーとして担当。

その前はモバイル事業部にてガラケー時代に
・テイルズオブモバイル
というFOMA専用のモバイルサイトを立ち上げ運営責任者をしていました。
またそこで配信した
・テイルズ オブ タクティクス
・テイルズ オブ ブレイカー
・テイルズ オブ コモンズ
・テイルズ オブ ヴァールハイト
などのガラケーアプリ専用のオリジナルRPGの企画、ディレクション、原案、原作を担当しました。

そこで気をつけていたことは変えてはいけないことと、変えても良いことを明確にしました。
そしてそれは独りよがりな判断ではなく、定量調査や定性調査を行って実際に遊んで下さっているお客様の声から判断しました。
離れて久しいので、今はどうかはわかりませんが当時は下記がお客様が大事にしているポイント、つまり変えてはいけないこと分析しました。

・様々なキャラクターたちが織りなす群像劇としてのストーリーの面白さ
・やりこめるほどの深いバトルシステム(これは特に3Dのテイルズオブの話)

他にも細かいことではあるのですが、この2つはとても大事なポイントでした。
そしてラタトスクの騎士はスピンオフタイトルだったので、シンフォニアの世界感でモンスター集めをするゲームというコンセプトだったので、それ自体が新しい挑戦でしたが、ヴェスペリアは初のHDテイルズであり、初のXbox360からのリリースで、日米同時発売という新しいもの尽くしのタイトルでした。

そして、先の定量調査や定性調査からユーザー層が従前から言われていた中高生だけではなく、20代〜30代にも大きなユーザー群がいることがわかり、ゲーマーが多いXbox360というハードでテイルズを売ることもあり、それまでのストーリー性にはなかった「オトナ」も考えさせる内容にしました。
単純な善と悪の対立ではなく、ユーリとフレンという二人のセンターキャラクターが向かう目的地は同じだけど、そこへ至る道は異なる2人。
そしてそれぞれに葛藤があるというストーリーで、ユーリは影を歩み、フレンは日向を王道を行くというコントラストにし、これまでのシリーズ主人公が絶対しなかった暗殺までユーリはします。
そういう変更は勇気が伴うことでしたが、お客様に好評を得ることができました。

また、時代の流れでDLCを扱うことに会社としてなっていたのですが、絶対にしないと決めていたことがありました。
ゲーム内でプレイして手に入らないものは売らないということです。
フルプライスでゲームソフトを買って頂いてるのに、DLCでお金をさらに払わないと手に入らないものがあるというのは、ユーザーとしてもプロデューサーとしても納得がいくものではなかったので、あくまで簡単に早く手に入れることができる手段として、DLCを使うことにしました。

その1つがユーザー調査からも離脱理由の1つにレベル上げをする時間がないので社会人になって、プレイしたいけどできなくなったということが分かったので、DLCでゲーム内通貨やレベルを売ることにしました。
これは賛否ありましたが、購入された方たちからは高く評価をされました。
お金を払うことで時短ができて、プレイできるようになったからです。
もちろん時間で解決する人は普通にプレイしていれば良いので、購入しなければならないということはないということです。
そして、オンラインゲームであれば問題がありますがオフラインゲームにおいて、他のお客様のプレイやプレイ感を妨げることもないので、導入しました。

このように新しいチャレンジをすることで新たなユーザー層を獲得することができましたし、今日まで支持されるタイトルになりました。
ここからは一般論になりますが、シリーズタイトルの続編を作る時には、1つはビジネス的なメリットがあるからという大前提があります。
次に新しい価値創造やブランドのストレッチのために、新奇性の高い続編タイトルを作ることがあります。
これは戦略的な取り組みなので、時には既存のお客様から理解を得られない
ということもありえますが、新しいことにも取り組んでいかないとどんなものでも時代とズレていき、いずれ消滅してしまいます。
これは勇気のいる挑戦になるので、破壊的な変革になる時もあります。

このバランスを保つのはなかなか難しいですし、運の要素も多分に含まれます。
そういう意味でもマリオシリーズというのは、物凄く上手にやってきているなーと思います。
シリーズ全体で数億本の販売をしているのは、変えて良いことと変えてはいけないことをしっかりと把握し、戦略的に製品開発をしているからだと思っています。
私も競合他社の様々な取り組みを分析して、自分の糧にしています^^

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