紅い森のにゃんこ観光
リンリンは観光ガイド。
この紅い森はたいそう美しいことで広く知られており、見物にやってくる者がたくさんいる。
彼らに森のいちばん美しいところを案内して回るのが、彼女の仕事だった。
リンリンは紅い森で生まれ育った白猫である。
月の光のようにぼうっと輝く毛並みと、左右でそれぞれ違う色に煌めく宝石のような瞳は、燃えるような木々の色彩にたいへん似合った。
実際、観光客が感心している森の美しい風景は、彼女なしではどこか完成し切れないように思われた。
観光ガイドの仕事は日の出と共に始まり、日の入りと共に終わる。
リンリンは東向きに素敵な窓のある家に住んでいる。朝、瞼があたたかく薄桃色になったことを察知すると、ぱっちりと目を開ける。大きく伸びをし、寝床を整え、丹念におめかしをする。それからいくらかの水を飲み、観光ガイドの証である帽子を被って出かける。
「紅い森」という呼び名の通り、紅葉がみごとなこの森に訪れる者は、やはり秋に増える。
寒さの苦手なリンリンにとっては、冷えの厳しくなる紅葉の季節は起きるのが大変である。しかし、森の景色と自分の仕事に高い誇りを持っているため、毎日しっかりとお客を案内する。
そして、日が暮れた後は、いつもとある小さな家に急ぐのだった。