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コンビニで学ぶ行動心理学

私が心理学を学ぼうと思ったきっかけの1つになった
「コンビニの話」をしようと思います。

皆さんは、コンビニに入って、
「買うつもりはなかったけど何となく買ってしまった」
という経験はありませんか?

実は、コンビニのレイアウトというのは、
人間の行動心理を徹底的に分析した構造になっているのです。

「買うつもりじゃなかったものを、ついつい買ってしまった…」
というのは、まさに「コンビニの経営戦略」の術中にまんまと
ハマってしまっているのかも!

詳しく解説していきますね。

看板の色にリラックス効果

まず、よく行くコンビニの看板を思い出してみてください。

入口の看板から、心理戦略ははじまっているのです。

名称未設定のデザイン (2)

色にも心理的な効果があることをご存じの方は多いですよね。

24時間、325日営業し、いまや町の人々の生活に根差しているコンビニは、
地域住民に安心感、信頼感を与え、落ち着く場所である必要があります。

改めて、大手コンビニ3社の看板の色味をみてみましょう。

緑色…癒しの効果。見る人に安心感、落着き、安らぎを与える。
青色…興奮をしずめ、感情を抑える色。清潔感、信頼感を与える。
橙色…不安や抑圧から解放する。心身のバランスを整える。

大手3社の看板に使用されている色は、どの色も見る人の心身を落ち着かせ、リラックス効果を与える色であることがわかります。

昔、私の住む地域には、真っ赤な看板のコンビニがありました。

赤色は、「元気がでる、食欲増進の色」と言われますし、目立ちます。
ですが、自己主張が激しく、信号機など危険を表すときに利用される色です。

そんな色の看板が、夜中に光っていたらどうでしょう?
地域の人は安心感を持つことができないはずです。

看板の色のせいかどうか定かではありませんが、
赤い看板のコンビニは大手3社のコンビニに大きく引き離され、
現在は撤退してしまいました。

照明効果による「引き寄せの法則」

ただ看板の色で、安心感を与えるだけでは人は集まりません。
コンビニには、人が店内に入ってきたくなるような
仕掛けが施されています。

それが「照明」の効果です。

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コンビニの照明というのは、入り口の窓ガラスに対して
すべて平行に取り付けられています。
それによって、外からでも店内が見えるほど明るいのです。

では、なぜ明るくしているのか?

深夜も営業しているから明るくする必要がある、というだけではありません。

人間が「明るいものに引き寄せられる」という習性を利用しているのです。(蛍光灯に集まる虫と同じwww)

窓がない店、あるいは窓に目張りされている喫茶店を想像してみて下さい。
店内の様子がわからないお店には、1人で入るの勇気がいりませんか。

明るくてなかがよく見えるお店なら、安心して入っていけますよね。

立ち見の法則

明るい光に吸い寄せられるようにコンビニのなかへと入ると、
入口付近に必ずあるのは「雑誌」です。

雑誌には2つの高い集客効果があります。

1つ目は、時間つぶしで立ち読みしてただけのお客さまも、
「立ち読みだけじゃ悪いから…何か買おうかな」と、
ついでに商品を買ってしまう効果。

2つ目は、店内のお客さまに雑誌を立ち読みさせることで、
外から見ている人にも安心感を与え、
「あ、あの店、人が入ってるから行ってみようかな」
と思わせ、入りやすくする「客寄せの効果」です。

売れ筋商品の配置で誘導


コンビニからすると、店に入ってきたお客さんには、商品をたくさん購入してもらいたいですよね。主力商品をどこに配置するかで、売り上げも変わってきます。

コンビニの売れ筋商品は、なんといっても「お弁当」と「飲み物」。
さて、主力のお弁当と飲み物はどこに置けばいいのでしょう?

改めて、コンビニのレイアウトを見てみましょう。

コンビニレイアウト (1)

   店内レイアウト図(ライドヲ@kamenridewoさん提供)

お弁当を買いに来たお客さんは、真っ先にお弁当コーナーに向かいます。
そのお弁当を、入口すぐのところ、たとえば雑誌コーナー向かいとかに配置すれば、お客さんはお弁当を選んですぐにレジへ直行!! の最短ルートで買い物ができて便利なはずです。

でも、店内のレイアウトは、そうはなっていません。

どこのコンビニでもお弁当や飲み物は、いちばん奥
配置されているのではないでしょうか。

お店としては、一品でも多く買ってもらいたいわけです。
最短ルートで買い物を終えて帰られると困るのです。
お客さまには、一歩でも二歩でも多く、そして長く、
店内をうろつき歩いてもらって、
他の商品にも目を通してもらう必要があります。

だから、一番売れる商品をいちばん奥へ配置するのです。

おススメ商品は「エンド」の効果で

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陳列棚の島(中島)の両端のことを「エンド」と言います。

コンビニでは、このエンドに期間限定のキャンペーン商品や新商品が配置されていると思います。

いちばん注目されやすいエリアに置くことで、お店のおススメや季節もの、売れている商品が一目でアピールすることができます。

特に出入り口付近やレジに近いエンドは、衝動買いさせやすい重要な場所です。

なので、売れ行きのあまりよくない商品を、あえて目に付くエンドに陳列し、商品を売りさばく、といった裏技を使うお店もあります(*´艸`*)

「振り返りの法則」と「お隣の法則」

こうした、「ついでにこれも買っちゃおう」というついで買いの購買意欲をかきたてるレイアウトを「お隣の法則」、「振り返りの法則」と言います。

アルコール類の近くにおつまみコーナーがあったり、パンのコーナーに立って、振り返ると牛乳などのパックの飲み物が配置されていたりしますよね。

そういった関連製品を近くに並べることによって、ビールを選ぶついでにおつまみを買っちゃう、パンを買うと喉につまるから飲み物いるかもな、と思わず買ってしまう、というような「ついで買い」を狙っているわけですね。

ゴールデンライン

陳列棚の中でも、売れやすい位置、高さというのがあって、それをゴールデンラインといいます。

日本人の平均の目の高さが約140cm、見る角度が下10度、そこから割り出した目線の位置が、床から約135cm前後の高さで、最も目につきやすいと言われています。

コンビニ側が、力を入れたい新商品や人気の主力商品は、このゴールデンライン内に陳列し、それ以外の商品はゴールデンラインの上下に配列するようになっています。

レジ前になぞの「和菓子」

ここまで振り返りの法則だ、ゴールデンラインだ、何やかんやいっておいてなんですが…コンビニで、いちばん売れる場所は「レジカウンター周辺」だったりします(笑)

買う商品を決めて、いざレジに並んでいるときに、ふっと30円引きされた和菓子をみて、買ってしまった経験はありませんか?

コンビニに限らず、スーパーでもレジの近くには単価の安いガムなどが置いてあって、会計を待っている間に、子どもが「あ、これも買って~」とか言ってカゴに入れてしまったり🤣

安いものが目に入ると、ついついその商品もついでに衝動買いしてしまう、このくらいの値段ならいいかと思って買ってしまう…という心理を利用しているのです。

それと、もうひとつ、コンビニがレジカウンターに和菓子を置くのには、理由があります。それは、ズバリ!客層を広げるため。

よく値引きのシールが貼られているし、売れ行きが悪い商品なら、仕入れなければいいのにとも思いますが、和菓子はコンビニにとってターゲットゾーンの拡大に重要なアイテムなのです。

シニア層がコンビニに入ってきたときに、いちばん目立つ、わかりやすいレジカウンター近くに、和菓子が置かれているのを目にすると、
「コンビニ=自分の欲しい商品があるお店」と認識してもらえるようになります。

メインの客層に売れないからといって、店内の目立たない隅に置いていたのでは、欲しい商品がないと思われてシニア層の足は遠ざかっていくばかりでしょう。しかし、現在の高齢社会を考えたとき、「買い物困難者」対策の役割を果たす街のコンビニは、こうした高齢者に配慮した店作りが欠かせません。

実際、2000年初頭までコンビニの客層は、20~30代の客層がメインでした。しかし、2013年以降はシニア層が半数近くを占めてきているのだそう。

逆に最近では、若者のコンビニ離れが目立っているらしく、ドーナツなどの洋菓子をレジカウンターに並べていたり、子どもが大好きなガチャガチャを入口においたり、おもちゃ付きのお菓子などを陳列することで、子ども連れの若い層を呼び戻そうとしている動きが見えますね。

まとめ

人間の行動心理を研究したコンビニの戦略、いかがだったでしょうか。

戦略を知らずに「小腹すいたし、何か買おうかな~」と気軽にお店に入ったら、あれも美味しそう、これも食べたいなと次々にカゴに入れて、気づいたら食べきれないくらい買っちゃってたってことになりかねません。
こうした戦略やコンビニ側の思惑を知れば「今日はお弁当だけ買うぞ!」と目的を明確にして入店するはずです。

一品でも多くの商品を買ってもらおうとする、コンビニ側の企業戦略にまんまとハマって無駄な買い物している人は多いかもしれませんよ。

私は、高校生の時代に、上記のコンビニの行動心理学を利用した企業戦略の話を聞いたことで、大学で心理学を学ぼう!と決心しました。
消費者の立場でも、自分がだれかにモノを売る立場でも、心理学は活かせると思ったからです。

次回は営業で使える心理テクなんかも書こうかなと思います。




















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