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不倫は文化なのか。:コミュニケーション設計篇

SNSのタイムラインでたまに流れてくる女性向け商品の広告。
最近は、第三者視点での商品の説明よりも、ユーザー視点での語り口を設定しているものが多く、
「こんなに凄い!」「欲しい!」
に続けて、
「セールしてください!」
「買わなきゃよかった!」
といった煽りが入る。
この10文字に、毎度イラっとさせられるのは私だけだろうか。

そんなにいいものなら、セールでなくても買えよ。
というか、すぐに「安くしてほしい」「安くなってるから買うでしょ」と思わされてついつい購入ボタンを押してしまう女が多いから、この手のコミュニケーション設計になっていることに、なぜ気づかないのか。
そもそもの話、「セール」を経た金額こそが、実勢価格だという簡単なロジックになぜ気づかないのか。

こうしたECをはじめ、少し前なら通販など、女子向け購買商品の多くの広告は、男が作っている。ことが多い。
私もかつて、某通販のコンペに駆り出され、私以外オール男性な中、そのコンペに3年勝てなかった印刷会社に勝利をもたらしたことがあるが、前後の文脈や考え方があまりにも合わないうえ、請求に関してもグダグダ言う担当者を断罪して、1円も請求せずに縁を切ったことがある。

せいぜい「女性目線を入れました」のために私が必要だっただけで、だからこそギャラに関して後回しにするといった不義理を平気でできるのだとしみじみ思ったし、ここで1円でももらったほうがあとあとネタにできないと思ったものだ。しょうもない。そこに気付けなかった、誰よりも後藤がしょうもないのである。

広告の世界に限らないが、こうしたコミュニケーション設計を経て、新たな風潮や価値観が醸成されてしまう怖さというのをいつも感じている。
例えば。
この「セールしてください!」の後の誘導があっても、買う人は買うし、買わない人は買わないが、「セールしたら買う人がいるのだ」という認識から「女性の商品はセールになると売れる」というバイアスを生む。
サザエさんが、バーゲンでおばさんたちと争って「実際買っても着ないもの」を「勝利の品」とばかりにゲットするシーンを経て、幼心に「おばさんというのはバーゲンやセールが好きなのだ」と刷り込まれた可能性もある。

そしてそれらのコミュニケーションに、なぜか男性はいない。

では、男性は「お安くなったもの」が嫌いなのか。
スーパーのタイムセールに並ぶおじさんだっているし、ネットで安くなったときに何かを購入する男性も多数いるだろう。
しかし、なぜか男性主体の商品では、この「値下げ」感を前面に打ち出したコミュニケーションは女性のそれと比するとあまり多いとは言えない。

ということで、何が言いたいのかというと、広告業界の女性蔑視POISONではなく、「世の中には、そう思わされているだけで、実態はそうではなかったものの、いつのまにか実態が伴ってしまった」という現象が少なからずあるのではないか、ということにいつも思惟が働くので、どこかで刻んでおきたいと思ったまでである。

そしてこのあたりが、後藤の過去のnoteでいまだによく読まれている「シミュラークル」につながるので、これはいつかネタにしたいと思っている。

今回はこのことから、立教大の陸上部監督の不倫疑惑に話を移行してみたい。

不倫は文化ではなく、ただの違法である。

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