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一人旅日記2019夏 2日目

初めまして、おめでとうございます。

成り行きで新潟に一泊して迎えた2日目。目的地は新潟から電車で270キロ弱北上した、秋田の横手という街。この日は青春18きっぷで旅をする際、乗り継ぎで絶対に注意が必要な2大ポイント(だと思っている)、「県境」と「山越え」満載のルート。そこまで距離を移動しない日程ではあるものの注意しておこうと心に決めていた。

この日の最初の電車はちょっとお金を出して、「きらきらうえつ」という臨時の快速に乗ることにした。この電車は地域の紹介コーナーが車内にあったり、限定のお弁当があったり、眺めのいい駅で数十分停車してくれたりする観光列車。普段ならあまり興味もないのだけど、使っている車両の老朽化で9月末に廃止が決まっているそうで、一回乗ってみようくらいの気持ちで席を予約したのだった。

きらきらうえつは10時過ぎの発車予定。15分前くらいからホームで電車を待つ。しかし電車は全くやってこない。しばらくすると構内放送で「電車故障しちゃった!代わりの電車準備してるからちょっと待ってて!」というアナウンスが流れた。代車が来るまで40分くらいホームで待ちぼうけ。ちょっと楽しみにしてたのに、とは思ったけれど故障は仕方ない。

代車(特急で使われているやつ)で新潟を出発したのは11時頃。電車はものすごいスピードで日本海側沿いを北上していった。普段なら数十分停車しているらしい新潟と山形の県境のあたりもサクサク進み、あっという間に山越えに向けた乗り換えの駅、余目に到着した。特急の車両は快適だったし、乗り換えも変な空き時間がなくスムーズだっただしで結果オーライか。笑

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余目からは2時間に1本しか走らない路線になぜか存在する快速(!)に乗り換え、新庄までの山越え。この辺は五月雨を集めてはやし、でおなじみの最上川沿いを走る。車窓はずーっと山、川。最上川は五月雨の季節じゃないからか思っていたほど急流ではなかった。周囲に集落らしいものもほとんどなく、こちらも列車はものすごいスピードで川沿いを北上していく。乗る前は快速って何だろうと思ったけど、途中乗る人がいるのか不思議な場所に駅があったりしたしそういう駅を通過するための快速なのかな。

思いのほかすんなりと乗り継ぎが進み、新庄からはこの日最後の県境越えと山越え。「本線」である奥羽本線ながら、県境を越える列車は1~2時間に1本程度。反対の山形方面も1時間に1本程度のようで、新幹線の終着駅ながら寂しさを感じずにはいられない。そんな駅を出発した列車はすぐに山のほうへと入っていった。ほどなくして車窓が山に囲まれ、その間を線路と道路が平行するだけになった。乗っている人は10人くらい。

深い山を越えたところで秋田県に入り、風景が一変。水田が増えてきた。途中からはどこかに遊びに行くのか、学生らしき人も乗ってきた。彼らはどこで遊んでいるんだろうなあ。そんなことを考えているうちに今日の目的地、十文字駅に到着した。宿は駅前の静かな商店街のそばのゲストハウス。ドアを開けたらオーナーさんっぽい方ともふもふの秋田犬が出迎えてくれた。

チェックイン後は夕飯を食べに行きがてら近所を散歩したのだけど、特に面白そうな場所を見つけることができなかった。大きな幹線道路沿いの道の駅も18時過ぎにやっているのはコンビニだけ。仕方ないのでさっさとシャワーを浴びて部屋でのんびりしよう。

…と思ったら予想外のことが起こった。20時過ぎに宿のロビーに行ってみたら、オーナーさんだと思っていた方からオーナーさんの誕生日パーティーに誘われた。受付してくれた人はスタッフさんだったらしい。

オーナーさんの誕生日会は近所の公民館みたいな場所で行われていた。参加者はここまでまったく見かけなかった他のお客さんと地元の人、それぞれ10人くらいとあの秋田犬。お客さんと地元の人がめちゃくちゃ打ち解けていて、どういった旅をしているのかから生活のことまで、お互いが興味とリスペクトを持って話し合う雰囲気になっていた。普段地元の人と話す機会は少ないだけにとても新鮮な時間。

ほどなくして会はおひらきになって、残った人で宿のロビーで飲みなおし。ここにはさっきいなかった新しい地元の人もいた。皆会話からオーナーさんが大好きなのがよく伝わってくるし、お客さんももうずっと友達かのようにオーナーさんと仲良くなっていた。オーナーさんがきっと普段からお客さんと地元の人、どちらにも真剣に接しているからこそ、こんな素敵な場が生まれるのだろうなと感じずにはいられない。自らも会話に加わりながら、その様子を嬉しそうに見ているオーナーさんの姿が印象的だった。

もくもくと移動するだけだと思っていたら素敵な時間に混ぜてもらえた1日、これにて終了。


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