総合商社の本質は価値共創
垰本 一雄,2018,「総合商社の本質」,白桃書房
読ませていただきました。
こちらと内容は似てます。無料で公開してるから驚いた。
前半には総合商社の歴史やビジネスモデルが書かれていて、後半はもっぱら医療ビジネスについて書かれていた。
ビジネスモデルについては就活で既に読んでいたビズリーチの記事通りだったなという感じ。
歴史部分を見ると総合商社が何故、今のようなビジネスモデルになったかが分かる。戦前〜現代に繋がるまでメーカーがいかに商社外しをしていくか、商社がいかに事業投資にシフトするかという所は非常に参考になった。
自分は現役の商社マンで無いので偉そうには語れないが、商社がパートナーと価値を共創する事にこそ価値があるというのはその通りだと思う。
マルクス経済学的な考えによれば、総合商社は生産した利益からそのマージンを受け取っている仲介会社以上の存在にはならないのだろう。パートナーがいなければ何も作ることが出来ない。
しかし、そもそも銀行やVCが出資しない、もしくは存在に気づいていないビジネスにも積極的に投資を行い、持ち前の販路やグループ会社の機能を使って市場を形成する。これこそが商社の醍醐味だと思う。金融が顧客の情報をデータとして保有しているなら、商社は現地との直接的なパイプで情報調査を足で行えるイメージ。
事業投資と一言で言っても、お金を出すだけではなく、社内の専門人材やグループの専門商社を動かし、ビジネスの実行支援や経営資源の統合を行う事が出来る。これが銀行には無い魅力だ。最近流行りのコンサルが実行支援まで行うというやつだが、まさに提案しただけではなく実行するためにパートナー企業の社内にまで影響を与えて社員を動かしたり、トラブルが起きた際にも出張ってくれる存在がいる事は心強い。
海外では日本の文化が中々通用しないので、一癖も二癖もある顧客を相手に古くから現地に情報を張り巡らせている総合商社の存在は新興企業にとっては欠かせない存在だろう。
まだ発展途上のICT事業のように資源に依存しないビジネスに積極的に参入し自社の格付けや権威を使いながらベンチャーをサポートしていく事で、商権を獲得し、安定した収益を今後も得ていくだろう。
総合商社志望の方は是非、本の方も購入してみて下さい。
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