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「ママになっても可能性に蓋をしないで」──女性のキャリア支援を行うmog創業者インタビュー

2019年8月1日、女性のキャリア支援を行う株式会社mogは、ママ向けの転職エージェント「ママリブラ」をリリースしました。

GOB Incubation Partners(以下、GOB)としても同社のミッションに共感して出資を行うなど、さまざまな事業支援を行なっていきます。

今回はサービスリリースにあたり、mog代表取締役社長の稲田明恵(いなだ・あきえ)さんと同取締役副社長の金子麻由子(かねこ・あゆこ)さんにインタビューを行いました。

“プロフェッショナルママ”向けの転職エージェント、企業ニーズの高まりも


mog代表取締役社長の稲田明恵さん

稲田明恵(以下、稲田):社名のmogは、「ママ(m)お仕事(o)がんばって!(g)」の頭文字から取っています。その名の通り、ママや、これからママになる女性、そして彼女たちを取り巻く家族や職場の人たちを対象に、キャリア支援をメインにサービス展開を行う会社です。

今回、その第1弾として8月1日にリリースしたのが、「プロフェッショナルママ」の転職エージェント「ママリブラ」です。リブラ(Libra)は英語で「天秤」を意味します。子育てや家事と、仕事の比重を、その状況に応じて柔軟に選択できるようにしたいとの思いからできあがったサービスです。

「プロフェッショナルママ」は私たちが考えた言葉で、企画や営業、マネジメントなど、何らかの専門性を強みとして持っており、それを活かして会社へ貢献できる、またはそれを目指したいという人を、そう呼んでいます。

ですから、ママリブラでは、時短勤務が可能な求人から、バリバリ働きたい人向けにフルタイム勤務や海外転勤ありの求人まで、幅広く取り扱っています。家庭のために仕事をセーブしたいといった従来型のニーズだけではなく、キャリアを広げていきたいママたちにも使ってもらえるサービスです。


ママリブラで扱っている求人の一部

同時に、企業の側からもこうしたママ社員の活躍を求める声が高まっていて、女性の管理職が増え、彼女たちが社内のロールモデルになることで、キャリアの選択肢の一つとし考えてもらうきっかけになるなどの効果が期待されています。

前身は、パーソルホールディングス時代の社内事業


mog取締役副社長の金子麻由子さん

金子麻由子(以下、金子):mogの前身は、稲田と私の前職であるパーソルホールディングス社内の新規事業です。2017年8月から、「ママボラン」という名前で育休中のママを対象としたサービスを運営していました。

ママボランは、育休期間のママに本業ではできない経験を提供するため、スタートアップやNPOとのマッチングを行い、リモートワークを中心にボランティアとして事業に関わってもらうサービスです。

コンセプトは「ブランクをブライトへ」。多くの場合、育児休暇期間をブランクとして捉えてしまいがちですが、私たちはむしろサバティカル休暇(長期間勤務した社員に対して与えられる使途制限のない長期休暇のこと、多くの場合、1ヶ月以上の休暇を取得できる制度を指す)的な捉え直しを行いました。こうした機会を提供することでママたちが自分自身を見つめ直すきっかけを提供したかったのです。

一方で、ママボランを機に仕事へのモチベーションが上がっても、戻る職場が変わらなければそのギャップに苦しんでしまうケースもあります。

こうした復職後のケアや、妊娠前のサポートなど、育休中のママのみを対象とした“点”での支援ではすくいきれない課題を、“線”として包括的に解決するために、今回mogとして独立することを決意しました。

「子どもと離れてまでやりたいこと?」──出産を機に仕事への価値観が変わるケースも

金子:ママボランに登録いただいたママさんの多くは、上場企業に勤めている30代女性です。それまで10年近くひたむきに仕事をしてきたのに、妊娠を機に育休を取得し、いきなり社会と断絶される。すると、急激に「自分の価値って何だろうか?」と立ち止まってしまう方もいます。

また、子どもができることで仕事に対する価値観が変わるケースもあります。高い保育園代を支払い、かわいい我が子と離れてまでこの仕事をやる価値があるのか、本当にやりたいことなんだろうか、と考えるようになるためです。

稲田:ママボラン自体、実は金子の原体験からスタートした事業です。金子はパーソルの前に地方新聞社で記者としてバリバリ働いていたキャリアを持ちますが、1人目の出産後、育休から復職したらそれまでとは異なるアシスタント的な仕事に回った経験を持っています。

ただ誤解しないでほしいのは、決して会社や上司が意地悪したわけではないんです。産後は大変だろうという善意からくる配慮だったんですよ。

金子:もちろん、気遣ってくれるのはありがたい反面、先ほど話したように、この仕事は子どもを保育園に預けてまでやならなければいけないんだっけ? と疑問に感じるようになりましたね。

自分に蓋をするママと、配慮から仕事を遠ざける会社の間で

稲田:当時こうした悩みを金子から聞いた時には、正直なところ、子育ても仕事も両方を追いかけようとするのは個人のわがままなんじゃないかなと、どこかで感じていました。会社だって、ママの声だけを聞いているわけにはいかないよね、って。でも、その後自分も出産を経験し、ママボランを運営している中で感じたのは、むしろ真逆の感覚でした。

両方を求めすぎているというより、自分に蓋をしてしまっているんだと気づいたんです。

金子:そうですね。「まだ子どもが小さいから......」みたいなことを枕詞にして、必要以上に自分の可能性を制限してしまう人もいれば、仕事上のチャレンジに対して前向きな気持ちはありつつも、そのやり方がわからなかったり、ロールモデルがいなかったりでブレーキをかけてしまう人もいます。

稲田:決して彼女たちの権利主張が強いわけではなくて、本当はもっと仕事をやりたいしできるはずなんだけど、会社側とどうコミュニケーションを取ればいいかわからない。家事や育児の負担がどの程度なのか読めない中で、仕事をやり切れなかったらどうしよう、といった不安を多くの人が抱えているんです。

一方で会社としても、彼女たちにもっと活躍してほしいし、期待もかけたいけど、それがプレッシャーになってしまうことがないよう、配慮とのバランスも難しい。ボタンの掛け違いで、会社と個人どちらも損をしてしまっているような構造がありました。

じゃあ、どっちがその主導権を握っていくべきなのかとなった時に、私たちは、個人の側だと思っています。

私が人事畑で生きてきたこともあるかもしれませんが、頑張って支援制度などを整えている会社も増えています。むしろそこに対して、個人が自分のことをちゃんと語れないといけないんじゃないかと思うんです。ママに限った話ではありませんが、自分のキャリアプランをどう描くか、そこに対して自分の武器をどう磨いていくか、今の自分には何があるのか......Willとそこに紐づくプランを語ることができなければ、会社にも家族にも主張を通したり、相談したりすることはできません。

GOBも出資、パートナーとしてさまざまな事業支援

稲田:私が初めてGOBと関わりを持ったのは前職でママボランの企画をしていた時でした。当時、GOB共同代表の山口さんがスポットでコンサルティングに入ってくれたことがあって、それ以来、事業で困ったことがあると定期的に相談していたんです。

今回独立するにあたり、経営の専門性を担保したいと思っていたので、当時からmogのビジョンに共感いただき、かつ事業開発の経験豊富な山口さんやGOBに関わってもらえたら心強いということで、お話をして、出資いただくことになりました。

余談ですが、一応出資にあたり、GOB社内でのプレゼンテーションも行ったんですけど、5分とかからず快諾してくれて(笑)。出資を検討するというより、どうすればより良くできるか、の目線でアドバイスや意見をもらえて。さまざまな面からサポート頂ける心強いパートナーです。

段階的なサービスリリースを予定──育休や産後といったキャリアの過渡期をサポートできる体制づくりを

稲田:ママリブラを皮切りに、今後もママたちが自由なキャリア形成を考えられるような社会を目指していきます。やはり、育休や産後はキャリアの過渡期だと思うので、そこをプラスに変えられるようなサービスを打ち出していきたいです。

金子:育休中だけではなく、復職後の支援や妊娠前など、これまでより幅広い方へサポートを提供できることが、とても楽しみです。

これまで、「ママ向け」というと弱い立場の人への支援と見られがちでしたけど、ママだけどバリバリ仕事をしたいと思っている人もいるし、彼女たちだって、悩みや不安を抱えています。そういう人たちがもっと気軽に、いろいろなことをやりたいと堂々と言える世の中に変えていきたいと思っています。

稲田:私たちは、ママになることが人生の全てだとは思っていません。それは選択肢の一つ。ママになることを推奨しているのではなく、ママになることをポジティブに捉えられる世の中をつくっていくことが私たちの使命だと考えています。

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