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by UTMB の名の付いた大会が日本でもできるか【続編】

今年の3月に、日本国内で by UTMB の名前の付いたレースが登場するのだろうかといった記事を書いたのだが、本記事は続編記事である。


UTMF は Mt.Fuji 100 へ改称

みなさん御存知の通り、2024年大会より UTMF(Ultra-Trail Mt.Fuji)が Mt.Fuji 100 としてリブランドすることになった。これは、フランスの UTMB Group との 「Ultra-Trail」に関する商標問題の早期解決を図るためである。

Ultra-Trail にという商標に関しては、日本国内では UTMF 側での利用が認められているものの、グローバルでは使えなく、その影響で UTMB Index に UTMF が登録できない問題があったそうだ。あと、大会10回開催したという節目ということもあって、今回大会名を UTMF 改め Mt.FUJI 100 となった。

10/1 20:00 より Youtube Live で大会概要の説明会が開催されていたのだが、Mt.FUJI 100 を UTMB World Series(by UTMB)大会にしないのかという質問が、視聴者からあったのでその内容に関して簡単にまとめてみた。

Mt.FUJI 100 は by UTMB 化しない

鏑木さん、福田さん、千葉さんから「by UTMB 化」に関する質問に対しての回答としては、「by UTMB 化は考えていない」という答えであった。

我々トレイルランナーの間では、UTMF こそが by UTMB の最有力候補ではと噂されていた。これは、UTMF 自体が、UTMB の姉妹レースとして開催されはじめた経緯もあり、最有力候補だと思われていた。ただ、UTMB への加盟金の支払いや商標問題も絡んでいて、なかなか進んでいないと思われていたが、実はそれだけではなかった。

このライブで一番言及されいていたのは、大会運営に関してだと感じた。by UTMB になると、UTMB フォーマットで大会運営をしないといけなくなるので、Mt.FUJI 100 サイドとしては自分たちのやりたい大会運営ができなくなる。Mt.FUJI 100 は、2023年で10回を開催しており、アジアでは歴史の長い大会で、規模もアジアでは最大級だ。そのなかで、培ってきた文化が by UTMB 化をすることで大きく失われることを危惧して、UTMB Group からのオファーも断ったそうだ。

UTMB World Series がすべてではない

上記の質問に対する回答として印象に残ったのは「UTMB World Series がすべてではない」といった回答だった。UTMB に飲み込まれるのではなく、Mt.FUJI 100 が自立した大会として、生き残っていくという意気込みも感じられた。

鏑木さんも、今後は「Mt.FUJI 100 の世界とのつながりを強化していく」と言及されている。彼自身も親善大使的に先月は中国へ、今月は韓国の大会(Seoul 100kと思われる)に行く予定になっており、ここで繋がりを強化していく形にはなっている。特に、「アジア」という言葉がちょくちょく見受けられたので、アジアでのコネクションを強化したい思いがあるのだと伝わった。

Mt.FUJI 100 は日本とアジアを代表する大会

私自身、何度もアジアでの大会に出ているけど、現地のランナーと話をすると「いつかは、Mt.FUJI を走りたい」「UTMF を走ったことありますか?」といった、私が日本人だとわかると Mt.FUJI の話題がよく出る。

やっぱり、アジア圏のトレイルランナーからすると、UTMF、Mt.FUJI 100 は日本を代表する大会として認知されており、また日本を代表する山である富士山麓で行われる大会もあって、やっぱり知名度や憧れといった部分は伝わってきた。

個人的には、どこかでも言及したのだが、Mt.FUJI 100 を ASIA TRAIL MASTER に加入するのが海外とのつながりを促進する近道ではないかと思っている。私が知る限り、Asia Trail Master は、UTMB World Series ほどの強く干渉しているわけではなく、それぞれの大会が独自色が出せていると感じている。

日本でも、Izu Trail Journey や DEEP JAPAN ULTRA、大雪山トレイルジャーニー が加入しており、ここに Mt.FUJI 100 が加入したら、かなり規模のでかいトレイルランニングシリーズになり、UTMB Group とも対抗できるのではないかと考えている。

by UTMB が果たして日本で登場するか

Mt.FUJI 100 が by UTMB 化を考えていないとなると、他にどこが存在するだろうか。信越五岳も歴史長い大会ではあるが、ここも石川弘樹さんが長年の思いで築き上げてきた文化や雰囲気もあり、by UTMB ではこれらを維持するのは難しいでしょう。また、ハセツネもそういった観点からもないだろう。

これらのことを X で言及した結果、私のフォロワー方より石川県加賀市の OSJ 山中温泉 が、来年 by UTMB 化に向けて動いていると情報提供を頂いた。

OSJ 山中温泉 が by UTMB 化するかもしれない。

どうも、今年の6月に開催された OSJ 山中温泉で、UTMB 担当者が視察に来られていて、OSJ を運営するパワースポーツ代表の滝川さんの IG のアカウントにその写真とこの件で言及されている。

ちなみに、写真に写っている欧米人の女性は、香港の TransLantau by UTMB のオーガナイザーの方で、香港在住のフランス人。TransLantau は、夫婦で立ち上げた企業(Asia Sports Connection)が運営しており、韓国の TransJeju by UTMB も同じところが運営している。また、同時に UTMB Asia のセールスマネージャも兼務。オーガナイザーの方と写真が撮影されて、IG で公開されているということは、by UTMB 化の確度が高いのだと思われる(確度がない場合は、普通は写真をアップしないと思われる)

OSJ 山中温泉の by UTMB 化の課題

UTMB Group も、Mt.FUJI 100 に断れたこともあって、日本国内で一緒にやってくれるパートナーを探していたんだろう。日本はトレイルランナーの競技人口も多いし、市民ランナーのレベルも高いので、日本での開催は切望しているんだろうと思われる。

山中温泉の交通アクセスは比較的よく、最寄りの駅の加賀温泉駅までは、来年春以降であれば東京からだと北陸新幹線で一本でアクセス可能。そこから、バスで30分程度で山中温泉のエリアに到達できる。また、石川屈指の温泉エリアなので、宿泊施設のキャパシティも問題ないだろう。

課題として上げらるのは、まずはOSJ 自体が国際的な大会運営経験がないことだろう。特に海外からランナーを誘致するのであれば、大会スタッフの英語でのコミュニケーションが課題になるだろうし、大会当日までの募集やランナーのサポートのノウハウも必要。

大会当日までの募集やランナーからの問い合わせなどに関しては、非英語圏の TransJeju でのノウハウがあるので、なんとかなるだろう。あと、OSJ 流の大会運営だと流石に UTMB クオリティを満たせないだろうから、運営体制の質向上化も課題になってくる。

あとは、どの大会でも課題になるのが加盟金の支払い。いろんな情報を勘案すると、数千万円の支払いが必要なので、この資金をどこから調達するかですね。エントリー費用で賄うのはもちろんんこと、大会スポンサーをもっと集めるといったところも必要になってくるだろうし、自治体(加賀市、石川県)からの支援も多少は必要だろう。

最短で2024年には by UTMB が日本でも開催されるかも

OSJが、これらの課題を乗り越えたら、最短で来年2024年に OSJ 山中温泉 が by UTMB となり、ようやく日本でも by UTMB を冠した大会が開催されることになる。

大会名はどうなるだろうか?そのままの名称を引き継ぐのであれば、「Yamanaka Onsen by UTMB」になるのか、それとも香港や韓国の大会名称に習って「TransKaga by UTMB」になるのか、それとももっとシンプルに「Kaga by UTMB」になるのか。名称は、来年のお楽しみといったところだろうか。

山中温泉 by UTMB が開催された暁には、ぜひとも選手としてエントリーするか、大会ボランティアとして参加するかは考えたいな。英語はまあまあ話せるので、力になるのかなとは思っている。


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