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日本で by UTMB のレースが誕生するのだろうか・・・

日本のトレイルランナーであれば、一度は考えたことがある「日本で by UTMB の大会がなぜ無いのか」。すでに日本近郊のアジア地域では、以下のレースが by UTMB となってる(2023年3月現在)。

  • Doi Inthanon Thailand by UTMB(タイ/チェンマイ)

  • TransLantau by UTMB(香港)

  • TransJeju by UTMB(韓国/済州島)

  • Amazean Jungle Thailand by UTMB(タイ/ベトン)

  • Ultra Trail Ninghai by UTMB(中国/寧海)

タイの2レースは、タイ王国の観光庁が主催していて、TransLantau と TransJeju は香港に拠点にしているフランス人夫婦の会社が運営、そして最近 by UTMB になった中国の Ultra Trail Ninghai は、上海に本社にある Skyview というスポーツイベント主催会社が運営している。

日本で by UTMB の大会が未だに無いのは、いろいろ噂されてはいるが、大きな問題としては2つ挙げられる。

  • 商標問題

  • by UTMB になるための加盟金/上納金の支払い

この記事では、「日本でなぜ by UTMB のレースがないのか」というのを巷で流れている情報をベースに考察やまとめたものである。残念ながら、全然裏を取っているわけではないので、信憑性はあまりないと思って読んでほしい。

商標問題(ULTRA-TRAIL®)

もともと、UTMB の姉妹レースとして開催されている Ultra-Trail Mt. Fuji(以下、UTMF)であるが、2023年4月開催でも by UTMB の大会とはなっていない。おそらく、日本のトレイルランニングレースで by UTMB を冠する大会に最有力だと噂されているのだが、商標問題でトラブルがあって現時点でも by UTMB とはなっていない。

ULTRA-TRAIL® は、UTMB Group が世界中で商標を保持していて、日本でも2012年9月に出願して、2013年11月に登録されている。しかし、それ以前に UTMF を主催している NPO法人富士トレイルランナーズ倶楽部が Ultra-Trail Mt.FUJI の商標を取得済み。昨年、UTMB Group から商標権に関して異議申し立てがあって、それでトラブルが発生したようだ。この影響で、姉妹レースである UTMF が未だに by UTMB になっていない理由と言われている。

https://www.j-platpat.inpit.go.jp/

最終的には、2023年1月6日に100マイルカテゴリの種目名を UTMF から FUJI に変更があり、一応これで問題が解決された(?)のだと思われる。巷では、来年以降にいよいよ UTMF も、by UTMB になるのではと噂されている(知らんけど。)

ライセンス費用(上納金)が高額である問題

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Photo by John Guccione www.advergroup.com on Pexels.com

あと、もう一つよく聞く問題としては「by UTMB」を冠する大会を開催するには、加盟金というのか、ライセンス費用というのか、いわゆる「上納金が高すぎ問題」というのがある。ネット上の記事や Twitter 上で具体的な金額(数千万〜1億円近い)が転がってはいるものの、そもそもこういうお金の話は、契約上開示されていないことが多いので、あくまで噂レベルで留めるべきだはないかと思う。

しかしながら、無償で by UTMB の名前を得られることはまず無い。この上納金を支払うには、大型の企業スポンサーによる支援が必要。日本は、トレイルランニングに限らず、スポーツ競技大会や選手に対する投資や支援が、欧米や中国に比べるとそこまで強くないのが実情。サッカーでも野球でも、スポンサーはいるものの、欧州のプロサッカーリーグや米国のメジャーリーグに比べると弱い。

UTMF の場合は、すでに商標問題は解決できているだろうから、あとはこのあたりのお金の問題があるだろうか。タイの場合は、国家が主催しているのでお金の問題は問題なさそう。他の香港、韓国、中国の場合はこのあたりがどのようにクリアしたのかが、よく分からない。

「商標問題」「上納金」以外にも、レースの参加人数や運用体制、主催者側の財務状況などなど、結構細かく決められているようだ。運用体制も東京マラソンや大阪マラソンなどの都市型マラソン大会ぐらいの体制を整えないといけないようだ。となると、今の運営体制だと厳しく、それこそ国からの支援も必要だろうし、大規模の運営体制を整えるとなると大手広告代理店などの関与も必要なのかと思われる。

あと、僕が個人的に感じているのが、100km、100マイルだけでなく、50kmや25kmといった短いカテゴリーのレースの用意も必要ではないかと思われる。by UTMB が付いているレースが、ほぼ全て50kmや25kmといった短いカテゴリーのレースが用意されている。たくさんランナーを集めるには、なんだかんだで50kmぐらいのレースが一番人を集めやすい事情はある。信越五岳なら、斑尾フォレストトレイルと統合して開催してもできそうかなと思う。

※米国の Western States Endurance Run のみが、100km だけとなっているが、この大会だけ by UTMB もついてないのに「UTMB World Sereis Events」の対象レースになっているので、おそらくここは特別扱いされていると思われる

by UTMB だけがトレイルランニングではない

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Photo by Liger Pham on Pexels.com

僕自身は、日本に1レースぐらいは「by UTMB」を冠するレースがあってもいいかなとは思っている。ただし、必ずしも by UTMB だけが正義ではない。

UTMB World Series Events も、この世界にあるトレイルラニングのリーグの一つすぎない。他にも、サロモンが主催している Golen Trail Series であったり、アジア限定ですと Asia Trail Master もある。ただ、UTMB World Series Events は、UTMB という世界最高峰のレースが君臨しているレースシリーズなので、間違いなく世界最大のトレランレースシリーズであろう。

あと、アジアのレースを走っていると、日本といえば「UTMF」と聞く。「いつかは、UTMFを走ってみたい」という声をよく耳にする。UTMFは、もう10年以上の歴史のある大会でもあるので、アジアでも有数のトレイルラニングレースであることは間違いないだろう。なんといっても、日本を代表する山である「富士山」の周りを走れるのは、やっぱり海外のトレイルランナーからすると魅力的なんだろうね。私も、2014年に STY を走ったが、富士山の幽玄さには感動した。

今のまま単独で運営していくのもあるだろうし、by UTMB 以外のリーグに入って、UTMB World Series Events と張り合ってトレイルランニングを盛り上げていくのもありだろう。

参考文献


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