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SIGMA fp が変える世界

こんにちは。先日「SIGMA fpフェス」というSIGMAさん主催のイベントに登壇して、fpについてお話をする機会をいただきました。

写真の専門家でも何でもない私が何をお話しするべきか、プレゼン内容には非常に悩んだのですが、素直に自分がSIGMA fpのどういう部分に惹かれているのかを、時間をかけて言語化しました。

こちらのnoteでもスライドから一部を抜粋して紹介しようと思います。

1. これまでのカメラ遍歴

今回登壇するにあたって、改めて自分のカメラ遍歴を整理して年表みたいなものを作ってみました。

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デジカメは普及しはじめた頃から好きだったので、CybershotやらXactiやらGR Digitalやら飛びついて使ってきました。一方、一眼レフカメラについては歴史が浅く2012年からになります。

この変遷を振り返る中で思い出した事は、Nikon D600とSony A7iiiの2つのフルサイズ機が自分には本当に合わずに、すぐに使うのをやめてしまった事。

Sony A7iiiを手放した直後に、何を血迷ったかLeica M10-Pに手を出すのですが、その後もとても気に入って使っており、Sony A6500との2台体制が続きます。

山に行くにはA6500は軽く、とても使いやすい。しかし自然を写真に収めるにはフルサイズが欲しい... そんな事を思ってた時にSIGMAからfpが発表されました。


2. 写真・映像がなぜ好きなのか

自分の写真・映像の用途を振り返ってみると、記憶のための記録というのは勿論なのですが、「体験の共有」を非常に重視しています。

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テクノロジーの進化とネットワークの発達によって体験の共有がかつてない程に簡単になっており、映像メディアは自分にとって随分前から言語のようなコミュニケーションの手段になっていました。

そして写真や映像のクオリティによってどれだけ人の感情を動くのか、自ら発信しながら実感していました。

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こんな背景にあり、自分にとって映像機材として特に以下の3つを重視しているのだと考えています。
1.  常に持ち歩ける携帯性
2. すぐに取り出して使える機動力
3. アウトプットのクオリティ

自分自身のこういった特性に対して、なぜこれ程SIGMA fpに魅了されたのか、ここから3つの観点で説明します。


3. fpのデザイン① 佇まい

2019年7月にSIGMA fpが公式発表されて、オンラインにこの様なイメージが流れてきました。

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この姿に大変な衝撃を受けた事を覚えています。まずボディの上から下までマウントしかないその姿。こんなフルサイズ機を見た事がない。

それ以上に衝撃的だったのが、ボディの前面に「SIGMA」のロゴが無い点です。「fp」のロゴが小さく入っているのみ、しかもそのfpのロゴですら撮影時にはどう頑張っても指で隠れてしまう位置にあります。

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そして肝心のSIGMAロゴは背面の目立たない場所にごくひっそりと。

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フルサイズ機に限って言えば、他社製品を見渡すとほぼ画一的にファインダー部分に大きくロゴが入ったデザインになっています。独自のユニークなデザインを貫くLeicaでも一部を除けば赤いLeicaのトレードマークが目立つ形であしらわれています。

ロゴの有無がそんなに大事なのか?と言われてしまいそうですが、SIGMAというブランドのデザイン思想を理解する上で、自分にとっては間違いなく大きなヒントになりました。

例えばフロントのロゴをパーマセルテープで隠すカメラマンの方をよく見かけます。これはモデルの視線がロゴに導かれてしまう事や、モデルの瞳に白いロゴが写り込んでしまう事を避けるためです。

勿論ビジネス的な観点で見れば、メディア上で一番多く取り上げられるであろう、プロダクトの前面に企業のロゴを入れたいという根拠は理解します。

しかし写真を撮るという目的において、道具としての合理性を考えた時にその場所にロゴが無い方がいいという選択をした点に、SIGMAのデザイン思想が色濃く現れているのではないかと感じています。

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そして見れば見るほど、fpのデザインには主張がないと感じます。機能そのもの以外で余計な装飾や誇張、ブランディングや差別化の為のキャラクター付けが無いと感じるのです。

fpには常に傍に置いておきたくなる雰囲気があります。そんな佇まいが自分にとってはとても重要でした。普段カメラを防湿庫に入れっ放しで、使う時しか出さなかった自分にとって、カメラと自分との繋がり方を明らかに変えてくれたプロダクトでした。


4. fpのデザイン② 一貫性

実際にfpを手にとってみて更に驚いたのは、ボディで使われているタイプフェイスでした。このタイプフェイス自体がとても美しいのですが、レンズでも同じものが使われています。

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さらに見てみると、fpのディスプレイのUIでも同じタイプフェイス。

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さらにはSIGMAのWebサイトでも同じタイプフェイスが使われており、ここでようやく「SIGMA Bold」というフォントである事を知ります。

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ハードウェアからUI、果てはWebサイトまで共通したタイプフェイスを使い、徹底した世界観の構築に努めるカメラメーカーをこれまでLeicaを除いては知りませんでした。ですから、日本にこのような美意識を持ったメーカーが存在する事自体をとても誇らしく感じています。

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また、SIGMAのカメラにはロゴが無くてもSIGMAのプロダクトだとひと目でわかる、統一されたデザインの世界観があります。

ロゴでブランドを主張するのではなく、そのプロダクトの造形や纏っている空気感にブランドのアイデンティティがある。SIGMAの製品を眺めているとそんな風に感じさせてくれます。

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5. fpのデザイン③ 透明感

私はfpをとても透明感の高いプロダクトだと感じています。

一つは前述したfpの前面にロゴがない点。これはfpから撮られる側からすると、とてもノイズの無い状態だと言えます。

もう一つが先日、友人とfp同士で雪山に行って初めてfpで撮られた時に感じた事なのですが、撮られる側から見るとカメラで撮る側の顔が隠れる事が少ない。これは実は撮る・撮られる関係において、とても大きな変化なのではないかと思っています。

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人間はあらゆる生物の中で最も、多くの情報を表情でやり取りする非常にソーシャルな生き物です。お互いの顔が隠れない事によってその間にあったカメラという存在は薄れ、コミュニケーションの在り方自体が変わるのではないかと感じています。

一方で撮る側から見たfpの存在感ですが、こちらもとても透明感が高い体験を提供していると感じていました。そんな事を思っていた時に、koyokoさんという方のnoteで、fpの背面のディスプレイの専有感についての指摘が見つけました。

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確かにfpは背面の面積に対してディスプレイの占有率が高い気がします。気になったので実際に計測してみた所、約40%でした。

比較のために他社のフルサイズ機もカタログの画像から判る範囲で計測した所、概ね20〜30%の間だったため、占有率はかなり高いと言えそうです。

このハードウェアの面積に対して向こう側が見えている面積が大きい事からハードウェアの存在感が薄れ、撮影者に透明感の高い体験を与えているのだと考えています。


6. 道具に求められる透明性

「透明性」は近年のユーザーインターフェースを論じる上で、とても重要な比喩です。これは人が行為に集中するために道具に対して無意識に認知が行われる状態を指しており、いま誰もが使っているスマホは歴史を辿ると透明化に向かっていると言えます。

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上図は左から初代iPhone、iPhone 5、iPhone Xと共に、それぞれの時代のInstagramのUIを貼り付けたものです。

2007年のiPhoneはスキューモーフィックと呼ばれる、レザーやファブリックなど現実に存在するマテリアルのテクスチャや、立体感の演出のためにシャドウを多用していました。2012年のiPhone 5ではフラットデザインが採用され、現実世界のメタファは無くなり立体感が無くなりました。

そして2018年のiPhone Xでは先ずハードウェアに大きな革新が起こり、デバイスの表面をほぼディスプレイが覆うようになりました。これによって人はスマホという「窓」から、まるでアプリの世界を覗き込む様な体験をするように変化しました。

併せてUIもNavigationBarやTabbarといった世界を隔てる境界になっていたパーツがUIの部品として消えつつあります。またブランドのカラー自体も次第に消えていき、純粋に目的を果たすためのツールに近付いて行っています。このように人とアプリの間に存在するデバイスは透明に向かっていると言えるでしょう。

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このようなユーザーインターフェースの進化の流れにあって、レンズ交換式カメラはどうかと言えば、スペックは年々向上していくものの、人と道具の関係性としては、もう何年も進化を感じていませんでした。

そんな所に、突如「脱構築」というキーワードを伴って投げ込まれたのがSIGMA fpというプロダクトです。強烈なメッセージを感じました。


7. fpに起こしてほしい変化

下図はCIPA(カメラ映像機器工業会)が公開している「CIPA 出荷実績&見通し 2019」のデータを元にグラフ化したものです。

2010年から2018年までの日本市場のレンズ交換式カメラの男女比率を表したものですが、女性の比率が近年増加傾向にあるものの、ようやく1/4に至るかどうかという所です。

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fpは恐らくフルサイズ機としては初めて、女性でも持ちやすいサイズ感や重量の機材なのではないかと思っています。

女性の比率がまだまだ低いので、より多くの女性に使って欲しいという話でもあるのですが、それ以上にこれまでスマホの写真で満足してしまっていた方にも、ぜひfpを使ってみてほしいと思っています。

これまでフルサイズのカメラを使っていなかった人々が手に取る事で、また新たな世界が切り取られ、誰も見たことがない景色が共有されるようになるといいな、とそんな事を妄想しています。

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以上です。
最後に最近気に入ってるシネスコの写真を貼っておきます。

シネスコとは:
シネスコは映画でよく使われるアスペクト比ですが、SIGMA fpにはほぼ同等の「21:9」画角が搭載されています。さらにハリウッド映画発祥のカラーグレーディングを再現した「Teal & Orange」を併せて使うと、まるで映画のワンシーンの様な画が撮れるので、最近スナップで気に入ってます。

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THE GUILD 共同創業者 / YAMAP CXO / デザイン・テック・アウトドア・ガジェットあたりの事を日々発信してます

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SIGMA fpがほしくなるマガジン
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  • 17本

読んだら思わずSIGMA fpが欲しくなってしまう。そんなnoteを集めました。

コメント (2)
一気に欲しくなりました!
めちゃくちゃ欲しくなりました!
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