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製品開発テーマの納期延長や中止の悪循環から抜け出し、さらなるチャレンジへ(開発DFMマネジメント研究会 第1回開催レポート)

こんにちは。ゴール・システム・コンサルティングの真道(しんどう)です。先日はクライアント企業の皆様をメンバーとする製品開発マネジメントに関する研究会(名称:開発DFM研究会)を立ち上げたことをご紹介しました。ここではその第一回目の様子を、より具体的にご紹介したいと思います。製品開発に取り組む方々の多くの方々に共感いただけるであろう、製品開発マネジメント改革のリアリティと、熱のこもったディスカッションの模様をお伝えします。

▼開発DFM研究会立ち上げのご報告はこちらをご覧ください

■ 事例企業における取り組みの背景

本研究会は、ほぼ月に一回のペースで定例会を開催しています。毎回メンバー企業が交代で、自社における製品開発マネジメント領域における取り組み内容を共有いただき、メンバーによる質疑応答と議論を行っています。第1回目は某大手メーカー開発部門マネージャーのAさんから事例を共有していただきました。

Aさんの部門には、大きく二つのカテゴリーの開発テーマがあります。ひとつは製品開発テーマであり、もうひとつは技術課題解決のための要素開発テーマです。後者は前者に比べて、より不確実性が高くマネジメントが難しいという特徴があります。

定例会当日、Aさんにはまず活動開始前の部門の様子を振り返っていただきました。当時Aさんは「メンバーが皆一生懸命頑張っているのに、それに見合うようなアウトプットが出せていない」と感じていたそうです。実際に開発テーマの納期を延長したり、一部の開発テーマを中止することもあったようです。

一方で新規の開発テーマは次々と開始されるため、開発メンバーは目の前の開発で手一杯になってしまい、必要な教育や改善といったことは後回しになりがちであったということです。こうして開発テーマの長期化や中止が続くという悪循環から抜け出せずにいたというのです。

また、当時の開発テーマの管理方法についてもお話いただきました。計画の立て方は個々の開発リーダーに任されていて、会社からの「短期間、低予算でやってほしい」という期待感(プレッシャー)も感じながら「根拠のない日程」で開発テーマを開始しがちであったようです。そして開発テーマの実行中は、進捗が見えにくいために対策を打つのが遅れてしまう、といったことが発生していたということです。

このような活動開始前の状況を聞いて、当日はオンラインでの開催のため画面越しではありましたが、メンバーの皆さんは深くうなずいている様子でした。

■ 当該企業における取り組み

このような状況を打開すべく、Aさんを中心とするマネージャーの皆さんが部門としての開発マネジメントの「カタ(組織としての良いルーチン)」を作る活動を立ち上げたのです。Aさんからは以下の3つの内容で取り組み内容を共有いただきました。

1. 製品開発テーマにおけるマネジメントのカタ作り

ここでは製品開発テーマにおけるマネジメントのカタ作りのポイントとして、CCPM(※)をコアのソリューションとする以下の3つのことが紹介されました。

※CCPMはTOC(制約理論)のプロジェクトマネジメントに関するソリューションです。詳しくはGSCのYouTubeで解説しています。

製品開発テーマにおけるマネジメントのカタ作りのポイント
① リスク対策を含んだ「根拠ある計画」の作成
② フィーバーチャート(緑黄赤の)色別対応の徹底
③ タスク開始前の段取りコミュニケーション

                    (Aさんの取り組み発表より)

これら3つのポイントを押さえることで、発生した課題の議論に終始するのではなく、時間軸上で先のことに焦点を合わせて開発を進める「先手管理」を実践できるようになったことが紹介されました。現在のところ、これらのポイントを適用した開発テーマは全て納期通りに完遂することができており、今後メンバーが繰り返し実践できるような「カタとなるやり方」が固まってきたということです。

2. 要素開発テーマのマネジメントのカタ作りへのチャレンジ

続いて、上述の製品開発テーマにおけるカタをベースとしつつ、より不確実性が高い要素開発テーマのマネジメントに特有なカタ作りの取り組みも共有いただきました。

要素開発テーマの特徴として、課題に対する解決策が複数存在することが挙げられます。この特徴を踏まえ、Aさんの部門では計画段階であえて開発がベストのシナリオ通りに進まないケースを想定し、関係者と議論し認識を揃えた上で計画を策定しているということです。

そして、実行場面では実際にトレースしているシナリオをモニタリングしながら、今後の開発の進展を見据えたコミュニケーションを行っていることも紹介されました。

このようにして、上記の製品開発と同様に先手管理を行うことで完遂できるテーマも現れ、要素開発テーマにおいてもでもカタとすべきマネジメントのやり方が固まりつつあるということです。

3. 部門マネジメントへの活動展開

ふたつの開発テーマのカテゴリーに対するマネジメントのカタが見えてきたことで、Aさんの部門では部門マネジメント改革の取り組みにも着手したことが紹介されました。

ここでは個々の開発テーマのマネジメントを越える部門としてのマネジメントを対象として、主に①部門ビジョン、②技術開発ロードマップ、③人財育成ロードマップの3つについて検討している様子が共有されました。
GSC(私)の立場からすると、これはまさにDFM(ダイナミック・フロー・マネジメント)の実践そのものだと感じました。

▼GSCの提唱する変革のフレームワークDFMについては、ホームページをご覧ください

■ 難しい要素開発テーマのマネジメント

事例紹介の後、参加者の間で活発な質疑応答、議論がありました。
中でも上記2つめの切り口である「要素開発テーマのマネジメントのカタ作り」については活発なやり取りがなされました。複数のメンバー企業から、要素開発では途中で予期せぬ技術課題が発生すること、それにより開発工程が大きく遅れがちである、といった課題認識の共有がありました。

一方で、今回事例を共有いただいた企業も含めて、CCPMをベースにして他の施策・ツールを組み合わせることで、技術開発テーマでも再現性あるマネジメントができるようになってきたことも共有されました。

メンバーの皆さんによるやり取りをお聞きしていて、私は要素技術開発のマネジメントにおける要諦は「先手管理をいかに実現するのか」だと感じました。今回のAさんによる事例共有は、メンバー企業の皆さんにとって、あらためてどうやって要素開発テーマをマネジメントしていくべきかを考えるためのきっかけとなった様子でした。

要素技術開発を含む製品開発のマネジメントについては、これまでGSCもソリューションの開発に取り組んできました。そしてCCPMだけでなく、それを補完する手法論・ツールも活用することでこれまでよりも安定したマネジメントが可能になることを、10月4日に実施した弊社セミナーや今年10月8日~10月11日にアメリカ・フロリダ州で開催されたTOCICOカンファレンスでも発表しました。

本研究会の様子と、そのような製品開発ソリューションについては今後も情報発信していきますので、ぜひ引き続きご覧ください。

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