ホストクラブあの夜、鼻ニンニク part1
2018年 夏
10歳ほど年の離れた後輩がいた。彼はホテルで働いていた。
休みを横浜のビーチで満喫した彼の顔は照り付ける太陽に痛めつけられ真っ赤になっていた。
翌日、彼はそのままホテルへと出勤したものの、その顔で接客できるはずもなく帰宅させられた。
さらに翌日、彼の顔の色は正常に戻りつつあったが次は顔の皮がぼろぼろとめくれていた。
顔射されてそのまま寝るとこんな感じになるのかなと俺は思った。
彼はそのままホテルへと出勤したものの、顔射されたような顔で接客できるはずもなく帰宅させられた。
常識のなさにあきれるが、思い返せば自分も若いときはこんな感じだったのだろう。むしろ次の日のことを考えずめいいっぱいその瞬間を遊ぶという彼の姿勢に俺は心を打たれた。
10日間ほどの出勤停止の懲罰を受けることとなった彼を俺は応援したくなった。
休みの10日間、何をするのか。ただ寝て食うだけでは何も変わらない。新しいことにチャレンジしなくちゃだめだ。接客業を続けるにしてもこの先ペッパー君みたいなのが大量配置されれば君の仕事はなくなるかもしれない。今の君のままで大丈夫なのか。この10日間で自分を変えてみないか。
俺はそんなことを適当に言いながら誘導していく。誘導する先は決まっていた。
「ホストやってこいよ」
若い時は俺もホストのスカウトを受けることがあった、電話しようと悩んだ日もあった。しかし結局今日までホストをやることはなかった。俺はもうできないだろう…彼に俺の分までやってもらおうと思った。
体系はひょろっとしてていいが、顔はいけてない髪型もダメだ。会話スキルは微妙だがいじられるキャラとしての才能が彼にはあった。
こいつなら一流ホストにはなれなくとも、最強のアシスト役になれるのではないだろうか。
その晩、俺はチャリで歌舞伎町に偵察に向かった。コインパーキングの上にかかげられたポスターを見てなぜかここだと思った。
続く
えっ?俺をサポートしたいって?いいぜ。やっチャイナ♪