ソーシャルビジネスについて

ボーダレス・ジャパン社長の田口さんが執筆した「9割の社会問題はビジネスで解決できる」を今日読み終わった。ので、雑多に感想を描いていきます。

まず、率直に言うと本当に今読んで良かった。というのも、自分が日々もやもやしていたことや、具体的にどうすれば良いんだろうと考えていたことに答えをくれたので。自分の仕事に社会的意義を感じられなかったり、何か社会のために役立つ活動がしてみたい。自分でビジネスを作ってみたいというマインドを持った人には刺さるのではないかと思う。

まず、簡単にどんな本かおさらいしておくと、ボーダレス・ジャパンという社会起業家のプラットフォーム(社会起業家が集い、話し合い、サポートし合う場のようなイメージ)を設立した田口一成さんの起業までの道のり、ボーダレス・ジャパンという会社の成り立ちや理念、社内制度、ソーシャルビジネスの作り方や事例などをまとめた本である。

田口さん自身のストーリーや、実際の社会起業家の方々の事例も面白かったが、個人的にはボーダレス・ジャパンの社内制度とソーシャルビジネスの作り方の部分が非常に興味深かった。

まず感じたのは、ボーダレス・ジャパンは社会起業家を育て、支える仕組みが充実している。例えば、先輩起業家の余剰利益で資金調達ができる恩送り制度やボーダレス・ジャパンに加盟する企業の経営者が様々な悩みや成功事例を共有し合うMM会議など、起業家が悩むポイントを上手く解決してくれる。きっと、先輩起業家たちが悩んだ経験が活かされているのだろう。

確かに、メディアを通してだったり、ボランティアをして社会問題に触れる機会というのは誰しもあると思う。ただ、多くの人にとってその経験は世間話の種か、知らない人へのマウント取りに終始する。一握りの人がなんとかしようと具体的な行動に移す。しかし、それも「どうやって?」という問題にぶち当たる。せいぜいが単発のイベントを企画したり、NPOなどのイベントに参加して体験談をSNSで語るくらいだ。どんなに想いがあって行動しようとしても、いきなり借金をして会社を創るのはあまりにリスキーだし、創ったとしてビジネスをどう進めて良いか素人には分からない。だが、ボーダレス・ジャパンにはその本当の一握りの、想いしかない素人を支える仕組みがあるのだと理解した。そして、志を持った人が起業というあまりにも高いリスクに物怖じして諦めてしまうのは社会の損失だというのには素直に共感した。

次に、ソーシャルビジネスの作り方が具体的に書かれていたのは非常に参考になった。私自身、新規事業開発という抽象性の高い仕事に従事しているせいで、方向性を見失うことがある。具体的に言えば、個人としてビジネスは社会性と利益を伴わなければならないと強く思っている。でも会社としては利益を出すことが最優先であるし、社会性と利益が両立できるビジネスなんてどうやって作れば良いんだ?という悩みは絶えず抱えていた。また、「AIやデータ解析を使うことが前提にお困りごとを解決する」といったような、新技術やテーマありきの事業開発が横行していることも違和感を感じていた。

そんな悩みを抱える私に、社会起業家のエッセンスが詰まったこの本は2つの答えを出してくれた。1つは、社会性と利益の両立は困難だが可能であるということ。もう1つはソーシャルビジネスは現状の課題と理想の社会のギャップを埋める方法であり、現状と理想の具体化・現状を知るためのヒアリングが重要であるということだ。

これらの回答は私に大きな希望を与えてくれた。社会性と利益を両立した成功例はある。そして、技術やテーマありきの事業開発はやはり間違っていたのだと改めて気づかせてくれた。まずは現場のヒアリングで現状の課題を固めるべきだという自分の考えは間違っていなかった。そしてヒアリング以降のビジネス創出の方法論も非常に参考になるものであった。

今本業の他に、友人とやっている人材関係のビジネスや個人的に日本に住む難民の方へのインタビュー取材を行っている。それらの活動にも身が入る思いがした。本当に雑多で、全然上手くまとめられていないけど、この本は私に希望と自信と方向性を与えてくれた本でした。

そういえばPHPの読書感想文コンクールの課題図書みたいなので、もう少し綺麗にまとめたものを、読書感想文に出そうと思います(笑)

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