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【経営をするように生きる】気軽な両利きの経営

いろいろな仕事をしている個人の方に役に立ちそうな、経営のネタを書いてみたいと思います。結局、人生も会社の経営も同じだな、と思ったからです。

人生100年時代と言われていますが、端的に言えば、1つの仕事や1つの職場だけで、仕事、人生が全うできないマルチステージの人生を送る必要があるということです。
皆さんも既に何社か、転職や仕事の変化を経験されているのではないでしょうか。会社を変えるかどうかは別としても仕事の内容が変化していることは確かだと思います。

個人も経営者と同じだと思う

転職など仕事における役割を変える時に、実感することは人間個人も結局は会社と同じで、経営をしていかなければいけないということです。以前の記事にも書きましたが、人生100年時代は特に、自分の人生のハンドルは自分で握っていく必要があります

自分の得意なこと・好きなことや経験やキャラクター、ネットワークや財産などを生かして、顧客や働く会社、その他のコミュニティーの役に立つ(選ばれる)必要があるということです。

この選ばれるタイミングは、当然、転職する時もそうですし、1つの会社でも、事業が変わる場合や部署が変わる場合など、その新たな環境や事業で、自分自身がどのように貢献できるか、このように、自分自身の強みや資源を環境に合わせる事は、経営とほとんど同じだと思います。

経営者の方や独立して自分で仕事をしている人だけではなく、会社の中で生きている人も、顧客ではないかもしれないですが、会社や誰かに選ばれています。

そういうこともあり、これからを生きるために経営的なことで、個人に生かせるものを色々と考えてみたいと思います。
どれだけ皆さんの役にたつか分かりませんが。ただ、少しでも何かが皆さんに残って、それによって人生の経営をより良くすることができればうれしく思います。

前置きが長くなってしまいましたが、今日は「気軽な両利きの経営」について書いてみたいと思います。

両利きの経営とは何か?

両利きの経営とは何でしょうか。聞いたことがある人もいると思います。
両利きの経営の目的は、経営的に言えばイノベーションを起こすことにあると言えます。そして、そのイノベーションを既存事業をしっかりやりながら、そのリソースを活用しながら実現するということです。

ベストセラーになっている東洋経済 「両利きの経営」の著者:チャールズ・A・オライリー、マイケル・L・タッシュマン は、以下のように言っています。

成熟事業の成功要因は漸進型の改善、顧客への細心の注意、厳密な実行だが、新興事業の成功要因はスピード、柔軟性、ミスへの耐性だ。その両方ができる組織能力を「両利きの経営」と私たちは呼んでいる。

東洋経済 「両利きの経営」著:チャールズ・A・オライリー、マイケル・L・タッシュマン

色々と難しい事は置いておいて、両利きの経営とはシンプルに言うと、

「今やっている事をより良くする活動と、新しいことを探索する活動を両方ともしっかりやる」
と言うことです。

当たり前のことじゃないか、と思う方もいらっしゃると思います。そうなんです、当たり前のことなんです。

両利きの経営は、なぜ必要なのでしょうか。
それは、個人で言うならば仕事人生を長生きさせるためです。企業経営における両利きの経営であれば、企業を長生きさせるためであるといえます。(もちろん、それ以外にもいろいろな目的がありますが、ここではシンプルに表現しておきます。)

例えば、以下の図はボール社というアメリカの会社の事業の歴史を示しています。単一の事業であれば、今まで生存できていないことが明らかだと思います。

両利きの経営 東洋経済 チャールズ・A・オライリー マイケル・L・タッシュマン著より

木製カバー付きのブリキ缶だけであれば30年も会社は持たなかったでしょう。それが、今や全く別の事業で存続しているのです。
注目すべきは、それぞれの事業がまだある程度伸びている段階で、次の事業が立ち上がっていることです。

ここに、これからの私達の人生を当てはめてみるとどうなるでしょう?ボール社の140年以上の歴史まではいきませんが、仕事のサイクルが短くなり、かつ働く期間が長いと、ボール社的に様々な仕事に取り組む必要が出てくるかもしれません。

今の事業や生活がうまくいきすぎていると、新しいことを探索する活動というものがおろそかになります。
これは、皆さん個人にもありがちでしょうし、その個人の集合体である会社にも言えることです。

まずは、皆さん個人で何かがうまくいっている場合でも、常に新しいことを探索する習慣を身に付けることが、今後の働く環境の変化や、会社における役割の変更などに活かされることになります。

まずは、会社に両利きの経営を取り入れようと言うような難しいことを言う前に、私たち個人で両利きの経営的なことをやってみるのも面白いと思います。

すぐ始められること:ちょっとした両利き活動

両利きの経営、とまではいきませんが、そのとっかかりとして「両利き活動」を紹介したいと思います。

・いつも絶対読まないジャンルの本や映画などに触れてみる → サイコロを振ったりしながら見る作品を選ぶ。その時に自分の意思を介在させない。

・いつも絶対行かない場所に行ってみる→ それこそダーツの旅のようにランダムに

・新しい趣味を始めてみる

何か定年をした人が暇な時間をなんとかするためにアドバイスをされているような内容かもしれません。
しかし、まずはこんなところからスタートすれば良いのです。

両利きの経営とは、自分自身が知っていること以外のことを知る、体験することからスタートします

私たち個人は、生まれて、この方の経験の偏りや、それによって培われた性格や強みなど、様々なものを組み合わせて社会と折り合いをつけて生きています。

しかし、最近この折り合いをつけるタイミングはいつだったでしょうか。皆様の中で、仕事がうまくいっているなと思っていればいるほど、今皆さんが持っているそのような資源を同じ仕事に使い続けてるかもしれません。

そのようにしていると、環境が変わったり、転職をする必要が出たときに対応できなくなってしまいます。
このように少しずつストレッチをしてみると言うような感覚で、新しいことを取り入れてみるのが両利きの経営のスタートになります。
経営における両利きの経営は、既存事業の資源を新規の探索に活かす組織能力です。個人の両利きの経営においては、環境の変化に自身の経験や強みなどの資源を適応させる能力であると言えるのではないでしょうか。


変化に対応する能力を身につけることが目的(ハードルを高くしすぎない)

両利きの経営の目的は、変化に対応する能力を身につけることで、どのような変化に対応する必要があるのか、についてはある程度の傾向が見えている部分もあれば、そうでない予想外のものもあります。

両利きの経営を取り入れることは、「自分自身が認識していない外(認知外)に触れる機会を意図的に作ることによって、変化に対応する能力を身につける、ということです。

ストレッチ。いきなり力士の股割りにならないこと。

両利きの経営は、東洋経済の両利きの経営のアメリカの大企業のガチガチのバージョンだけを参考にすると、とてもハードルが高く感じてしまいます。

「そんな事は、両利きの経営とは言えない」とか、あまりごちゃごちゃ厳格なことを言わずに、ちょっと新しいことを試してみる位の気持ちで、体をストレッチさせるようなことで少しずつ始めれば良いと思います。

いきなり、力士の股割りのように、ペタンと体が開脚してつくわけでもありません。少しずつ柔軟体操を積み重ねていくうちに、少しずつ体が柔らかくなって、結果として力士ほどでは無いにしても股割が完成するわけです。


個人が、人生100年時代を生きる上での両利き的な経営要素があるとすると、前述のように少しずつ新しい環境や新しい趣味や仕事に取り組んでみることからです。

リンダ・グラットンさんの書籍「ライフシフト」においては、ライフステージにおいてエクスプローラ(探索者)の時期があるという話があります。
つまり、仕事に集中すると言うよりは、少しフラフラしながら、自分自身の価値観やこれからの可能性を探求する時期ということです。

ただ、今の日本において比較的低所得できてしまった状況の中で、探索者の時期を数年も過ごす事は、資金的な余裕も含めてなかなかできそうにありません。今の生活の中でも少しずつストレッチをしていく気持ちを持って取り組んでみることから始めませんか。

このような感じで、今後も個人で簡単に取り入れられる、スタートすることができる経営的な論点を上げていきたいと思います。

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