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知的トレーニング 外部環境についての関心と洞察力を鍛える ③

今回は、外部環境への関心や洞察力を鍛えるためのアクションの2つ目である「インプットを実践して、仮説にぶつける」について記載していきたいと思います。

インプットを実践して仮説にぶつける

前回の記事で、自分の目標と仮説を作るという話をしました。以下のように目標と、そのために必要な仮説、もう一段階掘り下げた外部環境仮説というものまで掘り下げてみよう、というものでした。

今回は、その外部環境仮説(以下の図をご参考ください)を軸に、日々の新聞やニュースなどのインプットをぶつけてみよう、ということです。

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上記のように、例えば1年後の個人目標について、それが実現するために必要な前提(直接的仮説)とその直接的仮説の実現を支える外部環境的仮説を分解してみます。

この外部環境的仮説が、インプットをぶつける対象になります。例えば、2021年4月15日の日経新聞朝刊5面に「1人10万円給付 高所得層は貯蓄」という記事がありました。

この記事は2020年4月に決めた1人10万円の現金給付が消費行動をどのように変えたのかということを家計簿アプリを活用した分析により示した記事です。特に中高所得層は大半が貯蓄に回し、低所得層は消費に1.5倍の波及効果があったということでした。

これは、消費税についてもいえることですが、低所得層の方が収入に対する消費の割合が高い(高所得層で例えば低所得層の方の100倍の所得があっても100倍の消費はできない)ため、消費税の相対的な負担感や、このような消費促進施策の効果が大きいということなのだと考えられます。

なお、健康食品を購入する層はある程度の中~高所得層と想定されるため、2020年4月時点のコロナの先行きが見えない状況の中では保守的な消費行動に向かうことが示されたと読むこともできます。

今後の、ワクチン普及後における生活環境や仕事の環境の先行きがどの程度見えるかによって、今後も健康食品のお客様の消費活動は大きな影響を受けそうである。また、今後の助成金などが政府から出たとしても健康食品の消費が増加することはあまり考えづらいのではないか、といったような洞察が生まれてきます。

仮説に記事をぶつけるとはこんな感じです。つまり、外部環境仮説を眺めつつ、記事から読み取れることを問いかけて仮説を磨いてみる、ということです。この例については、上記の図で掲げた外部環境仮説にぴったりと当てはまる内容ではありませんが、

・コロナ禍を含めた先行き不透明感に関する高齢者を含む中高所得層の消費動向に関する洞察

・補助金や助成金などの手当に関する消費構造の層別の感応度

といった目標に関する関連事項への洞察を得ることができます。また、当時の緊急事態宣言発令時における実際の自社の売上実績と比較することにより、当該記事の記載内容と自社の健康食品の売れ行きとの相関関係を検証することもできるでしょう。

このアクションを分解すると以下に分かれます。当たり前ですが。

①・インプット

②・インプットしたもののメモ

③・メモと仮説をぶつける

そして、ほとんどの人が①で止まっています。また、②まで行っている人でもそれが継続している人、及びメモを読み返している人は非常にまれです。この段階でもかなりなものです。

そして、一歩踏み込んでみた③の段階については、これをやることでアンテナ(関心)や思考力が圧倒的に強化されることが実感できると思います。また、そのアンテナ(関心)や思考力が強化されることによって、もちろんですが目標の実現に向けた具体的なアクションや、目標を実現するために必要な前提、外部環境仮説の検証状態を踏まえてどの程度目標が実現しそうかという精度の高い予測が立てられるようになります。


関心を持ちやすい外部環境から始めてみる

いきなり100年後の地球の事について関心を持つといっても難しいと思います。

でも、自分自身に直接関係のある今の事であれば当たり前ですが関心を持たざるを得ないのではないでしょうか。

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例えば新型コロナウィルスのワクチン接種がどの程度進むのか、そして今まで通り自由な生活をできるようになるにはあとどれくらいの期間が必要なのかといった情報については今皆さんがどこに関心を研ぎ澄ましているのではないでしょうか。

当たり前ですが、人間はより今に近い時間軸の出来事のほうに関心を持ちますし、そして通称がより自分に近い物事に関心を持つのです。

このように、時間軸と、関心の幅と言う2つの事象で切り分けるとより関心を持ちやすいトピックとそうじゃないトピックが分かれてきます。

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なので、スタートラインとしては今の自分に短期的に関係のあることから考えてみることです。

そして、その次には自分が1年後どのようになっていたかといったことについての将来ビジョンを立てて、そのために必要な仮説論点をリストアップします。その仮説に引っかかる情報を日々ぶつけていくということです。

例えば、1年後イギリスでのビジネスをスタートしたいと考えていた場合に、イギリスでの新型コロナウィルスのワクチンの浸透度合いや、感染者の情報などがどんどんと飛び込んでくるはずです。
当たり前ですが、1年後も日本での活動を主にしていこうと考えているビジネスパーソンの方にとってみればイギリスでの感染者の情報については日本における集団免疫の聞き方や、ワクチン接種に絡む諸問題の参考になる程度でしょう。

結局は自分自身が関心を持ちやすい、そしてアウトプットに繋げやすい部分のインプットをしながら丹念に検証していくと言うことを繰り返していくことで外部環境についてのアンテナや、そこから洞察する能力が身に付いてくるということです。


これからの記事では、その時間軸を伸ばしていった場合や、自分やその家族以外に関心の幅を広げていったときにどのような考え方に至るかと言う事を経営の目線を絡めながら記載をしていきたいと思います。

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