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【経営とビジネスのヒント】コロナ禍を正面から検討する①

コロナの件は、これからしばらくの付き合いになりそうです。
そんな中、テレワークでワイドショーをちらっと見ると、「で、結局なんなの?」
というような表面的な情報が蔓延しており、気が滅入りそうになります。(ということでテレビはほとんど見ないことにしています。)

どうせ、ここ1年以上はこの話題からは逃れられそうにないので
皆さまにとっては当たり前の話かもしれず恐縮なのですが、私自身の頭の整理として記載します。

もし、ご参考にしていただけましたらうれしいです。長くなるので、いくつかのシリーズで書いて行こうと思います。個人で集めた情報や考えに基づく記載なので、誤りなどあるかと思います。その際は何卒ご容赦ください。ご指摘いただけましたら、確認の上修正します。


論点について

個人も企業も、結局問題になるのは

① 当面の生存・生活
② コロナ動向の先行き予測と判断軸
③ 個人・企業としての行動の判断基準・モラルの基準をどうもつか

ということになるのではないか、と思うのです。

既に、①の当面の生存・生活については、助成制度などについてはあらゆる人が情報提供をしているため今更ここで触れたところでたいしてお役に立てないと思います。

ということで、②「その先のコロナの動向のさきゆき予測・判断軸」と③「個人・企業としての行動の判断基準・モラルの基準」を中心に考えていきたいと思います。
今回は、その中でも②の先行きについて考えてみたいと思います。



コロナ動向の先行き予測と判断軸(全体像)

コロナ禍の動向を大局的につかむためには、フローとストックの両面から捉えていく必要があります。

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まずは、ここ数か月から1年程度についてはフローが特に重要視されるタイミングになると思います。


■短期フェーズ(1年程度まで)においてはフローがポイント

ここ数か月から1年程度については、ワクチンが開発されるまでの間新規感染者数や感染中で隔離されている方、感染者のうちの重症者の方に対して適切な医療・隔離キャパシティをとって安全を確保する必要があります。

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ここ数か月から一年程度の当面の期間は、フローとして新規の感染者数、現在感染している人で回復していない人の数、重症者数、これらの数に対する医療キャパシティのエリアごとの状況が重要になっていきます。

また、感染者1人が何人に感染させるかという「実効再生産数」が重要な要素になり、その数が1を超えると感染者が増加傾向になり、1を下回ると感染者数が収束していきます。

ただし、以下に記載する集団免疫状態になる前における実効再生産数については、1を下回ったところで安心はできません。結局、感染していない人は行動の自粛が緩和された段階で感染するリスクがあるため、通常の社会活動に戻った段階で実効再生産数が1を超えることが想定されるためです。


■中長期フェーズ(短期フェーズ後)においてはストックがポイント

一定以上の期間を経て、累計感染者数、抗体を持つ人の割合が増加していった場合には、その累計が集団免疫に到達するかどうかといった、累計(ストック)にポイントが移っていくと考えます。(もちろん、常に感染者数と重症者数と医療キャパシティとの比較が必要です)

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上記の図のように、感染者数の累計やワクチンの開発による感染者数の累計が集団免疫割合に到達するかどうかという点がポイントになります。

集団免疫割合に到達すれば、実効再生産数が1を下回る状況が継続するため自然に新規感染者数は減少に転じることになり、収束に向かっていくことになります。

こういった、全体イメージを持ちつつ、まずは短期的なフローの部分を見ていきたいと思います。


コロナ動向の先行き予測と判断軸(短期①)

まず、当面重要なことは短期(今後数か月から1年程度)の動向についてです。

■短期的な検討構造について

先ほどの図について、解説をしていきたいと思います。

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まずは、感染者数(感染者のうち回復・または死亡していない方の数)の推移があり、そのうち重症化している方の数も同様に重要な情報となります。

これらが、感染者数については隔離のための施設、重症化した方についてはICU等の重症者医療キャパシティ内でカバーできていなければ医療崩壊や感染者急拡大につながってしまいます。

特に、重症化した方がICU等の重症者医療キャパシティを超えると医療崩壊により死者数が急激に増加するため、そのようなことにならないように重症者数が重症者医療キャパシティを超える可能性がある場合には第二の緊急事態宣言等による自粛要請が発動されることになります。

日本は今のところ大きな問題を起こさずに、感染者数や死者数も他の国とくらべると抑え込めていると考えられます。

なお、緊急事態宣言の解除の条件について、日本とドイツでは100倍の差があります。

日本では「10万人あたりの一週間の新規感染者が0.5人以下」

ドイツでは「10万人あたりの一週間の新規感染者が50人以下」

となっています。東京の人口を約1000万人とすると、1週間あたり50人以下の感染者に抑える必要があるということです。

一方で、ドイツの首都ベルリンは人口は400万人弱で、ドイツの基準で言えば1週間あたり2000人以下の感染者で抑えれば緊急事態宣言が解除されます。

このような基準によって、感染者と重症者と医療キャパシティのバランスを踏まえて国・地域ごとにバラツキのある基準によって統制されていくことになります。


■治療薬、ワクチンの開発の効果

アビガンなどの治療薬については、重症化した患者さんの症状を回復させる効果が期待できるため、重症化率を下げる(厳密には重症化率は下がりませんが、重症化した人の症状を軽減させるため総重症化患者数の減少につながる)ことが期待できます。しかし、治療薬ができるだけでは、感染者数を抑えることはできません。

一方で、ワクチンが開発された場合には、これは疑似的に感染状態を作ることによって抗体をもった人の割合を増やすため感染者数そのものの減少に貢献することになります。(ワクチンの接種によって集団免疫を達成させる)


■健康と経済のトレードオフ

コロナ禍のつらいところとしては、感染を抑え込めるために自粛・ロックダウンの基準を厳しくしすぎてしまうと経済に対しての影響がとても大きい点です。以下の図のようなイメージです。(先ほどの基準で言えば日本はかなり経済を犠牲にして、感染リスクを抑え込む方向に振れています)

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このドイツと比べると感染リスクを抑える方向に振れている理由としては、ICUベット数など重症者に対しての医療キャパシティの違いがあります。

ドイツは10万人あたり30床程度、日本は10万人あたり5床程度しかICUベット数がないということです。

そういった観点からも、重症者医療キャパシティを拡充させることが、経済再開に向けての必要な投資になっていくのです。

しかしながら、ただでさえ日本の財政は逼迫している中でなかなかこのICUキャパシティを拡充させることは難しく、また、設備だけでなく人材の育成も含めての時間軸で考えると、短期的に整備できるものではないのでしょう。

そのため、ICUキャパシティを拡充させるよりも、治療薬の開発と普及を優先させている事情があると想定されます。


短期的な構造について見てきましたが、次回で短期②としてPCR検査率が少ない状況や、ロックダウンと自粛の違いによる先読みの難しさ、などについて記載をしていきたいと思います。

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