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知的トレーニング 外部環境に対する関心と洞察力を鍛える④

今までの内容で、まずは自分自身の目の前のことを軸にして目標から仮説を立て、その仮説に日々の新聞などのインプットをぶつけてみるサイクルを説明しました。

今回は、少しずつその縦の幅と横の幅を広げていこうという話をしていきたいと思います。

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縦の幅、関心の幅を広げるには

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縦の関心は、自分自身、家族、会社やお客様・従業員さんとその家族、地域社会、日本社会、アジア社会、世界、宇宙・・・と発展していきます。

例えば、世界・宇宙を考える人・経営者で言えば、松下幸之助さんが生成発展への貢献について述べておられます。

この大自然、大宇宙は無限の過去から無限の未来にわたって絶えざる生成発展を続けているのであり、その中にあって、人間社会、人間の共同生活も物心両面にわたって限りなく発展していくものだと思うのである。そういう生成発展という理法が、この宇宙、この社会の中に働いている。その中でわれわれは事業経営を行っている。そういうことを考え、そのことに基礎を置いて私自身の経営理念を生み出してきているわけである。

※松下幸之助著 実践経営哲学より

宇宙の発展に対する貢献を意識することで、世の中全体に対しての関心と責任をもって経営に取り組まれていらっしゃったということだと思います。

また、イーロン・マスクは、将来の地球での環境を憂い宇宙への探索とアプローチを続けており、また地球そのものついてはテスラの経営によりEV化の推進で貢献をしています。

また、歴史上の人物としては、幕末の志士たちは日本の将来を憂い活動の原動力としてきたわけです。

少なくとも、凡人である私自身が、そのような視点を持てるかというとなかなか難しいことではありますが、この段階を少しずつでも広げていくことが関心のアンテナを立てることにつながります。

つまり、志を高く持つ、ということなのだと思います。

人間だれしも自分自身には関心を持っているはずなので、スタートとしては自分以外の家族に責任と関心を持つ事ではないかと思います。
私自身、結婚や子供が生まれたことによって自分自身を中心とした枠から少しだけ縦に幅が広がったと思います。私のような自己中心的な人間であったとしても、さすがに結婚をして子供ができることによってその人たちの幸せを願うと言う気持ちが芽生え始めたと言うことです。

そして、当たり前ですが自分自身が死ぬ頃には、まだ子供たちは働き盛りの年齢であると思います。そのように考えると自分自身の時間軸を超えた世の中に対しての興味や責任意識が芽生えてくるということでもあります。

このように考えてみると、家族を持つという事は人間としての自然な営みの中で自分自身の小さな枠を超えて縦の関心と横の関心を広げてくれる仕組みなのだと思わされます。

私のように中年になり、家族ができてからこのような縦と横の幅を伸ばしていきたいと思うような歩みのゆっくりな人間もいれば、一方で最近の若い方たちは、社会的意義や貢献意識がとても高いという話をよく聞きます。

子供ができたりする前に、世の中や自分自身だけの時間軸を超えた地球環境などに寄り添うという人格はとても素晴らしいと思います。

個人の目標から、家族の幸せ、会社の将来の姿(ビジョン)、地域社会、日本社会の将来、地球の将来といった志の高まりが縦の関心の幅を高めるのです。例えばSDG'Sは言ってみれば地球の世界の将来ビジョンです。SDG'Sそのものは多岐にわたる目標がありますが、志を高めることにより、SDG'Sへの関心も必然的に高まってくるのではないかと思います。

そして、縦の幅が高まってくることで、必然的に時間軸についての関心も中長期的になっていきます。これは、以下の記事のように経営という会社組織の目線と、そこで働く一個人としての視点という差にも表れます。


経営における実践

私は経営コンサルタントとして様々な会社の経営の支援や、社外役員と言う立場でのアドバイスなどを行っています。

経営の実践の中において、当たり前ですが外部環境の感度を上げる事は非常に重要です。お客様が提供する商品サービスが、世の中に受けられるかどうか、お客様に受け入れられるかどうかといった事は、外部環境であるお客様や、競合他社の動向、そしてお客様や競合他社が存在する社会環境に影響受けるためです。

そのため私も経営コンサルタントの仕事の中で、お客様とともに日本経済新聞を読み合わせたり、経済指標についての意見交換をしたり、お客様が所属する業界の指標などを見ながら今後の先行きを議論したりすることがあります。

以下の図は、以前の記事で例に出した個人の1年後の目標を示し、それを仮説に分解していったものです。

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当たり前ではありますが、これが会社全体の経営になるともう少し内容が複雑になってきます。会社はお客様から選ばれるとともに、その商品サービスを生み出すために人、モノ、カネを活かしながら進めていく必要があるためです。

そうすると、関心の縦の幅についてもそうですし、会社が存続する、従業員やその家族を健全に維持し続けるための時間軸を最低限見ておく必要があるのです。

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イメージとしては、上の図のようなもので外部環境分析は、会社が存続し健全に世の中に選ばれ続けるために必須なことであるといえます。

この図を始めとして、会社の存在意義や経営理念についての記事は以下をご参考ください。

そして、経営を実践していく上で検討するべき項目をある程度体系的に示したものが以下のビジョンマトリクスと言うものです。

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こちらも以下の記事で具体的な内容は記載していますのでご参考ください。

個人の場合と何が違うかと言うと、目標というか、ミッションとビジョンの幅の広さと時間軸の長さです。

必然的に関心の幅を縦にも横にも広げていかなければ会社の経営は成り立ちません。これは個人としての意識を鍛えて広げていくことと基本的には変わらないのですが、仮に関心の幅が狭くなってしまうと、経営者として、経営コンサルタントとして会社の経営に対しての責任が果たせなくなってしまうということです。

だからこそ、経営者の立場や経営コンサルタントとしての立場になる前の段階において、個人の段階から関心の縦と横の幅を広げていく訓練が必要なのです。


世の中には経営者が足りていない

日本では少子高齢化が経営者にも及んでいます。そのため後継者不足であり世の中の経営者の平均年齢は60歳を優に超えており、そして後継者がいないとされる会社が60%以上にのぼると言われています。

結果として、10万社単位の廃業がここ数年間で毎年発生しています。特にコロナの影響がそれに拍車をかけています。

経営人材が整っていれば、それらの後継者候補になる機会というのはたくさんあります。知的トレーニングとして外部環境に対するアプローチを記載していきましたが、もともとM&Aのマッチング事業を立ち上げた自分自身の社会的な関心が頭をもたげてきました。。

できることならば、皆様が日々の知的トレーニングに努められ、1人でも多くの経営者が世の中に誕生し、消えゆく会社基盤を支えていっていただきたいと思います。これは私自身の自分自身の勝手な願いでしかなく、読んでくださっている皆様にとっては知ったことでは無いとは思いますが、、、

私自身もこのように執筆をすることによって自分自身の志を高めていきたいと思っています。

外部環境シリーズでは、またインプットの仕方やまとめ方、中長期の洞察についてのことを執筆していきたいと思います。

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