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ドラッカーのキーワード① マネジメントとしての成果

これはこれから地道に続ける長いシリーズになります。とはいえ、思いついたタイミングで不定期に書き綴るイメージです。

ドラッカーのマネジメント、エッセンシャル版を読んで自分自身が思ったことや疑問に思った事を自問自答すると言うシリーズです。

改めてドラッカーのマネジメントを読みましたが、考えさせられることがとても多く単に一回流して読むだけではもったいないと思いシリーズ化しながらじっくり考えていくことにしました。

はじめに 抜粋

これからここに抜粋される文言は、特段の断りがない場合にはドラッカーのマネジメントエッセンシャル版からの抜粋です。

マネジメントは、以前にも増して大きな成果をあげなければならない。しかも、あらゆる分野で成果をあげなければならない。個々の組織の存続や繁栄よりもはるかに多くのことが、その成果いかんにかかっている。組織に成果をあげさせられるマネジメントこそ、全体主義に代わる唯一の存在だからである。本書の動機と目的は、今日と明日のマネジメントをして成果をあげさせることにある。

一九七三年春
カリフォルニア州クレアモントにて
ピーター・F・ドラッカー

1973年といえば、東西冷戦の真っ只中。アメリカと言えばベトナム戦争の末期、そして中国では文化大革命が惨状を生み出している状況

当時は米ソ冷戦によって共産主義の脅威に世界がさらされていました

ここでドラッカーの言う組織とは、会社組織だけには留まらない。国も政府も含めて組織と位置づけているのでしょう。

ドラッカーは、経営コンサルタントとして経営のためだけにこの書籍を記載したわけではありません。この全体主義への対抗と言う壮大なテーマの中で、公的機関含めた全体の組織のマネジメントと言う観点からこの本を執筆しています。


全体主義とは何か

以下は、ウィキペディアからの抜粋。

全体主義(ぜんたいしゅぎ、イタリア語: totalitarismo、英語: totalitarianism)とは、政府に反対する政党の存在を認めず、また個人が政府に異を唱えることを禁ずる思想または政治体制の1つである[1]。この体制を採用する国家は、通常1つの個人や党派または階級によって支配され、その権威には制限が無く、公私を問わず国民生活の全ての側面に対して可能な限り規制を加えるように努める[2]。
政治学では権威主義体制の極端な形とされる。通常は単なる独裁や専制とは異なり、「全体の利益を個人の利益より優先する」だけではなく、個人の私生活なども積極的または強制的に全体に従属させる。全体主義の対義語は個人主義[3]、権威主義の対義語は民主主義である。


共産主義の脅威に世界全体がおののいている状況の中で、ドラッカーは社会的な使命を認識し、深い洞察の上でこのマネジメントと言う書籍を執筆したのでしょう。

現代においても、国も含めた組織のマネジメントの重要性として、全体主義に代わる手段としての大義もあるように思います。


2021年6月時点における世界の状況

現在も、ソ連崩壊などを経て1周回ってまたドラッカーが懸念する全体主義の再興段階に来ているといえるのではないでしょうか。

現代における中国も、全体主義の様相を呈しています。というよりも、昔から全体主義であり、資本主義を取り入れた改革開放の先にある現代においても引き続き共産党優先主義で動いているということでしょう。実は共産党以外にも政党がある等あからさまな全体主義ではないように見えますが、それらの政党は中国の憲法と同様に中国共産党に従う、とされています。

中国の経済を支援し、一定以上豊かになったら民主主義に回帰するのではないかという期待のもとに世界は中国と接してきましたが、ある程度豊かになり豊かな中間層が人口で1番になった現在においても全体主義的な要素が強いです。

中国が共産主義をかけて、世界の覇権にチャレンジしている状況の中では、われわれは資本主義民主主義陣営として改めてマネジメントを読み、これから先の未来を洞察していく必要があるのでしょう。また、資本主義民主主義も完全ではありません。格差を生み出すメカニズムになってしまっている部分もあります。そういった反省も踏まえて見直す必要もあるでしょう。


壮大すぎてもあれなので、、基本スタンス

とは言え、あまり壮大に物事を捉えすぎても手に追えなくなってしまうため、通常の企業経営においてドラッカーのマネジメントとの対話をしていきたいと思います。

コンサルタントとして様々な企業の経営の支援をする中で、ドラッカーの金言に触れ自問自答したくなるタイミングが度々あります。
自問自答を、執筆と言うアウトプットに落とし込んだ上で自分自身客観視してみたいと思います。


今日と明日のマネジメントをして成果をあげさせる

ドラッカーのマネジメントの、はじめに の結びの文章です。
マネジメントにとっての成果とは何か、そしてその成果をあげさせることにフォーカスをしたドラッカーのマネジメントをこれから少しずつ読んで、深めていきたいと思います。

改めてドラッカーがマネジメントを執筆した目的が全体主義への対抗であった事が、今回のはじめにを読んだ上で非常に心に残りました。
たまたま、現代社会においても同じ問題が起きています。1973年時点を現在に置き換えて読んでみる視点も持っていきたいと思います。

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