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内発的動機付けの重要性について

今日も、コンサルタントと少年サッカーの観点から内発的動機づけについて考えてみたいと思います。

内発的動機付けとは、自分自身から湧き上がる動機のことを言います。自分がやりたいからやる、自分がこうなりたいから努力する、といったように自分発信のモチベーションです。

一方で内発的動機付けの反対は、外発的動機付けで怒ったりお金で釣ったりお菓子を上げたり、何か自分自身を起因としたものとは別の外からの動機付けにより動かされることをいいます。


本来、少年サッカーの動機は内発的動機付け以外はないはず

当たり前ですが、本来、少年サッカーは子供が楽しみたいからやっているものです。

ただ、サッカーコーチをやっていらっしゃる方だとご認識のことと思いますが、うまくならずに負けてばっかりでは子供たちは楽しくなくなってしまいます。少年サッカーの場が友達の家に遊びにいく、公園に集まって遊ぶ、のと同じような場になるのであればそれはそれでいいと思うのですが、「サッカーをすること」を目的として大切な休みの日に集まっているのであれば、それでは満足できなくなります。

結局、サッカーをすることが目的である場合には、上手くないと楽しくないから楽しむためにうまくなることを目指すようになります。

しかし、そのうちうまくなることが目的化して子供が単に負担を感じ、そして楽しくなくなる 楽しくないから、内発的動機づけではなく、外発的動機づけで無理やりやらせるので、余計に楽しくなくなる という負のサイクルに入っていきます。

最初は「子供のために」と始めたことが、いつの間にか子供たちとのやり取りの中で外発的動機づけの戦いのようになってしまい、子供の心不在でコーチや親が子供をうまくさせたいという目的の手段として、子供にプレッシャーを与えてしまうようになってしまうことがあります。

少年サッカーを子供がやめることで困る人は本来いないはずで、本当は子供がやりたくてやっているだけなので、やりたくなくなったらやめればいいだけなのですが。


うまい子の特徴(現象)

当たり前ではありますが、サッカーがうまい子は内発的動機付けにより自ら動いているのだろうな、ということが少し観察しているだけでわかります。

・人の話をよく聴く → 自分が改善したいと本気で思っているから。
(でも聴いても意味ないと思われたら聴かない。。)

・自由な時間、休憩時間に自分で練習している

楽しい → 練習する → うまくなる → もっと楽しくなる → もっと練習する → もっとうまくなる ・・・・・ というサイクルが回っている感じです。

ジム・コリンズのビジョナリーカンパニー2でいうところの「弾み車」が回っている状況なのでしょう。以下、ご参考ください。



TOMO指数について

内発的動機付けを考えるときに、とても参考になるのがTOMO指数という考え方です。

TOMO指数とは、組織で働く人が「何のために働くか」という動機を指数化したもので、それを組織的に集計したものが組織のパフォーマンスに大きな影響を及ぼすのです。

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(出典:マッキンゼー流最高の社風の作り方)

以下の3つは直接的動機です。直接的動機とは、その仕事から直接的に感じられる動機と言うことです。

①楽しさ・・・純粋にその従事する仕事から生まれる楽しさです。例えば休憩時間にビリヤードができるから楽しいといったようなことではありません。その仕事をしていること自体が楽しいと言う意味での楽しさです。

②目的・・・例えば、この仕事をすることによって社会貢献につながると言った貢献意識や、経営理念の実現に対しての目的意識など、仕事をつうじた目的達成への喜びが該当します。単に経営理念があったところでその経営理念に興味がない社員さんにとってはこの目的による動機が低くなります。

③可能性・・・この仕事をすることによって、自分自身の将来のキャリアにつながるといったことや、その会社の将来への発展につながると言った可能性が感じられるかどうかといったことです。もちろん目的と同様に、その可能性について自らが動機付けになるほどの興味がわかなければこの動機にカウントされません。

以下、間接的動機です。間接的動機とは、その仕事からではなく、外部からの圧力などにより仕事をする状況のことです。

④感情的圧力・・・自分がその仕事をしなければ、上司が悲しむ、上司に怒られる、その他親が悲しむでも親に怒られるでも何でも結構です。このような仕事に直接関係ない感情的な圧力によって日々仕事をするということが感情的圧力による動機付けと言うことになります。

⑤経済的圧力・・・その仕事をしなければ、食べていけないと言ったような圧力です。食べていく、家族を養っていくために、それが動機となって仕事をするような状況は経済的圧力による仕事ということになります。

⑥惰性・・・惰性による仕事とは、特に何の感情もなく今までその仕事をやってきたから今日も会社に行く、といったような状況です。

TOMO指数の算出の仕方は、直接的動機付けがプラス、間接的動機付けがマイナスの合計で計算します。


この「仕事」を「サッカー」と置き換えると非常によく当てはまります。サッカーがうまい子は、このTOMO指数自体が高いのだと思うのです。


1番難しいのは過渡期

ある程度上手くなったら楽しくなって自分で努力をし始める、しかしそれまでの間は、単にやらされているという感覚が強くなってしまって嫌いになってしまう。

この弾み車が回り始める前の、一番難しい時期をどう乗り越えるかということがコーチの、親の愛と腕の見せ所かもしれません。


難しい判断は、

①本来子供が楽しむためにやっているので嫌いになってしまったのであればやめさせてしまう

②もうちょっとで上手くなるのだから、それまでの時期は外発的動機づけなど四の五の言わずに無理やりでもやって乗り越えさせる

このどちらも選択肢としてはあるということです。もちろん、②で進めていってもうまくならない場合には、更に同じ選択に迫られるということですが。

上手くなる前に嫌いになってしまうと言うこの過渡期ゾーンが、サッカーにしても仕事にしても、何事も1番難しく、ほとんどの場合この過渡期ゾーンのまま止まってしまうことが多いです。

この過渡期をイメージにすると以下のような感じでしょうか。


サッカー好き(内発的動機) → サッカーがうまくなるまでの過渡期(外発的動機で乗り越える?) → やっぱりサッカーが好き(うまくなった)


この過渡期ゾーンのまま止まってしまった人は、外発的動機付でなければやらないし、そのことで本来のサッカーを楽しむということを実現できる事はほとんどないと思います。(もちろん、楽しいと思えるレベル感でサッカーを楽しめばいいわけです。みんながプロになるわけではないですし、プロにも上には上がいる世界ですから。)

会社の経営においてもお客様が気づかなかった価値を提供して認識をしていただくイノベーションの方法があるように、子供たちも自分自身が思ってもいなかったような楽しみを発見することができるようにもなるかもしれません。
登山においても、ある程度登ってみないと見えない景色があるのと同じで、その景色を見せるところまでどうやって登らせてあげるかと言うことなのかもしれません。

これは社員さんを教育することにも似ています。まずは仕事がある程度できるようにしてあげることが仕事を楽しむために必要なことでもあります。
そうすることで結果お客様からの感謝や、働く仲間からの感謝が得られてより楽しくなっていくという好循環のサイクルに入っていくわけです。

この過渡期を乗り越えるためには、コーチや親が過渡期の乗り越え方を必死に勉強してかつ提供していくしかないのではないかと思います。私自身そう思いながら学んでいるところです。
この学びの中から、経営とつながることを半ば無理やり書いているのがこの記事のシリーズとなっております。至らぬ点も多くあろうかと思いますが、ご笑覧いただけますと幸いです。


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