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Coatue:ザ・アジャイル・ジャイアント

このメガファンドはTiger Globalに似ているかもしれないが、全く異なる手法で運営されている。Coatueのパフォーマンスは強力な社内リサーチ、鋭いデータ分析、そして優れたネットワークによって築かれている。しかし、その最大の弱点は同社自身の文化かもしれない。

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今回もテックメディア「The Generalist」から、巨大VC/ヘッジファンドとして名高いCoatue Managementの分析記事をお届けします。

Coatueについて聞き馴染みのない人は多いと思います。それもそのはずで、ほとんどメディアに露出することもなく、a16zのように情報発信もおこなっていません。

HPにアクセスしても下の画像のようにオフィスの所在地とメールアドレスが書いてあるだけというほとんど謎に包まれたファンドです。

しかし、その実績は絶大です。CB Insightsによると、ユニコーンを生み出した投資家のランキングでは、Softbank, Tiger Globalに次いで3番目です。

当然このランキングが投資家として優れているかを表すランキングではないにしろ、その巨大さや影響力が計り知れないということは納得いただけるのではないでしょうか。

今回の記事ではそんなCoatue Managementとはどんなファンドなのか、そしてその戦略とはどのようなものなのかを分析した、非常に希少で意義のある記事となります。

ぜひ最後までご覧ください。

The Generalistの設立者であり、著者であるMario GabrieleさんのTwitter ↓

本記事は著者の許可を得て翻訳するものです。
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数分しか時間がないのであれば、投資家、起業家がCoatueについて知っておくべきことをご紹介します。

  • Coatue ≠ Tiger
    よく比較されますが、この2つの巨大なクロスオーバー・ファンドは全く異なるプレイブックを実行しています。Tigerは私募ファンドのインデックスを作成し、外部のサービスに頼っています。Coatueはより厳選された銘柄を選び、社内のリサーチ能力に頼っています。

  • 大きな組織はまだ進化することができる
    Coatueは世界最大のファンドの一つですが、その構造は常に試行錯誤を続けています。ライフサイクルのほぼ四半世紀が経過した今もその冒険心を抑える気配はありません。

  • データサイエンスはプライベートマーケットで強みを発揮する
    2014年、Coatueはデータサイエンスへの投資を開始し、以来クレジットカードのデータ、顧客リスト、企業比較などを表面化する「Mosaic」と呼ばれる堅牢なプラットフォームを構築してきました。その有用性を疑問視する声もありますが、起業家たちからは好意的に受け止められています。

  • グローバルな視点は新たな教訓を導き出す
    Coatueは中国のハイテク企業への投資の可能性に早くから着目していました。そして、そこから得た教訓を欧米のビジネスにも応用しています。Coatueは異文化交流を促進するために派手なカンファレンスを立ち上げました:"East Meets West"

  • ヘッジファンドの常識はベンチャーキャピタルとは相容れない
    本格的なプライベートマーケット業務を行っているにもかかわらず、Coatueの社内文化は1985年頃のウォール街から持ち込まれたもので、熾烈でアグレッシブなことで有名です。また、報酬体系も非標準的で、離職者が続出する原因となっています。

通常、大きさはスピードを犠牲にしています。象はネズミのダッシュにはかないません。18輪車はゴルフバギーのようには曲がりませんし、タグボートも急には曲がりません。

しかしCoatueは例外です。1999年にフィリップ・ラフォンがわずか1,500万ドルで設立して以来、このクロスオーバー・ファンドは金融界の巨人と肩を並べるほどの規模に拡大した。ある関係者によれば、その運用資産は900億ドルに達するかもしれないとのことです。

しかし、Coatueは成長してもその軽快さを失うことはないようです。それどころか規模が大きくなったことで、敏捷性は失われるどころかより高まっているように見えます。
ロングショートのヘッジファンドとしてスタートしたCoatueは過去10年の大半を新しい投資手法の確立に費やしてきました。最も顕著なのは、プライベート・マーケットにおいて、フィンテック、気候変動関連技術、その他の分野を切り分けながら、グロースステージの戦略で成功を収めている点です。その実験がすべて成功したわけではなく、新しいクオンツ戦略への有名な内部投資は見事に失敗しました。しかし、Coatueのような規模の会社が進んで動き、実験し、挑戦するという事実が、Coatueを特別な存在にしている核心です。

もう一つ奇妙なのはこの会社の最も明確な弱点です。Coatueは、迅速な意思決定、フレンドリーな条件、素晴らしいデータサイエンス能力で起業家を魅了してきましたが。社内文化をないがしろにしたままそれを行ってきたのかもしれません。ある情報筋は、同社の高い離職率、攻撃的な雰囲気、腐敗した経営慣行を異常に強調していました。元社員、共同投資家、投資先企業の創業者など、自らの経験を語ってくれた人たちは全員、匿名を希望していました。あるケースでは報復を恐れて匿名にしたとのことです。ある元社員は、「Coatueは復讐に燃えているんだ」と言っていました。

このような問題は、少なくともリターンに限って言えば、重要ではないかもしれません。文化的な不安は、同社が世界的に傑出した企業になることを止めはしませんでした。しかしそれでも、優秀な人材は流出し続けています。Coatueは優秀な人材を集め続けられると信じているでしょうが、人間は厄介なことに金融とは違います。Coatueが永続的に良い遺産を残すためには社内の弱点を改善する必要があるかもしれません。

本日のコラムでは、そんなCoatueの本質的な部分に触れてみたいと思います。その過程で次のことを探っていきます。

  • フィリップ・ラフォンが歩んだ投資家としての道
    Coatueの創業者は株のトレードに興味があるわけではありませんでした。しかし、彼のテクノロジーへの情熱はこの分野の優れたビジネスを選択する才能へと変化していきました。

  • Coatueの継続的な進化
    パブリックマーケットからスタートしたCoatueは真の「クロスオーバー」へと進化を遂げました。この10年で、Coatueはベンチャーキャピタルの強力なプレイヤーとなりました。

  • ファンドの意思決定方法
    フィリップ・ラフォンは最終的な意思決定者かもしれませんが、他にも数名の有力者がCoatueの投資判断に影響を及ぼしています。

  • Coatueが勝つために使う武器
    社内のデータサイエンスツールへの継続的な投資が実を結び「Mosaic」と呼ばれるCoatueのプラットフォームは潜在的な投資先企業の印象を良くし、意思決定の指針となっている。

  • 会社の文化的欠陥
    Coatueはハイパフォーマンスな環境を作り上げてきましたが、恐怖と攻撃性をもって統治することでそれを実現してきた歴史があります。そのため、幹部の間でも組織の離職率が高くなっています。

  • 今後に楽観的な理由
    このファンドの基盤は資産クラスやセクターを超えた運用を可能にするものです。Coatueはその技術的能力を考えると、クリプトにおけるプレゼンスを高めるのに特に適しているようです。

それでは始めましょう。

1. Origin

金融には豊かな友愛の歴史があります。リーマン、ソロモン、ラザード、ハリマン、ブラウンの各兄弟は、ウォール街の伝説にその名を刻んでいます。

Cotureはその名を冠していませんが、フィリップ・ラフォンとトーマス・ラフォンはその伝統を受け継いでいます。

1.1 生い立ち

ベルギーで生まれたラフォン兄弟は幼少期の多くをフランスで過ごしました。フィリップはトーマスより2歳年上で、10代の頃は特に引っ込み思案な子供だったといいます。「16歳の時は自信がなかったのか、親があまり外に出してくれなかったんだ」と彼は語ります。

フィリップはコンピュータやテクノロジーに夢中で、自由な時間を過ごしていました。それが功を奏して、1985年にマサチューセッツ工科大学(MIT)に入学することになります。翌年、トーマスは兄に続いて渡米し、高校最後の年はリセ・フランセ・ド・ニューヨークに通いました。

MITで技術的な才能に囲まれたフィリップは自分の才能を数学と科学の領域以外で「再利用」する必要を感じ始めました。その後、MITでコンピュータサイエンスの修士号を取得しましたが、卒業後はマッキンゼーのマドリード支社に就職しました。もし、彼がその気になれば東ではなく西へ向かっていたかもしれません。彼はマッキンゼーに入社する前にAppleに3度応募し、そのたびに不合格になっていました。

スペインに移住したメリットは後に妻となるアナ・イザベル・ディエス・デ・リベラと親密になれたことです。アナは弁護士で、スペインの有力な家系の出身です。具体的には、フランコ独裁体制から近代的な議会制に移行したスペインの中心人物、カルメン・ディエス・デ・リベラと親族関係にあったのです。

1.2 マーケットを学ぶ

2年後、フィリップのマッキンゼーでの生活は終わりを告げました。彼は米国に戻る準備を整えていましたが、アナは故郷の近くに留まりたいと考えていました。そこでフィリップはアナの家業で1年間働くことにしました。しかし、この仕事は後から考えると有用でしたが、その瞬間はイライラする仕事でした。地下の事務所に追いやられたフィリップにはやることがありません。その時、彼はヘラルド・トリビューンに目を通しました。

そのうちに株の魅力にとりつかれました。やがて毎日トリビューン紙を買っては市場の動きを見るようになり、投資も始めました。彼は分析に自信がある技術系の優良企業、例えば、マイクロソフト、インテル、デルなどをを選びました。弟のトーマスはカリフォルニアに拠点を置きながら兄に協力し、兄弟でアイデアを出し合って投資活動を行っていました。

フィリップに言わせればこれは偶然の産物だったと言います。90年代半ばになるとMicrosoftのような企業が大きく成長し、ラフォン兄弟は自分たちの力を確信するようになりました。フィリップは「運と実力を混同していた」と指摘し、「もし、マーケット強気でない時代に投資を始めていたら、間違いなく諦めて別のことをやっていただろう」とも語っています。

1.3 Tiger Management

人生はそんな時こそチャンスです。地下室で1年過ごした後、フィリップとアナはアメリカへ渡りました。ラフォンはシリコンバレーでの就職にこだわるのではなく、ウォール街で成功することを目指しました。しかし、それは簡単なことではありませんでした。投資信託で無給の職を得たが、その職をより良いものにするのに時間はかかりませんでした。ある会議でジュリアン・ロバートソンが率いる有名なヘッジファンド、Tiger Managementにコネのある人物に会いました。

Appleの時と同じようにフィリップは最初は断られました。MIT出身ということで、履歴書は自動的にTigerのIT部門に回され、「スペースはないが、ラフォンの履歴書は素晴らしい」と即座に返事が来ました。

ありがたいことにもう一つの扉が開かれました。友人の友人が、ロバートソンのことをよく知っていて、「ウォール街の魔術師」と呼ばれる彼にフィリップを紹介してくれたのです。彼はロバートソンに「Tigerのためにテクノロジー株を選ぶ仕事をしたい」と伝えました。

フィリップはこの120秒間でロバートソンに強い印象を与え、Tigerのテクノロジー・チームに紹介することになりました。そして審査に合格し、Tiger Managementで働くことになりました。この後3年半、フィリップはロバートソンの指導の下で技術や通信を中心に仕事を覚えていきました。Tiger Managementが閉鎖される少し前にラフォンは独立することを決意しました。1999年、ラフォンはCoatue Managementを設立しました。

2. Coatue Management

ロバートソンと同様、フィリップも比較的謙虚な出発点から帝国を築き上げました。1999年、Coatueはわずか1,500万ドルの運用資産で開業しました。ある関係者によると、現在Coatueは700億ドルから900億ドルを運用しているようです。

2.1 兄弟、再集結

フィリップ・ラフォンの好きなナンタケット・ビーチにちなんで名付けられたCoatueはロバートソンに触発されたものです。フィリップは師匠と同じように優良企業を買い、悪徳企業を空売りする計画を立てましたが、その対象をテクノロジーの世界に絞りました。特にラフォンが注目したのは、あるCoatueの社員が表現したように「世代の違う消費者向けテクノロジー企業」でした。同業他社の多くが短期的な動きに注目していたのに対し、フィリップは3年以上にわたって複利効果が期待できる事業を探し、水平方向に目を向けようとしました。(チェイス・コールマンも、同じような前提でTiger Globalを立ち上げることになる)

ラフォンが投資家としてのキャリアのスタートでタイミングという恩恵を受けたように、Coatueもまたタイミングに悩まされました。1999年12月、ナスダック市場の株価指数であるナスダック総合株価指数が4,000になり、2000年3月には5,000を超え、そして、バブルが崩壊しました。

ドットコムの大暴落でハイテク株は暴落しました。2002年末には、ナスダック総合株価指数は1,200を少し超える程度に下落しました。Coatueの最初の3年間は、市場が75%以上下落した時期と重なっています。ラフォンはこの嵐を乗り越え、逆境に強い経営手腕を発揮し、その手腕がさらなる投資家を惹きつけました。

翌2003年、トーマスはCoatueに入社します。彼は、リセを卒業後、エール大学を経てカリフォルニアに渡り、全く違った道を歩んでいました。CAAのビバリーヒルズオフィスで、メール室からキャリアをスタートさせたトーマスはジョージ・クルーニー、ライアン・ゴズリング、スカーレット・ヨハンソン、ポール・トーマス・アンダーソン、レディー・ガガなどを顧客に持つ業界の重鎮、ブライアン・ルードのもとで6年間働きました。トーマスは独立してエージェントとなりましたが、兄と一緒に卓越した投資会社を設立する機会を逃すわけにはいきませんでした。

Coatueのヒット作は、その直後に生まれました。Tiger Globalのスコット・シュライファーと同じようにCoatueも中国のテクノロジー投資の可能性に目をつけたのです。この時CoatueはTIgerよりも大きな成功を収めました。2004年、ラフォン兄弟はTencentをIPO価格で購入しました。当時、WeChatのオーナーの市場評価は10億ドル未満でしたが、現在では約5900億ドルとなっています。もちろんCoatueはポジションサイズを変更しましたが、それでも大勝利を収めたことになります。

もう一つの重要な賭けはAppleでした。Coatueの社員は「フィリップは、誰よりもアップルに賭けて儲けただろう」と語っています。ラフォンはクパチーノにある同社のオフィスから拒絶されながらも、そのビジネスに感銘を受け続け、頻繁に買い付けを行いました。ラフォンは、Appleとの付き合いを振り返りながら「欲しいものが、別の扉から手に入ることもあるんだよ」と語りました。

2.2 遅かれ早かれ

ラフォン兄弟は優れたテクノロジー企業を見分ける才能はあったものの、業界の金融情勢が根本的に変化していることを認識するのは決して速くはありませんでした。2000年、Tiger Globalはロシアの検索エンジン「ヤンデックス」に初めて民間投資を行いました。これは現在も続く加速する民間市場の走りの始まりでした。

Tigerがこの分野に進出したのは優良テクノロジー企業の多くがまだ株式市場に出ていないことを理解していたからです。Tiger Globalは早期に参入することで、何年もIPOしない可能性のある企業の株式を蓄積することができたのです。そしてその過程で経営陣と関係を築き、その背後にある力学をより深く理解することができました。ベンチャー企業で得た教訓はヘッジファンドに伝わり、またその逆もしかりです。

2009年、DSTグローバルはユーリ・ミルナーによるフェイスブックへの投資で有名になり、この戦いに参入しました。この時代に活躍したある元Coatueの投資家は、「当時のシナリオ(TigerとDSTは)はバカだった」と指摘しています。

Coatueが追いつくのに時間がかかったのはおそらくそのせいもあるのでしょう。2013年、同社は、サンドヒル・ロードのアンドリーセン・ホロウィッツと同じビルにオフィスを開設し、プライベートマーケットでの案件発掘を開始しました。この新しい取り組みはトーマス・ラフォンと優秀なストックピッカーで長年の副官であったダニエル・センフトが中心となって進められました。

シリコンバレーに強いブランド力を持たないCoatueはエコシステムに参入するための変わった方法を見出しました。ベンチャー企業の資金調達が完了する前にCoatueにとって初めての民間投資を行い、クラウド管理システムBoxの流通株を購入したのです。元社員によればこの機会は、モルガン・スタンレーのバンカーが売却を提案し、ウォール街のコネクションがあったからこそ実現したものだといいます。

これが彼らのスタートでした。Pitchbookのデータによると、Coatueの最初のプライベートマーケットファンドは総額1億8500万ドルだが、私が話をした社員は3億5000万ドルと記憶していた。(彼らは2015年に調達した3億5500万ドルのグロースファンドを考えていたのかもしれない)数字がどうであれ、トマ・ラフォンとダニエル・センフトには使うべきお金がありました。Boxの取引はHotel Tonight、Evernote、Lending Clubへの直接投資に続きました。翌年、Lending ClubはIPOし、Coatueにとって初のExitとなりました。これがきっかけとなりCoatueは早いうちに高い目標を設定していきます。

2.3 ビッグ・フィッシュ

この時代を知る元投資家はCoatueがターゲットとする優先順位の高い企業を数社特定したと述べています。「Uberは彼らの白鯨だった」と彼は指摘し、「トラヴィスは我々に時間を与えてくれない」と嘆いていたようです。

そのほかWhatsAppやSnapもマークしていました。Coatueがこの企業に興味を持ったのはTencentでの仕事が影響しています。彼らはソーシャルメディアやメッセージングビジネスが注目を収益に結びつける力があることを実感していたのです。ヤン・クームとエバン・シュピーゲルの会社は欧米市場で最も良いポジションにあると考えられていました。DSTはFacebookが買収に合意した後でもメッセージングサービスに関する優遇措置を受けることができましたが、CoatueはSnapでそのチャンスをつかみました。

元社員によるとこの取引に参加するために5ヶ月かかったと言います。まずCoatueはSnapのシリーズBに参加しようとしましたがInsight Venture Partnersに打ち負かされます。この案件は2億ドルの評価額が数日で8億ドルに急騰するなど、条件が急激にエスカレートするタイプのものだったと同氏は話します。

Coatueはもう2度とこのチャンスを逃すまいと腹を決めました。トーマスはシュピーゲルと親しくなるため高価なディナーでスナップの創業者を口説き、CAAのネットワークを通じて有名人の人脈を紹介するなど「見事な」フルコートのプレスを開始しました。また、Coatueのチームはソーシャルメディア、特に中国市場について綿密な調査をしていることをアピールしました。シュピーゲルはこの地域のダイナミクスをよりよく理解するために頻繁に中国に出かけていました。

これが功を奏しました。2013年12月、Coatueは数十億ドルの評価額でSnapに5000万ドルを投資する機会を得ました。元Coatueの投資家は、「あれが我々を地図に載せるきっかけになった」と振り返っています。

2.4 頭角を表す

Coatueはハイテク業界では知名度がありませんでしたが、ヘッジファンドという武器も持っていました。Snapのように。アーリーステージの企業、深いリサーチと独自の洞察力を評価します。Coatueは従来のベンチャー企業よりはるかに多くのスタッフと強力な手段を持ち、この分野で輝きを放っていました。プライベート・マーケット・チームはUberには投資できませんでしたが、Lyftのローガン・グリーンを口説くことには成功しました。

経営陣に会う前、CoatueのチームはLyftのドライバーと一緒に旅行に行き、道中で写真を撮りました。その写真はこのスペースに関する洞察を盛り込んだピッチの中に含まれていました。ある関係者は「それはマーケティングデッキでした」と語っています。

これはすぐにCoatueの名刺のようなものになりました。ミーティングに出かけていってピッチされるのを待つのではなく、投資家がピッチをするのです。彼らはヘッジファンド・チームの助けを借りてリサーチをまとめ、市場に対する自分たちの考えを説明するのです。関係者が述べているように、Coatueは知的で思慮深く仕事をする気があることを新興企業の創業者たちに示したのです。今でこそ後発のVCでは当たり前のことですが、当時は珍しいことでした。その結果、ある投資家は「90%以上の確率でうまくいった」と語っています。

さらに、ラフォン兄弟はBCGの元コンサルタントが率いる社内リサーチチームを結成し、その能力を高めていきました。この統合的なアプローチとTiger Globalのアウトソーシングモデルを比較すると興味深いことが見えてきます。Tigerはベインや他のコンサルタント会社にビジネスのスピードアップを依頼するのに対し、Coatueは自分たちでこの方法を確立したのです。

この頃、Coatueはデータサイエンスにも大規模な投資を開始しました。2014年、ウォートンの若い学生、アレクサンダー・イジドルチクが同社でインターンをしていました。イジドルチクはフィリップと密接に協力し、この分野でCoatueの能力を開発し最終的にフルタイムで参加しました。2017年には、この取り組みが実を結び始め、Coatueは投資候補先や投資先企業に合わせたインサイトを提供するようになりました。

Coatueはこのデータ推進と同時にこれまで敬遠していた分野での取引を追求し、その幅を広げました。その結果これまで敬遠していた分野の案件を積極的に手がけるようになり、大きな成功を収めつつあります。Coatueは中国での投資で培った地理的な理解を生かしたのです。このような取り組みをリードするため、Coatueは中国との深いつながりと優れた実績を持つDCMベンチャーズからトニー・チャンを招聘しました。DCMの2014年のファンドは、ベンチャーキャピタルで最もパフォーマンスの高いファンドの1つであり、2021年には30倍のリターンを記録しています

Zhangは、Didi, Uxin, ofo, Meituan, Kuaikan Manhuaへの投資を仲介し、その存在をアピールしました。ある元投資家は、Coatueが最初の2つのファンドの約半分を中国に投資したことを示唆しました。特にライドヘイリング事業のDidiは非常に重要な投資先と考えられていました、上記のグループのうち、現在3社がIPOしていますが、ofoとKuaikanはまだその段階には至っていません。

Coatueは"East Meets Westカンファレンスを導入し、国境を越えたアプローチをメジャーなものにしました。トーマスの発案により、アジアと西洋のテックエコシステムの著名人が集まり、有名人も多く参加しました。2015年に始まったEast Meets Westはハワイのビッグアイランドのフォーシーズンズで開催され、その後カリフォルニアのペブルビーチに移動しました。ある関係者はこれを「かなり見事な動き」と評し、メアリー・ミーカー、ユーリ・ミルナー、ポニー・マーといった著名人を会話に引き込んだと言われています

もちろん気まずい思いをしたこともあruようです。ある参加者はラリー・サマーズ元財務長官とCoinbase CEOのブライアン・アームストロングが登場したパネルイベントを思い出します。暗号通貨部門に納得がいかないサマーズは自分の意見を述べ、その過程でアームストロングに圧力をかけたと言います。「少し気まずかったです」と、この参加者は語ります。

ただ、Coatueがそのような場を取り仕切ったこと自体が彼らが西海岸でのプレゼンスを獲得した証左です。Coatueはわずか数年で、アメリカ、アジアのベンチャー市場に名乗りを上げ、ネットワークを確立しました。しかし、じっとしている暇はありません

2.5 もっと早く

Coatueは成長投資のグリップをより強固なものにするために上流に目を向け始めたのです。彼らは他の多くの投資家とともに、企業への出資が創業チームとの関係を根本的に変えることに気づきました。歴史と信頼を共有することでより緊密なつながりが生まれ、将来、より大きな配分を獲得するために不可欠となる可能性があるのです。Coatueはこれまで競争力のあるレイトステージラウンドを勝ち取る能力を示してきましたが、市場はより混雑してきました。競争力を維持するためにCoatueはより早く行動する必要がありました。

この取り組みの手始めとして、2人の著名人を招聘しました。マット・マッゼオとヤン=デヴィッド・アーリックです。マット・マッゼオはLowercase Capitalに勤務していたことがあり、この会社は伝説的なリターンを出しています。また、彼はトーマス・ラフォンと同じようにハリウッドにコネクションを持ち、CAAで7年以上ビジネス開発に携わっていました。アーリックは、コネクテッドワーカー・プラットフォームのParsable、インキュベーターのMuckerLab、そしてOutlier Venturesを設立し、投資実績とともにハイレベルな経営経験を持っていました

Coatueはこのチームを管理するために、すぐに有力者を迎え入れました。ダン・ローズです。Facebookの元パートナーシップ担当VPであるローズはトーマスの長年のゴルフ仲間であり、何年もチームと親交がありました。ローズはFacebookのコミュニケーション担当VPだったキャリン・マルーニーという元同僚も一緒に連れてきました。ローズは会長に就任し、マルーニーはゼネラルパートナーとしてマゼオとアーリックに加わりました。

この頃、Coatueはレイトステージチームも強化しました。Coatueと関係のある共同投資家はクリス・フレデリクソンの加入が転機となったと指摘し、このBenchmarkの元社長がチームのテイストを洗練させたと述べています。またSilverlakeからセバスチャン・デュエスターホフトが、Kleiner Perkinsからルーカス・スウィッシャーがそれぞれ入社しています。このような人選は、高いコストをかけたとはいえステップアップにつながるというのが、この関係者からの推察です。彼らは豪華な多くの人材を確保しました。

2.6 レンズの拡大

多くの点で、Coatueの全ストーリーは継続的なマンデートの拡大として見ることができます。C向け企業に焦点を当てたヘッジファンドとしてスタートしたものが、次第にグロースフェーズのファンドやアーリーステージのファンドを含むまでに成長しました。この構造的な成長に伴い新たなセクターが誕生しました。2013年以降、ベンチャーチームは消費者向けインターネットにとどまらず、フィンテック、企業向けソフトウェア、ヘルスケア、クリプトなどに進出しました。いずれも、かつては狭き門であったこのファンドにとって正当な狩猟の場となったのです。

この冒険心こそが、Coatueの過去5年間を特徴づけるものでしょう。Coatueは民間市場における真のジェネラリストであり、その柔軟性により、よりタイトな展開スケジュールを実現しています。2020年の投資件数は58件で、2021年には165件に急増しました。昨年の第4四半期は、この期間だけで55件の案件が発表され、同社にとって過去最も忙しい時期となりました。これは、Tigerの年間362件にはまだ及びませんが、間違いなく急速なペースです。

このペースが功を奏したのだろう。ある共同投資家は、Coatueはいくつかの案件で「袋を持たされた」状態になっていると述べたが、ここ数年で最も重要なビジネスのいくつかで出資を獲得している。この分野への参入は遅かったかもしれませんが、同社はFireblocks、OpenSea、Alchemy、Dapper Labs、Duneへの投資で暗号の分野で素晴らしい基盤を確立しています。これらは、成長チームの強力と言われるパフォーマンスに貢献しており、2021年のレポートでは、Coatueの2017年ヴィンテージは47%の内部収益率(IRR)を誇ったことが示唆されています。

ある関係者によると、Coatueのアーリーステージグループは、まだ同等の成功を収めていないそうです。5億ドルのビークルに言及した元投資家は、"私の知る限り、そのファンドのリターンはかなり悪い "と述べた。別の会社のベンチャーキャピタリストも、"アーリーサイドでは、それはない "と、その発言に同調した。

まだ、比較的早い時期である。Coatueは、設立から10年足らずで、事業規模を拡大し、新たな能力を開発し、勝つための方法を見出してきた。Coatueのような規模の企業にとって、このような器用さは異例であり、また評価に値するものです。

3. 事業と構造


ここまではCoatueがどのように発展してきたかを説明してきました。ここからは、Coatueの各パーツがどのように組み合わされているかを見ていきます。

3.1 ファンドの構造

ここでCoatueの事業内容について少し整理しておきましょう。基本的には、「パブリックマーケット投資」「グロース投資」「アーリーステージ投資」の3つのビジネスラインがコアとなっています。

Coatueはこれらの主要なカテゴリーを超えた実験も行っています。同社に近い関係者はさらに4つの特別目的事業体(SPV)の存在を指摘します。1つはフィンテック、もう1つは気候変動技術、そして3つ目は中国のエコシステムに焦点を当てたものです。Coatueはこれら3つのSPVから未公開企業と公開企業の両方に投資しています。特に気候技術に力を入れているようで、最近新たに20億ドルのSPVが追加されました。CoatueはすでにTeslaとRivianに重要なポジションをとっています。

「オポチュニティ・ファンド」と名付けられた4つ目の投資ビークルは専ら公開市場向けで、2020年3月の短期間の株式市場崩壊の際に調達されたものです。私の情報筋によると、フィリップ・ラフォンはZoomやWayfairといった事業のブレイクの可能性に気づき、10億ドルを調達して不況下のバリュエーションでそれらを確保し、そして1年以内に100%以上のリターンを生み出したと伝えられています。

今はもう活動していないがものの、Coatueはかつて第4のコア投資プラクティスを持ち、クオンツ・アプローチを試みていました。データリードのアレックス・イジドルチクはこの3億5000万ドルのファンドを率いましたが、一貫したリターンを生み出すのに苦心しました。2018年に好調だったイジドルチクの部門は2019年の利益は2%足らずで、2020年には苦戦を強いられ、Coatueはその年の半ばまでにファンドの資本を返却しチームを切り崩しました。報道では、イジドルチクは残酷な期待を抱く厳しいリーダーであることが示唆されました。彼は2021年に会社を辞めました。後述するように、イジドルチクのやり方は腐敗した文化を頻繁に持つ会社の代表格のように見えます。

Coatueの様々なファンドの副次的な効果として、各ファンドが独立したスコアカードを持っていることが挙げられます。リミテッド・パートナー(LP)は、どの戦略が成果を上げているかを確認し、それに従って意思決定を行うことができます。その結果より詳細な情報が得られる一方で、同社は批判を受ける可能性があます。例えばこの記事の冒頭で、Coatueのベンチャー戦略は複雑な結果であったと示唆する情報があることを紹介しました。もし、Coatueが投資案件をブレンドした場合、このようなことが明らかになるのでしょうか?ある元投資家はCoatueの投資案件の細分化を好む姿勢とTigerの統一された戦略を比較し、「Tigerのアプローチの方がスマート」と発言しています。

3.2 ヒエラルキーと意思決定

Coatueの指揮系統は単純でありながら複雑です。幸いなことに、今回の取材で社内のヒエラルキーが比較的明確に把握できました。

創業者のフィリップ・ラフォンはトップに立ち、最終的な意思決定者であり、ポートフォリオ・マネージャーです。トーマス・ラフォンとダニエル・センフトは他の上級投資家よりも大きな裁量権を持つ、信頼できる副官として働いています。このレベル以下になると事態は一気に複雑化します。投資家は特定のステージに集中することもありますが、ヘッジファンドのアナリストがアーリーステージのベンチャー企業の取引に貢献したり、その逆のケースもあり、かなり流動的です。セクターを管理するリーダーもいれば、特定のアセットクラスの業務を管理するリーダーもいます。

例えばマイケル・ギルロイとラーフル・キショアは、フィンテック分野でのリーダーであり、ダン・ローズはベンチャーアセットクラスのマネージャーであると指摘されています。Coatueのヒエラルキーを理解する最も良い方法はおそらくマトリックス型のアプローチでしょう。私が行ったインタビューと調査からわかったイメージは以下のようなものです。各軸にはリーダーシップが示され、関連するセルには主要人物が描かれています。


もちろんこれで完結するわけではありません。従業員数が多すぎて、ここで紹介しきれないのです。しかし、Coatueがどのように機能し、どのように統治しているかを知ることができます。

また、意思決定に関しては、トーマス・ラフォンとダニエル・センフトが、無理のない範囲で投資判断を下すことができるといいます。「1,000万や1,500万の小切手でも誰も嫌がらない」とある投資家は言い、それ以上の金額にはフィリップ・ラフォンの承認が必要であろうことを示唆しています。さらに下位の投資家も同じようなプロセスを踏まなければならないかもしれません。つまり最終的にはこの会社を立ち上げた人物フィリップ・らフォンに責任があります。

4. プレイブック

ここまででCoatueの事業構造と内部構造を見てきました。ここからは現在のCoatueのプレイブックについて考えていきます。特に、プライベート・マーケットに焦点を当て、案件の発掘、評価、獲得、そしてサポートに至るまでをどのように行っているのかを見ていきます。その際、Coatueが最もよく比較される投資家であるTigerのアプローチと比較する機会もあります。そうすることで、表面的には似ている両社が実に異なる戦術を駆使していることを知ることができるでしょう。

4.1 ソーシング

CoatueはTigerとは異なり、民間のハイテクセクターをインデックス化することを望んでいないようです。彼らは積極的に展開するものの、より選り好みしているように見えます。逸脱の余地はあるものの、Coatueは論文主導の傾向があり、1つ以上の「マクロトレンド」に適合する投資先を探しています。

同社を知る関係者はいくつかの例を挙げています。

  1. Web3による新しいビジネスモデルの出現。

  2. クリエイターエコノミーの台頭

  3. 歴史的にオフラインのビジネスがオンラインツールに導入される。

  4. フードデリバリーの革命

  5. eコマースの実現

Coatueの過去数年の投資案件を見ると、これらのメガトレンドに対応したポートフォリオになっていることが分かります。



4.2 評価

Coatueはほとんどの場合、自社で企業評価を行っています。ある起業家は外部のコンサルタントの活用に言及していました、それはあくまで補助的な役割にとどまっているようです。一方でTiger Globalはベインに評価・調査の多くを委託し、投資時間を確保し、アロケーションに専念しています。

Coatueは他のVCと同じような特徴を求めていますが、ある情報筋によると特にTAMに焦点を当てた投資家であるとのことです。それ自体は大したことではありませんが、CoatueがTAM(Total Addressable Market)を検証しようとするきめ細かさは際立っています。とあるCoatueの共同投資家は従来のVCが特定の業界の表面的な数字を見る一方、Coatueは細部まで掘り下げると説明しています。例えばDatadogのようなビジネスを分析する場合、単にクラウド監視ソフトウェアの市場を見るだけでなく、類似製品の装着率を注意深く分析し、部門予算が通常どのように配備されているかを調査するのです。この共同投資家は「CoatueのチームがTAMの規模が十分でないと判断した場合は、パスする」と述べています。また、これは論理的に聞こえるかもしれませんが、他の企業の戦略とは逆のものです。私は複数の尊敬すべきVCが、市場規模に過度に依存することで最大の失敗をしたと述べているのを聞いたことがあります。

Coatueのデータ能力はディールを獲得する上でより重要な役割を果たすかもしれませんが、分析にも役立ちます。ある関係者は「Mosaic」と名付けられた同社のシステムがいかに優れた意思決定を促すかについて、逸話を披露してくれました。Headspinという会社をご存じでしょうか。2020年初頭、同社が公開したデータに基づき、モバイルテストプラットフォームがブレイクアウトビジネスとして注目されました。Headspinはその牽引力を背景に6000万ドルを調達し、11億6000万ドルの評価額を獲得しました。しかし17カ月後、SECと司法省は同社の共同創業者が投資家を欺いたとして彼らを詐欺罪で起訴しました。CoatueがHeadSpinへの投資を見送ったのはMosaicがかなり弱い数字を示唆したからでした。「有力なデータがなかった」とあるCoatueの投資家は言ったといいます。

最後に、レイターステージの案件を評価する際、Coatueの社内目標は、3倍以上のリターンであるようです。これは伝統的なVC が設定するハードルを下回りますが、おそらく他のクロスオーバー・ファンドと同じくらいでしょう。

4.3 勝ち方

Coatueには起業家を口説くための武器がいくつかあります。その中でも特に重要なのは以下の4つです。

  1. Mosaicによるユニークなデータインサイト

  2. 影響力のある人脈

  3. 意外なハッスル

  4. 柔軟な価格設定

その最も差別化されたアドバンテージが「Mosaic」です。これは具体的にどのような製品なのでしょうか。

Mosaicは全機能を備えた、直感的なデータ分析ダッシュボードです。クレジットカードのデータを集計・解析し、どこでどんな買い物をしたかを表示するところからスタートしました。これは非常に便利です。例えば、LyftのCEOであるローガン・グリーンに郵便番号ごとにUberと比較して、自社がどのような位置にいるのかを示すことができます。

また、DoorDashのトニー・シューに対しても同様のことが可能で、フードデリバリー事業がどこでシェアを伸ばしているか、どのレストランが最もオンライン売上を伸ばしているか、どの競合企業の買収に興味があるか、といった概要を示すことができるでしょう。

当初は好調だったCoatueでしたが、セカンドメジャーの登場と拡大により、その優位性は失われました。この新興企業は同様のクレジットカード・データを多くの企業が購入できる価格で提供していました。Coatueの功績はこのプロジェクトに投資を続け、年間3,000万ドル以上をデータサイエンスの取り組みにつぎ込んだことでしたが、その優位性は無くなったのです。しかしやがて、Mosaicは新しい機能を持つようになりました。Coatueは経費データなどの代替データセットを購入することで、顧客リストをまとめることができるようになりました。

例えばMosaicはSalesforceのような会社から経費データを解析することができます。その際、ある数のユーザーがAdobe XDの代金を支払っていることに気づくかもしれません。このようなインサイトはInVisionやFigmaのような競争力のある新興企業にとって非常に重要です。十分なデータセットがあればMosaicは特定の新興企業に対してそれぞれが競合製品に費やしている金額で優先順位をつけた見込み客のリストを効果的に作成することができるのです。

Mosaicの最後の核となる部分はベンチマーク機能です。Coatueは分析対象企業の財務モデルを作成します。このモデルはMosaicにアップロードされ、新しい投資と過去のデータを比較することができます。例えば年間経常収益2,000万ドルのSaaSプラットフォームを見て、上位10位のリテンションがどのようなものかを確認することができます。同様にCoatueは新しい市場を調査し、平均的な節度ある支出の位置を判断することができます。おそらく、これほど効果的に経験を制度化している企業はほんの一握りでしょう。

これらのことは関係者にどう受け取られているのでしょうか。私が話を聞いた情報筋によると、Mosaicは印象的ではあるが、それほど重要ではないようです。Mosaicはきれいに機能し、電撃的な力を示唆しています。しかし、起業家は本当にそれを使っているのでしょうか?

ある情報筋はMosaicについて、「ポートフォリオ企業は概してかなり感心しています」と述べています。また別の関係者も同様の感想を述べ、「正直なところ、(これは)ゲームを変えるというよりは、まだマーケティング的な雰囲気だと思う」と付け加えました。

コネクションに関しても同じような緊張感があります。フィリップ・ラフォンは長い間特別なビリオネアでした。その高みに存在するだけで、影響力や影響力を持ちがちです。その気になれば投資先企業をほとんど紹介することができます。トーマス・ラフォンも有名人とのコネクションを駆使して、同じようなネットワークを構築することができそうです。

もちろん「East Meets West」はCoatueの影響力を最も端的に表している。この2年間は開催を見合わせたものの、ある関係者は「何らかの形で復活するのではないか」と話していました。今回はアジアと米国との間で学習成果を共有することだけに焦点を当てるのではなく、Coatueのグローバルな視点を反映させることになりそうです。近年は、世界各国から一流の経営者を集めることに重点を置いています。

このイベントに価値はあるのでしょうか?ここでも、目に見える見返りと、魅力的な些細なことの間に曖昧な境界線があるようです。ある関係者は、「すべての投資先企業にとって素晴らしいイベントだ」と語り、差別化の核となるポイントとして強調しました。しかし、別の関係者は「ビジネス的な価値よりも、もっとお上品なものだ」と語っています。

またCoatueのハッスルぶりは議論の余地がないようです。この会社は、素早く動き、チャンスに飛びつきます。そしてそれが起業家に非常に良い印象を与えます。ある投資先の起業家は資金調達の終盤にCoatueを紹介されたことを語ってくれました。時間的な制約があったにもかかわらず、Coatueは準備と事業調査を行った上で最初の電話連絡に臨みました。「私はすぐに彼らを気に入りました」と彼は述べています。

2回目の電話で、起業家がその日のうちに他社からタームシートが届くと知らされると、パートナーやバックオフィスのチームはすぐに行動を開始し、1時間のミーティングが終わる頃には自分たちのオファーを送ってきたといいます。その後経営陣が直接メールを送り、興奮を伝え、取引を成立させました。

別の投資先の起業家も同じような経験を語っています。この時はCoatueが先に動きました。その会社は資金調達に積極的ではありませんでしたが、Coatueは徹底したリサーチとデータで資金調達の議論を先取りし、とても、とても素晴らしい方法でアプローチをしてきたと言います。起業家の努力はほとんど必要なく、2時間足らずの電話と数日でラウンドが成立しました。その過程で、Coatueは評価額を競合の2倍にしたのです。

このような逸話はCoatueの経営力、そしてチームの意欲を表しています。ある共同投資家はトーマス・ラフォンが資金調達の真っ最中に、シードステージのCEOと電話をしていたことを知り、とても驚いたといいます。「その関係者は「勝ちたいという気持ちと、そこまでやるかという気持ちが伝わってくる。彼らは一生懸命にハッスルしています。」と語りました

前述したようにCoatueの最終兵器はバリュエーションです。前述のように、他の成長企業とは異なる倍率で引き受け、有利な条件を提示する余地があるようです。しかしCoatueがバリュエーションに無頓着というわけではありません。それどころか、十分なリターンが得られないと判断した案件からは手を引くこともあります。ある人はPatreonを例に挙げます。Coatueはクリエイターエコノミーに興奮し、そのビジネスに興味を持ったものの彼らに有力な数字を見出せなかったようです。Coatueのスタンスについて、彼は「彼らは価格について規律を守るつもりだ」と語りました。

4.4 サポート

Coatueの関わりは投資したら終わりというわけではありません。Tiger Globalがハンズオフを基本としているのに対し、ラフォンの会社は、積極的な支援と自由度の高い支援のバランスを考えています。例えばCoatueは取締役に就任しており、起業家と親密な関係であると認識されています。私が話を聞いた投資先の起業家たちは、Coatueは良いバランスを保っており、お節介に陥ることなく支援することに成功しているといいます。「彼らは、まさに完璧なレベルで行動している」とある人は語りました。

Coatueはガバナンスへの参加にとどまらず、データ機能を活用して投資をサポートしています。投資先企業には関連情報を盛り込んだカスタマイズ版のMosaicを配布しています。ある関係者は「各企業に合わせたオーダーメイドです」と語っています。

ラフォン兄弟の人脈もこの段階で重要な意味を持ちます。ある関係者は投資家のためのソーシャルネットワークであるCommonStockとの連携を例に挙げています。シリーズAを主導したフィリップ・ラフォンは数十人の億万長者投資家が集まるグループチャットにWhatsAppのメッセージを送り、このサービスを紹介したと言われています。そのネットワークは世界でもこれほど簡単にアクセスできる人は少ないでしょう。

Coatueは初期段階ではあるものの、リクルーティングサポートなど、追加のポートフォリオサービスを構築しています。このプラットフォーム展開についてある関係者は、Amazonのコストセンターを収益源に変える手腕になぞらえてこう語ります。
「Coatueのサービスは直接的には収益をもたらさないかもしれないが、ポートフォリオ・ビジネスの円滑な運営を支援し、おそらくマージンでの取引を獲得することができるだろう。」

こうした理由から、ある共同投資家はCoatueを「私の考えでは、Tigerよりも優れたサービスだ...より多くのものを得られる」と総括しています。一方、ポートフォリオサポートについて、元社員はこう語っています。

時々、完璧に着地するが、時には、本当に本当に最悪だ。... Coatueのポートフォリオに参加しているファウンダーの80%が最も役に立った投資家としてCoatueを挙げるなら、私は驚きます。

ヒットとミスはあるものの、Coatueは、ポートフォリオのファウンダーに、サポートされていると感じさせながらも、息苦しくならないようにするという、本質的な部分をうまく行っているようです。


5. 文化

Coatueを調査していると無視できない問題が何度も登場します。それは、攻撃的な社内文化です。Coatueのチームとリーダーシップについては多くの良いことが言われていますが、トップから始まる経営上の問題が根強く残っているようです。

5.1 リーダーシップ

フィリップ・ラフォン、トーマス・ラフォン、ダニエル・センフトの3人が、会社のトップです。それぞれの個性は、ある意味で、彼らが築き上げた組織に反映されています。

それはCoatueの創業者であるフィリップ・ラフォンに最も当てはまります。学歴からもわかるように、フィリップには数字に対する天賦の才があり、膨大なデータを不気味なまでに分析し、思い出すことができます。ある関係者は「彼は、たとえ5年前であっても、与えられた数字をすべて記憶している」といいます。

それは単に気の利いたパーティ芸というだけではありません。 フィリップはビジネスの本質を素早く見極めることができるのです。 また、あるファンドマネジャーはスプレッドシートに目を通すと、「モデルの363行目にエラーがあれば、彼はそれを見つけるだろう」と、すぐに問題を発見することができる能力を賞賛しています。

フィリップはそのきめ細かさを大きな賭けにつなげる才能があります。 彼は、Apple, Tencent, Bytedanceのようなブレイクヒットを倍増させたCoatueの実績を引き合いに出して、「彼が本当によくやるのは、キャリアを通じて最高のアイデアをスーパーサイズにすることだ」と同社に近い投資家は述べている。 同様にフィリップは引き際を心得ており、2021年の最も不安定な時期にはより慎重な戦略をとっています。 「彼は市場において非常に優れたポーカープレーヤーだ」とその人物は指摘します。

このような才能には特別な熱意が込められています。「フィリップはとても強烈だ」とある人は言いました。それは、マーケットで発揮されればプラスに働きますが、家庭内では非生産的なようです。ある新聞によると彼は「叫ぶ人」だといいます。ある噂によると、フィリップは怒りに任せて部下にホッチキスを投げつけたと言われています。この噂を伝えた関係者は、それが本当かどうかはわからないようですが、それが本当かもしれないと思えるのは、ラフォンの長兄が常に感情をコントロールできるわけではないことの表れでしょう。

また、あるベンチャーキャピタリストは彼のことを「奇妙なカモ」と表現しているように、彼はどこか不可解な存在に見えます。ある関係者はCoatueがプライベートマーケットへの投資を始めたころの会話を思い出していました。フィリップは、ベンチャー・キャピタルの世界に入った最大の動機の1つは、個人的な税制上の優遇措置を確保するためだと語ったと言います。確かにその通りかもしれませんが、それは実利的な世界観の狭さを示唆しています。

トーマス・ラフォンは兄のようにマーケットに精通しているわけではないものの、2人の中ではより親しみやすく、ある人は「とてもカリスマ性がある」と評したそうです。そのためか、SnapやSpotifyなどの企業を口説くのに便利な素晴らしいネットワークを構築することに成功しています。また、大局的な思考をする傾向があり、総論賛成・各論反対の立場をとることも得意とします。

トーマスはフィリップよりEQが高いかもしれませんが、兄の激しさと気性を共有しているようです。ある関係者はラフォンのふたりを「とても怖い」と表現します。さらに、トーマスの気まぐれさについて、「彼の意見は、マーケットに左右されやすい」と評しました。

例えば、Coatueのプライベートマーケットチームが中小企業向け決済サービス会社Melioを初めて売り込んだとき、弟のラフォンは興味を示さなかったといいます。「トーマスは、それをすべて否定したようなものだ」と、そのときのことを知る関係者は言います。しかし、公開市場の競争相手であるBill.comがその価値を高めるにつれ彼はその決定を覆し、Melioに多額の投資を行うようになりました。突然、決済処理とバックオフィスのサポートに関わるすべてが欲しくなった、と関係者は回想します。

また、ある情報筋は同業他社が打撃を受けた日にSaaSビジネスの売り込みをしたことを覚えています。彼らはトーマスが取引に応じる可能性は「ゼロ」だとわかっていたのです。

ダニエル・センフトは影が薄くなってしまったものの、同社では重要な存在です。それどころか、Coatueで最も優秀な投資家かもしれません。センフトは主にC向けインターネットビジネスに注力しており、このカテゴリーで大きな成功を収めています。Bytedance, Tencent, Facebookなどのファンドの支援は彼のおかげであるようです。 ある関係者はセンフトがCoatueの最大の「」を担っている可能性が高いと指摘した。

13年以上在籍したセンフトは、フィリップとコミュニケーションをとる才能も身につけたようだ。ファンドマネジャーの時間は限られているので、ほとんどのピッチは1分程度で行わなければならない。ある関係者によると、センフトはこの圧縮を得意としており、ニュアンスの異なるテーマを効率的に表現しているという。

この3人組のほかにも、Coatueには何人かのキーパーソンがいる。このメンバーに関するコメントはかなり限られているが、同社のプライベート・マーケット・チームは、特に外部からの評判が良いようだ。

ある投資先の創業者は、マット・マッゼオを特に賞賛し、彼のビジネスへの積極的な貢献を指摘しました。「彼は驚くべき製品マインドを持っている」とその創業者は言い、Mazzeoをこの分野では世界最高の一人と考えていると述べた。また、元ServiceNowのDavid Schneider(デービッド・シュナイダー)氏も、この分野では世界一の人物だという。シュナイダーは、この会社の理念を体現している。

野心的でアグレッシブであると同時に、良い人間であることができる。それが、Coatueの社員全員の共通認識になっている。

また、Caryn Marooney(カーリン・マルーニー)の名前も挙げられ、投資先のNotion社でいかに彼女が貴重な存在であったかを示す関係者もいた。マルーニーは、フェイスブックでコミュニケーション担当副社長を務めた経験があり、メモ帳や情報管理という混雑したカテゴリーで、同社を際立たせるために欠かせない存在となっている。

5.2 アグレッシブマネジメント

このように、Coatueには好評を博しているリーダーもいる。しかし、概して、アグレッシブで集中的な文化が花開くことを許しているように思われる。

これは意図的なものなのだろう。フィリップ・ラフォンは、違う時代に生まれ、もっと大胆な経営スタイルを経験したのかもしれない。以前のインタビューでは、ウォール街の「テストステロン」について嬉しそうに語っていたが、確かに彼は競争に勝ち抜いてきた人物だ。Coatueのマネージャーは、ハイパフォーマンスを実現するためには、ハイオクな環境が不可欠と考えているのだろう。フィリップは、"クリームが一番上に行く "と考えているんだ」と、ある人は教えてくれた。

そう考えるとCoatueのテンションの高さも納得がいく。汗をかかずに大きなものは作れないし、最高のチームには並外れたハードワークが求められる傾向がある。しかし、Coatueのような粗暴なやり方でなくても、素晴らしい成果を上げることが可能であることは、他の組織でも証明されている。

ある元社員は、「これほど怒鳴られたことはない。"クソ恥ずかしい "と言われることがしょっちゅうだった」と、在籍時のことを語っている。トーマス・ラフォンは、批評をする前にZoomで部下を呼び出したが、この習慣は後を絶たない。「その着信音を聞くたびに、心臓がドキドキするんです」と、情報筋は指摘する。

この人の体験は、決して孤立したものではない。他の人も、「熾烈で、燃えているような」雰囲気と表現している。ある関係者は、「2年に1度、社員が辞めていく」と言った。

Coatueは、このようなやり方で多くの優秀な投資家を失うだけでなく、引き留めた投資家にもほとんど成長を与えないようである。「Coatueには、メンター制度みたいなものがないんです」と、ある関係者は言う。これは、若い才能の育成で有名なTiger Managementにフィリップ・ラフォンが在籍していたことを考えると、特に残念なことのように感じられる。確かに、現代のヘッジファンドやクロスオーバーの仲間たちと比べても、Coatueのさりげない毒舌は時代遅れな感じがする。

結局のところCoatueは業績さえ良ければ、文化的な問題は気にしないのかもしれない。多くの人にとって、優れたビジネスに投資する機会は、痛みを伴うに値するものなのだ。トーマス・ラフォンのZoomコールを震えながら覚えている人は、"私は今でもネット・プラスになる...創業者に金を取れと言うだろう "と言って、私たちの会話を終えた。

5.3 報酬体系

Coatueのベンチャー投資家はその仕事に対して十分な報酬を得ていますが、その報酬は一風変わった仕組みになっています。通常、ベンチャーキャピタルは投資家に対して「carry」と呼ばれる、ジェネラルパートナーシップが実現する利益の分配を行います。伝統的にGPのキャリーは合計20%で、その一部がジュニア投資家にも渡されることがあります。このモデルは、投資家のインセンティブを調整し、投資が成功したときに投資家に多大な報酬を与えることを前提としています。

しかしCoatueはプライベートマーケット部門でもよりヘッジファンド的なモデルを堅持しています。ある情報筋によると、GPでさえ投資した案件のキャリーを受け取らず、代わりに現金とボーナスで報酬を得るそうです。ジュニア投資家も同様で、基本給は6ケタ台がほとんどです。数百万ドルのボーナスは個人の裁量であり、個人の投資パフォーマンスと明確にリンクしているわけではありません。高い給与は「誰も泣かない」ことを意味しますが、このアプローチでは前述の基本的なアラインメントが失われることになります。GPや他の投資家がCoatueで働くことで大金持ちになることは間違いありませんが、桁外れの金持ちになるには通常、ハイパフォーマンスの資産を所有することが必要です。そのようなことで涙を流すことはないかもしれませんが、次のNotion, OpenSea, Lyft, Meituanへの投資をバッグを確保せずに我慢することは、度もあることでしょう。このような構造は長年にわたるCoatueの損失の一部を部分的に説明することができるかもしれません。

もちろん1つの投資について個人が単独で責任を負うことはありません。それぞれのビジネスで他の投資家が重要な役割を担っているはずです。そこが、チームとしての勝負の分かれ目なのでしょう。

そしてここがTiger Globalとの決定的な違いです。チェイス・コールマンが行った最も鋭い行動の1つは、より広いパートナーシップでアップサイドを共有することでしたそうすることで何人かの同僚が億万長者になり、スピンアウトすることを防ぎました。すでに述べたように、Coatueは人材確保に苦労しており、富の分配はその助けになるかもしれません。

5.4 実験的なDNA

Coatueの文化には改善すべき点もあるものの、ほぼ全面的に賞賛に値する点があります。それはCoatueの実験に対する意欲です。その点で、ラフォンの組織は、他の多くのライバル会社よりも投資先企業に似ています。同業他社の資産運用会社が古臭く無味乾燥な傾向にあるのに対し、Coatueは革新的です。「Coatueがあまり評価されていない部分は、実験するときは徹底的に実験するところだ」とある元社員は語ります。

このDNAが今後2〜3年の間にどうなっていくのかを想像してみると面白いでしょう。ある人はCoatueがTigerのようにインデックスベースのアプローチをとるようになると言っていましたが、それはCoatueのビジネスとの関わり方に反しているように思います。その代わりに、未公開市場と公開市場にまたがる一連のテーマ型ETFに相当するものを創設することになるかもしれません。すでにフィンテックや気候変動といった重点分野のSPVを立ち上げており、クリプト、ヘルスケア、エンタープライズ・ソフトウェアについても同じことができるのではないでしょうか。

クリプトは大きなビジネスチャンスであり、同社にとって最適な分野です。Coatueは一連の成功したベットによりエコシステムでの地位を確立しているだけでなく、Mosaicを効果的に活用することができるはずです。クリプト分野では膨大なデータが公開されていますが、貴重なインサイトをもたらすサービスはほとんどありません。また、市場は大きく異なりますが、公的資産の取引経験はトークンを管理する際に役立つと思われます。

Coatueがその最高のクリプト投資の多くに関わったクリス・フレデリクソンを辞めさせたのは残念なことです。彼の前には同じくクリプトチームで活躍していたマシュー・ミズバニがParadigmのパートナーになるために退社しています。

Coatueはこのアプローチを実行するために、スタッフを増やし、人材に成功するための環境と報酬を与える必要があるかもしれません。Coatueは欠点はあるものの、新たな力学に対応するために自らを改革し、改築するという素晴らしい仕事をしてきました。また、このような取り組みが行われることを期待する人はほとんどいないでしょう。

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「大企業」と「偉大な企業」は同義語のように聞こえますが、それぞれが、他が見落としている意味を捉えています。Coatueを理解することは、時にこの2つの言葉を使い分けることに似ています。Coatueは確かに巨大です。しかし、偉大なのでしょうか?

その答えはほとんどすべての面で「イエス」です。これほどまでに洗練された特性を持つ企業は他にありません。例外的なヘッジファンドが成長投資プラクティスを生み出し、それがアーリーステージ・グループを生み出したのです。そして新たなニーズに応えるためにSPVを設立し、その構造を強化・追加しています。そしてこれらの構成要素を統合し、共に考え、共に行動することを可能にするのが堅牢なデータサイエンス能力です。全体として見ると、これは素晴らしい金融建築であり、職人の意図と芸術家の直感が表れています。その証拠に、取引を獲得するたびにその素晴らしさを実感します。

しかし、Coatueの文化を見ているとこの素晴らしさが損なわれているように見えます。この会社は賞賛に値する多くのことを成し遂げていますが、そのチームを統率する方法はむしろ注目に値しないように感じられます。

しかし、Coatueは大きすぎて変えられないということはありません。大きくなっても軽快さを失わないこと、AUMを蓄積してもなお実験を続けること、それこそがCoatueの魔法の源なのです。次の実験は内側に向けるべきなのかもしれません。



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