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【トヨタ生産方式/TOC編1;問題から始める】

大卒で大手素材メーカーの工場に配属された若手の紫耀(ショウ)と同じ工場に転勤してきた別部署の中堅社員の管理者の健(タケル)との会話です。
 先輩に指導を受けながら、トヨタ生産方式について学び、自部署の課題を解決に挑戦するようです。ただ、この課題は部署全体の話となるため、部署のトップも巻き込んでいくようになっていきます。

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問題から始める

👱🏼‍♂‍;おはよう!

🧒;おはようございます。工場の朝は早いですね。

👱🏼‍♂‍;そうだ、早いんだ。さて、今日からトヨタ生産方式について勉強しくことになっていたけど、最初から勉強したいと言っていたよね?それはどうしてなの?

🧒;はい。前々から聞いたことがあったのですが、きちんと勉強したことなくて、せっかくなら勉強したいなー思って。

👱🏼‍♂‍;そうか、それもすごくいいんだけど、俺たちは学生じゃないからただ漠然と勉強するだけだともったいないよね。

🧒;もったいない?

👱🏼‍♂‍;俺達には実践ができる現場があるんだ。勉強するだけでも確かに成長はできるのだけど、次の日には忘れていることがほとんどだ。今持っている問題を解決するために使う。つまり、問題から始めるんだ。理論を勉強した上で、その問題に対して自分の現場に適用できる部分、できない部分というのを仮説をもって実践に挑んで、PDCAを回すなかで理解していくことが重要なんだ。そして、5Sの時と同じように理解できていなかった部分は理論にまた戻るんだ。

🧒;なるほど、なるほど、目的意識から始まる理論と実践がやっぱり重要ですね。

👱🏼‍♂‍;そう。それに問題から始めず、ただ単にトヨタ生産方式を導入しようととすると失敗してしまう場合が多いよ。何がゴールかわからなくなってしまうからね。

効率という魔物

👱🏼‍♂‍;ところで、ごめん。ちょっと強引だけど、、君の部署は、いまどんなことで困っている??その困りごと次第では、トヨタ生産方式ではなく、違うものが必要かもしれない。

🧒;うちの部署、大型投資で新しく設備をいれたのに赤字なんです・・。出荷遅延も多いです。設備の効率は上がっているのに、赤字が解消されていきません。

👱🏼‍♂‍;そうか、君の職場は、複数の加工工程があったよね。そして、それぞれの設備生産タクトが大きく異なる仕掛り品を同期させて、最終的に組み立てて顧客に出荷する部署だったのよね?

🧒;ご存知の通り、そうです。

👱🏼‍♂‍;ちなみにプロダクトミックスも去年から変化して、多品種少量になっている。
(そうか、なるほど。今までの少品種大量生産の時の成功体験のプッシュ生産文化のままなんだな)となると、ちなみに設備を新しく導入してから在庫は増えたんじゃないかな?

🧒;そうです。在庫増えて、モノ探せないし、仕掛りの置き場所がないし。混乱しています。

👱🏼‍♂‍;それに、投資しても人は減っていないだろう。部会で聞く限りでは売り上げも伸びていないみたいだ。実は俺も投資したのに調子が悪いと聞いていて、ちょっと心配になっていたんだ。

🧒;でも、設備の効率は上がった証拠に部品単位のコストは下がっていますよ。

👱🏼‍♂‍;それはきっと、その設備の見かけのコストが下がっただけ思う。大量に作って、単位当たりのコストは下がったように見えるけど、固定費が減っているわけではない。そして、それぞれの工程で大量生産して多品種に対応できていないから、各工程で同期しないため、仕掛り在庫が増えているはず。結果、維持コストや仕掛探すコストを考えると部署全体の総コストは上がっている可能性の方が高い。効率という言葉本当に怖いんだ。個別最適のために効率を求めると全体最適にとって最も大きな障害になるんだ。部品コスト差なんてすごく小さく感じるほどロスが出るよ。

🧒;効率が魔物・・・・。良かれと思ったことが、悪い方向にいくことがあるんですね。。

トヨタ生産方式とTOC理論

👱🏼‍♂‍;君の工程は5Sはできていて、現場の動きは良くなったのはすごくいいことだけど、生産と仕掛り品の管理はあまりよくないようだ。
というか、計ったかのように、トヨタ生産方式を展開するに適した問題だね。プッシュ生産からプル生産に生産の考え方・意識を変えないといけない。それとエリヤフ・ゴールドラットのTOC理論もかなり適用できるだろう。むしろTOC理論の方が即効性があるかな。

🧒;プッシュ生産?プル生産?TOC理論??

👱🏼‍♂‍:トヨタ生産方式でプッシュ生産とプル生産の考え方が対になって解説されているよ。TOC理論は、トヨタ生産方式と類似した理論だ。初期のトヨタ生産方式を一部変化させたと言ったらいいかな。Theory Of Constrains(制約理論)というんだ。いずれにしろ、両方理解し、現場に適用していく必要があるから、両方説明するよ。問題は分かった。となると、まずトヨタ生産方式とTOC理論の解説が必要だね。結構時間がかかるから、勉強している間に前回学んだ5Sをほかの工程にも展開してくれ。5Sのベースができていることは、今回の課題解決のための前提条件だ。前にもいったけど5Sがある程度できていないと何もできない。

なお、この案件は、当然ながら、一つの工程では解決できない。解決しようとするならば、この製品のための全体工程を管理する最高責任者が当事者になること、つまり君の課長が本気を出さないといけない。彼を含めて勉強と実践を進めていこう。

🧒:おぉ・・。なんてことに・・。課長ですか?ちょっと言いにくいな・・・。

👱🏼‍♂‍;君の部署の課長には俺から話すよ。実は彼とは同期なんだ。この間も君の話になって、君の5Sのことも活動の話も彼からお礼を言われたよ。

🧒:え?知ってたんですね。。。ありがとうございます!

👱🏼‍♂‍;だだ、君も自分の工程だけでなく全体を見る役目を担って課長のサポートをしなければならない。いままで以上に大変になっていくよ。がんばれるかい?

🧒;はい!頑張ってみます!

👱🏼‍♂‍;よし!では、次回はまずトヨタ生産方式の概略を学んでいこう。
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今回は、トヨタ生産方式とTOC理論の解説の導入部分として投稿しました。実際、プッシュ生産で個別最適に陥っている現場が多く存在します。”木を見て森を見ず”という状態です。次回以降、教科書的にトヨタ生産方式、TOC理論を解説し、その後、どのような職場で効果を発揮するか・させるかというポイントを順を追って解説していこうと思います。 

次の投稿は下記です。

なお、本投稿は、下記の本を内容参考に投稿しています。


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