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【トヨタ生産方式/TOC編2;トヨタ生産方式”概略”】

大卒で大手素材メーカーの工場に配属された若手の紫耀(ショウ)と同じ工場に転勤してきた別部署の中堅社員の管理者の健(タケル)との会話です。(もちろんフィクション?)
 先輩に指導を受けながら、トヨタ生産方式について学び、自部署の課題解決に挑戦するようです。トヨタ生産方式はボリュームが多いので、複数回にわたり解説していきます。今回はトヨタ生産方式の背景と概略を導入として記載します。

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トヨタ生産方式概略

👱🏼‍:トヨタ生産方式の解説を始めるよ。

🧒;よろしくお願いします!

👱🏼‍;大野耐一氏著の「トヨタ生産方式」は、1978年が初版なんだ。40年以上前の古い本なんだけど、真理を説いている本だから基本を学ぶのに必須の本だよ。

🧒;だいぶ古い本なのですね。それも2020年の今読まれているっていうことがすごいですね。ちょっとジャンルは違いますが、ドラッガーのマネジメントみたいな立ち位置ですね。

👱🏼‍;ドラッガー、、また、すごい名前を出してきたね・・。トヨタ生産方式は、フォード式の「押し出し方式」に対して「引っ張り方式」を採用している。ちなみに、この本が出された理由の一つみたいなんだけど、トヨタ生産方式というと“かんばん”という言葉が同時に使われ、その言葉自体が独り歩きし、トヨタ生産=かんばんというイメージを持たれてしまうことが多かったみたい。それで、かんばんを導入すればよいという風に解釈されたり、下請けいじめのように都合よくかんばんを使って親会社が業績を上げるものと解釈されてしまったみたい。でも、実際はそうではなくて、トヨタ生産方式は、人間性の工場と総合効率の両立を目指すものってことをきちんと伝えるためにこの本があるようだ。正しく理解するためにしっかり勉強していこう。それと、トヨタ生産方式はリーン生産方式とほぼ同じ意味なんだ。MITが日本の強さを研究し、トヨタ生産方式を体系的に一般化したものがリーン生産方式と呼ばれている。実践において差はないから同じものと考えてよいよ。

🧒;私も、もやっと、勝手なイメージを持っているうちの一人です・・。

👱🏼‍;具体的な中身の話をする前に、背景を少し話しておくね。昭和48年のオイルショックをきっかけに世間はトヨタ生産方式に強い関心を持ち始めた。オイルショックで高度経済成長は終わりを告げ、低成長時代がいよいよ到来したということが明らかになったんだ。そして、その低成長時代が訪れて、アメリカの生産方式を真似てきた多くの日本企業は立ち行かなくなってしまった。この時すでに、時代は少品種大量生産から多品種少量生産に移行していたからね。過去の量産効果のメリットはデメリットになり、これに対しどう対応してくかが重要になっていった。そこに見事に適応していたのがトヨタだったんだ。トヨタは、もともとアメリカで確立された大量生産の押し出し方式に対して、どのように追いつくかということを考えていて、多品種少量生産でも原価を安く高品質製品を作るという生産方式を第二次世界大戦後から模索していたんだ。なので、もともと低成長時代に強い体質になっていたんだよね。たまたま、注目されるようになったのオイルショックの後からだったということなんだ。
ずっと昔から、自分の置かれている立場、すべきことをずっと考えてきた会社だってことだね。ほんとうにすごいわ。。

-トヨタ生産方式の二本柱。

🧒:なるほど、、すごいという言葉すら薄くなってしまう感じですね。。

👱🏼‍;うん。別業界の俺たちも、同じくらい積み上げていかないとね。さて、本題に入ろう。トヨタ生産方式の基本思想は、「徹底したムダの排除」だね、それを構築する有名な2本柱が存在する。それは、ジャストインタイムと自働化だ。

🧒;はい。言葉としては知っています。が、、、ですね。

ジャストインタイム(以下JIT);

👱🏼‍;JITは「つくりたいものを、つくりたいときに、つくりたい分だけつくる」ではなく、「配給したいものを、供給したいときに、供給したいだけ運搬する」ことでもないんだ。「必要なものを必要な時に必要な分だけ生産する」という生産の考え方だ。まさに引っ張り方式だ。トヨタ自動車創業者の豊田喜一郎氏(1894年~1952年)(豊田自動織機創業者・豊田佐吉の長男)が考案している。第二次世界大戦後、トヨタはリストラをする時期があった、その時圧倒的に強かったアメリカに追いつくために何が必要かと考え抜いた結果JITが生まれた。
多品種少量をスムースなムダのない生産を行いたい、しかし様々な狂い、つまり、予測であったり、不良・設備トラブルの狂いが起こる。常に後戻りしなければならない。これでは、プッシュ生産(需要予測での大量計画生産)では管理ができない。また、従来のやり方では、前工程が後工程の生産状況にはお構いなしに品物を送り込んでくるために、後工程では、部品の山ができてしまう。後工程は置き場の確保や品物を探すことに手を取られて肝心の生産が進まない。そこで、ものの流れを従来と逆さに考えてみた結果、必要な時に、必要なだけ生産ラインのわきに到着することを理想とすることを思いついたといわれているんだ。

🧒;何とかしなければならないという思いから、考えに考え抜いた末の発想なんですね。

👱🏼‍;うん。何も前例がない中、かつ大量生産が正しかった世界の中で、考え貫いてきたのは驚くべきことだよ。

-自働化


👱🏼‍;もう一つの柱は、自働化だ。“自働化は機械に人間の知恵を授ける”をコンセプトに編み出された考え方なんだけれども、豊田佐吉氏(1867年~1930年)が考案した。佐吉氏は日本を代表する発明家であり、最も有名な発明は糸が切れたら自動的に止まる「G型自動織機」なんだ。これにより、人は異常が起きた時だけ現場に行けばよい状態にして、より効率的に働けるようにしたんだ。大事なのは、正常と異常の区別が明確になっていることで、異常の時のみ機械を操作するということにすれば、現場作業員は付加価値の高い作業ができる。人間の単なる動きを、”ニンベンのついた”働きにいかに変えていくかというのが自働化という考え方なんだ。

-JITと自働化の関係性


二人の創業者の二本柱に関して、JITは「チームプレーとしての妙」であり、自働化は「個々の技術の工場」と大野耐一氏(トヨタ自動車副社長にまでなった)は言っているんだ。なお、この2つの思想を具現化し体系化して、トヨタ生産方式へと昇華させたのが大野氏なんだ。
大野氏は、これを両立した生産現場はどこよりも強力な体質を持つに至ると言っているよ。これらの二本柱を実現するために具現化の策として、平準化・他工程持ち等のアイデアが生まれ、実行されていったんだ。これらの話から分かるように、トヨタ生産方式はムダの徹底排除。これに尽きるんだ。なお、トヨタのホームページには、トヨタ生産方式は、「より早くお届けするために、最も短い時間で効率的に造る」ことを目的とすると書いてあるよ。

-意識改革が不可欠

🧒;ものすごい考え方ですね。もう理論化できているのであれば、導入すれば、うまくいってしまいそうですね。
👱🏼‍:そうはいかないんだ、これから各種のアイテムを解説していくけれどもそれだけではだめなんだ。トヨタ生産方式を実現するには、意識改革が不可欠なんだ。いつも相当量の在庫を抱えていないと不安でしょうがない気持ちが、つくりすぎのムダを作り出し、不良在庫という最大の経営をロスを生み出す元凶になるんだ。いくら、理論や手法を学んでもこの姿勢が変わらないと実現できない。このことを深く認識することが最初は最も大事なことだと大野氏は言っているんだ。


🧒;そうなのですね。考え方自体を変えて挑んでいきたいと思います!

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今回の投稿では、トヨタ生産方式の成り立ちの背景とそこにある創業者たちの想いを解説しました。注目される前から、どうしたら自分たちは生き残れるかと考え実施していた。来るべき時代に準備ができていたということだと思います。また、この方式を信じ切ってやりきることは本当にすごいですね。この姿勢含めて、学んでいきたいと思っています。
次の投稿は、この二本柱のJITの解説をしていきます。下記です。


本投稿は大野耐一氏著「トヨタ生産方式」とカイゼンベースHPを参考に、解釈を入れながら解説をしております。

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