博士がゆく 第20回「教授が持ってる科研費、基盤研究とは?」
こんにちは。ドクター細胞くんです😎
今日は科研費にどのような種類があるのか説明していきましょう
今日の記事を読むべき人
→行きたい研究室の経済事情を知りたい人
前回の記事では教授がいかに科研費をもらっているのか調べる方法をお伝えしました。
教授の名前をKAKENデータベースで検索するんでしたよね。
データベースが示した教授のページには、現在採用されている研究課題から、過去に採用されていた研究課題までずらりと並んでいるはずです。
現在採用されている課題に注目してみると、その課題について5つの情報
「研究代表者」「研究期間(年度)」「研究種目」「審査区分」「研究期間」が記載されています(下図)。
今日はそのうち、「研究種目」について説明していきましょう。
17の研究種目
学術振興会が配布する研究費は17の研究種目に分かれています。
この中で最も採択件数と配分額が多いのが「基盤研究」です。
令和元年度は科研費総額1630億円のうち、1064億円が基盤研究に配分されていました。
(参照:文部科学省 「令和元年度科学研究費助成事業の配分について」)
今日はこの中から「基盤研究」と特殊な「特別研究推進費」の2つを紹介します
基盤研究
基盤研究は科研費の中で、「一人又は比較的少人数の研究者が行う独創的・先駆的な研究」として位置づけられています。
基盤研究の中にも研究費の大きさと採用期間で(C)~(S)までランクが分けられています。
(S)原則5年間 5,000万円以上 2億円以下
(A)3~5年間 2,000万円以上 5,000万円以下
(B)3~5年間 500万円以上 2,000万円以下
(C)3~5年間 500万円以下
例えば、Toll like receptorを発見した免疫学の先駆者である審良 静男教授(大阪大学)は現在基盤研究(S)に採用されていますね。
基盤研究に採用されている教授のもとでは、教授の発見に基づいた研究が採択されていることが多いです。
基盤研究に採択されている教授のもとで大学院生活を送ることは、教授が生み出した最先端の科学技術に触れるチャンスです。
特別推進研究
「特別新しい学術を切り拓く真に優れた独自性のある研究であって、格段に優れた研究成果が期待される一人又は比較的少人数の研究者で行う研究」です。
3~5年間(真に必要な場合は最長7年間)
2億円以上5億円まで(真に必要な場合は5億円を超える応募も可能)
期間と費用を見ても、学術振興会のこの分野にかける本気度が伝わってきますね。
例えばiPS細胞の発見者である山中伸弥教授(京都大学)は2007-2011年度に採用されていました。
研究結果がでた際にはインパクトが大きいが、研究結果が出ない可能性もあるハイリスク・ハイリターンな研究をやっていることが多いです。
このため、過酷な環境に身を置いて研究を行ってみたい方におススメできるかもしれません。
最後に
教授が採用されている科研費の区分からも、その教授の特徴が伺えることを紹介しました。
科研費が潤沢にあれば、あなたの実験に使う試薬の金額に、教授がとやかく言うことはないでしょう。
じゃんじゃんお金を使って、あなたに結果を出すことを求めてくるはずです。
そのプレッシャーはなかなかのものです。
しかしその期待に応え続けることができれば、あなたの研究成果は、よりインパクトのある科学雑誌に掲載されることになるでしょう。
そうなれば、大学院生在学中に、あなたも自分の研究費を獲得できるかもしれません。
明日はそんなお話。
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今日はこの辺で。
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