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note感想🌟 共作小説【白い春〜君に贈る歌〜】第4章「好きって伝えたかったら、嫌いって書けばいい」②


河津桜。

三浦さんと一緒に桜を見れて、良かったね。

外で気分も変わって、素敵な詩が書けるといいね。

三浦さんと佐々木さんがサポートしてくれるから心配いらないよ。


辺り一面が、河津桜の濃いピンクで満たされている。

真っ青な空とのコントラストが見事で美しい。

穏やかな陽気の中、一足早い春の訪れを運んできているのを知ってか知らずか、桜たちは今しかないこの一瞬を、懸命に咲き誇っている。


爽やかに晴れて良かったね。

一年に一度の桜の晴れ舞台。

三浦さんと紗良さんを桜も見守っているよ。


桜のデッサンをはじめると、モードに入る三浦さん。

生粋のアーティスト。

紗良さんにも、桜の妖精が降りてきた。



◇◇◇


【返歌】「桜輪舞曲(サクラロンド)」


サクラ サクラ サクラ サクラ咲く

この一瞬の喜びは永遠に

過去へ還っていく 光をともに連れて


回る 回る 運命は回る

桜の栄枯盛衰を止めて

時を戻そう はじまりのときへ


サクラ サクラ サクラ サクラ散る

あなたが傷つく前の心に帰るように

過去を戻したい 悲しみが消えるまで


思い出して 運命の花

2人はいつもそばにいたこと

どんな痛みも2人なら越えていけるから


思い出して 運命の花

桜のときは一瞬だけど

その光に永遠が満ちるから


サクラ サクラ サクラ サクラ咲く

遥か遠い宇宙の彼方まで届く想い

奇跡が起きたらいいね 桜の妖精とともに



◇◇◇



紗良さんは、即興で歌にできるんだね。

メロディーは、2人の空気をやわらかく包む。



「いいね。俺が思い描いていたものと同じようなイメージだよ。
もっと言えば、想像していたよりもずっと良かった。
それに……上野さんって、歌がめちゃめちゃ上手いんだね。
そのことにびっくりしたよ」



ぐっと距離が縮まって、丁寧語から踏み出した三浦さん。

伸ばした手と手がふれあうような瞬間。


すぐに丁寧語に戻ってしまって、惜しいな。

強気に進む紗良さん、頑張ったね。


もう少しでうまくいきそうだけど、縛りつけるものが多くて。

一瞬だけ咲き誇る桜のような2人のひととき。


気持ちがつながったら、成就してるんだ。

その瞬間は、永遠なんだ。

まだ、もう少し、2人の時間を見たいかな。


回り、めぐる運命の花は、2人を優しく見守る。

そこに妖精がいたんだ。

紗良さんと一緒に。

優しさをまとった妖精は、2人をよく知っていて。

忘れられない思い出をプレゼントしてくれた。



散り際の花びら。

春風に舞うように、ひらひらと落ちていく。

落ちていった花びらが川の流れにのり、下流へと流れていく。

日の光が当たり、川面がキラキラと光っている。

日本の散り際の美学は、こうした「もののあわれ」から来ているのだろう。


散っていく美しさ。

心に永遠を残して。

時間は残酷に過ぎてゆくけど、想いは消えないから。

もののあわれは、時空を越える。


紗良さんに幸せな時間がプレゼントされて本当に良かった。


にぎやかな桜フェス。

懐かしくよみがえる思い出。

三浦さんには、触れてほしくない過去なのかな。


「私、死ぬ前に三浦さんの歌が聞いてみたかったな」


車のクラクションでかき消された声。

あなたは素晴らしいんだから。

止まってしまった時計の針を動かして欲しいんだ。



二度と目にすることのないであろう、桜並木を振り返った。

風に揺れている桜の樹々が、お別れを囁いているかのようだ。

ありがとう。また逢う日まで、さようなら。


またね。

また、桜と逢うんだよ。

約束だからね。





🌸この記事は仲川光さんの企画参加記事です🌸


#白い春


#創作大賞感想










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