【ラインメール青森】柴田峡監督2024プレシーズンインタビュー
柴田峡監督
Q.柴田監督のラインメール3年目のシーズンが始まりました。今年の目標としてはもちろん優勝とJリーグ昇格ということになるかと思いますから、そのためのチーム作りということで、まずはここまで新加入選手が11人、今回の補強のポイントといったところからお聞かせください。
「まあ結果としては、ある程度年齢が高かった選手たちが抜けてしまって、この状態からスタートしてくださいというのが、基本的にはクラブからの話でした。この選手は残してほしいといったようなことを、僕の方からあまり言うべきじゃないなと思ったのもありましてね。そこは最終的にはクラブが決めることにしておかないと、例えば僕がシーズンの途中でいなくなることも、もしかしたらあるわけで、そうなったときに方向性が一気に変わってしまうのはあまり良くないなと思ったのと、やっぱりクラブに、青森として目指すべき方向性を持ったチーム作りのようなことを考えてもらった方がいいというようなこともありました。そういうわけで、抜けたところを補強して、あとは去年は左利きがちょっと少なかったので、そこは補強しました。来てくれた選手たちには感謝しています。浦安のセンターフォワードだった村上弘有だったり、ソニー仙台の中心選手だった松本拓海だったり、浦安とソニーでは、去年8割9割出てる選手たち2人に来てもらえたというのもありますし、町田蘭次郎も「絶対に合うと思うから」と向こうの監督が直々に言ってくれて、本人と話してすぐに決まりました。ブラジルから入ったベッサに関しては、映像を結構見て、結構な人数の中からピックアップしてもらったので、ベースはそこそこあって、開幕までにもうちょっと身体が締まってくればもっとやれるだろうと思います。クラブとしては一貫性を持って若い選手を集めたというように言えると思いますし、しっかりと狙える戦力になったと思っています。」
Q.キャンプインしてこれで2週間ちょっとですね。去年もここで同じように1か月のキャンプでしたが、去年のシーズンが始まってから、4月初め頃の試合のときに、監督に「プレシーズンはいかがでしたか」と伺ったら、ベテラン勢と若手とのコミュニケーションの部分があまり上手くいかなかった、というようなことをおっしゃっていたと記憶しています。そういったことも踏まえて、今年はここまでいかがでしょうか。
「うーん去年はね、1か月のキャンプをなるべく怪我のない状態で、というところに意識が行き過ぎちゃっていたんですよね。だからフィジカル的にも去年のメニューを見たら、これだけしか走ってなかったんだとか、大事にしすぎちゃってたんですよ。それで今年は、最初から飛ばすよと言って、飛ばしてます(笑)。それに今年は、コミュニケーションツールを向上させるようなカードゲームをミーティングの一環として取り入れてみようかと準備しているところです。それから、今年はキャプテンを決めたんですよ。これまでは、みんなが当事者意識を持つべきだということが大前提でキャプテンを決めていなかったんですけど、それは理想論であってなかなか難しいんだろうなということを、去年のシーズン途中に考えたんですよね。選手会とキャプテンが現場でチームの中心になってやっていくというように、今年は少し変えていかなくちゃいけないかなと思ったんで。」
Q.なるほど。いま監督にお話を伺う前に、選手の皆さん6人にインタビューさせていただいているんですけど、山口和樹選手がキャプテンに任命されたというお話をしていらっしゃいました。キャプテンと副キャプテンの指名の経緯といったようなことを伺ってもよろしいですか。
「コーチたちに投票してもらったんです。僕も同じように1票を持って、書き出していったら、僕は全く考えてもいなかった名前も挙がったりして。僕には見えてない部分を見ているスタッフがいたわけですよね。ああ、みんなから聞くってこういうことだよなと思いました。そういうことも含めて、年齢的なことや影響力、どの子を見てもあんまりグイグイいくタイプの子たちではないので、まあ(廣末)リクがそういう意味ではいちばん自己主張を明確にできる子だと思うんですけど、暴走しがちになってもいけないし、ポジションも後ろなんで、というところで、年齢バランスも含めてキャプテン1人、副キャプテン3人を指名しました。その中で(山口)カズキがいちばん、人間的にもバランスが取れていて、去年から主力で使ってますし、実力もありますし、去年の事情も分かっているというところが指名の経緯ですね。副キャプテンの3人については、稲葉(楽)は、僕は全く考えてなかったんですがマネージャーたちからものすごく評価が高くて。そうなんだ、と。若手からは誰か一人入れようと思ってたんで、じゃあ若手代表がガクでいいんじゃないかって。松本(拓海)は、外から来て経験値も高いし、人としてもものすごいバランスの取れた子なのでね。廣末(陸)も、そういう意味ではある程度まとめる側に入らないと、外でガヤガヤ言っててもうるさいだけだから(笑)、まとめる側に入れといた方がいいんじゃないかなというところで指名しました。」
Q.なるほどわかりました。今日は午前中に練習を見学させていただいて、練習前に監督も、早めにいろいろと落とし込んでいるというお話をされてましたが、確かに見ていてかなりきっちり仕上げにかかっているという印象を受けました。
「まだまだ3週目に入ったところですけど、去年のシーズンが終わってから、Wordで作った案内を2回ぐらい、マネージャーに渡して選手たちに送ってもらったんですよ。これぐらいでキャンプに入るから、これぐらいのトレーニングはしておいてねっていう案内文という名目の警告文を送ってるんです。体脂肪もこれぐらいで、って言って。でもやっぱりちょっと甘く入ってきてる子は怪我で結構抜けてます。やっぱり最初にこれでついてこられないようだと1年苦しいよ、というような内容を書いて2回送っているので、今年は最初の要求から高めですね。去年、キャンプを大事にやりすぎると、ベテラン勢が思ったより途中で身体が動かなくなってくるなというのも改めて感じたので。キャンプである程度やらなくちゃいけないところまではできているので、ここまでは順調だと思います。」
Q.ちょうど昨日ですね、全試合日程が発表されて、開幕戦はミネベアミツミ、そのあとはもう、青森の宿命で最初の5試合はアウェイが続きます。開幕戦に向けてと、アウェイ5連戦をまずどう乗り切るかがリーグ序盤の鍵になるかと思いますが。
「ミネベアもね、絶対的なエースが抜けて、非常に苦しい台所事情の中、このキャンプシーズンにこれでもかっていうぐらい、Jリーグのチームとの練習試合をサンドバッグのようにやってるんですよね。彼らは毎年毎年、沖縄とミネベアはそれがもうルーティンじゃないですか。ここで明らかに打たれ強くなるんですよ。だから多少の相手でも、Jのあのクラブより全然強くはないよね、みたいな戦い方をしてくるので、そこがちょっと気になっています。2節目の高知戦も、去年は天皇杯で躍進したということがものすごくチームとしては自信になっているようなんですよね。3戦目は新宿戦、今年から北嶋秀朗が監督になって、なんていうのかな、去年は一昨年に比べれば躍動感のあるサッカーになってたと思います。これは北嶋がそういうことを好きでやっていると思うし、選手たちのモチベーション、会社全体のモチベーションがそのままピッチに出てるなという感じはしますよね。そのあと浦安に行って沖縄に行って、とにかくこの5試合をしっかりと戦いたいと思います。今年は雪があまり残っていないようで、キャンプの後、青森に帰ってすぐ練習できそうなのでね、そこは良かったなと思っています。」
Q.あと問題として残っているのは、集客のところですよね。現場としては、集客に対して直接なにか働きかけられるとすれば、成績を出していくのがいちばんということになるかとは思いますが、今年も選手がPR活動をするという予定はいろいろありますか。
「うん、今年は今までのビラ配りだけではなくて、もうちょっと集客に関してもアグレッシブに関わって、選手たちの方から知名度を上げていかないとという話はしています。コツコツとした営業活動など、我々にできることはやりましょうとね。積極的に取り組んでいきたいなと思っています。」
Q.最後に、監督はこれで3年目、1年目と2年目を踏まえて、今年はどんなサッカーを目指していこうと考えていらっしゃるのか、改めてお聞かせください。
「何度も何度も申し上げることになると思いますけど、アグレッシブにということだと思います。僕は守備的にと言ったことは一度もないですし、守備に関しては、できるだけ高い位置で取りに行きたいし、ラインも高い設定をしたいし、奪ったボールをそのままゴールにつなげられるような、積極的なサッカーをしたいというようにずっと言ってきています。ただ、特に僕の中で何かが変わるわけではないんですが、やっぱりリーグ最少失点数だったのに順位は5位だったということは、得点が足りないということだと思うので、そこの部分に関しては、自分の中でもかなりいろいろと工夫しながらやっているつもりですし、そういう意味では村上(和弘コーチ)が非常にいろんな引き出しを持っているので。もちろん去年は加藤(望)コーチ、一昨年は竹中(穣)コーチからね、いろんなことを助けてもらってますけど、今年は今年でまたいろんなエッセンスをチームに注入しながらね、得点力はどうしても上げなくちゃいけないかなというようには思っています。」
Q.わかりました。では今年の11月には青森のファンサポーターの皆さんと昇格を喜び合いたいですね。
「そうですね、最終節の大分は、その日のうちに青森まで帰れないので(笑)、その前のホーム最終戦で決めたいですね。がんばります。」
2024年2月10日収録/聞き手:石川美紀子
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