NVC x IFS x人智学@北海道いずみの学校で「魂の内面に闘いの舞台を築く」2daysワークショップに挑んだ想いと顛末の記録🙏
はじめに
2024年7月19日-20日2daysに渡って、北海道にあるシュタイナー教育を実践している「いずみの学校」に呼ばれて、NVC(非暴力コミュニケーション) x IFS(内的家族システム) x人智学(ルドルフ・シュタイナーのアントロポゾフィ)「魂の内面に闘いの舞台を築く」ワークショップを開催しました。
私にとってある意味マイルストーンになるワークショップだったので、その根底(魂底?)にあった意図と背景を書き留めておきたいと思います。教師と保護者が一緒になって学ぶコミュニティが既にあったこともこの場が実現した要因として、とても大きいです。改めて、呼んでくれたくにちゃん(佐藤邦宏先生)に感謝です🙏
※ くにちゃんのFacebookでの投稿は、こちら✨
さて、「魂の内面に闘いの舞台を築く」というタイトルは、実はシュタイナーが100年前、第1次世界大戦の終わりに分かち合った以下の見解から来ています❣️
シュタイナーは、地球の歳差運動の周期2160年毎に文化期を捉える歴史観で、西暦1413年に始まった「現代」を含む文化期を「後アトランティス第5文化期」とし「意識魂の時代」と理解します。ものすごく単純にざっくり言うと、人は、この2160年周期に男性としてと女性としての2回輪廻転生し「文化期」を体験するのです。セルフジャーニーを理解する一つの法則性であり、「文化期」を通して、私たちは全く異なる質の「新しい」世界を体験するのだと言えます。
つまり、この文化期に生を受けるセルフジャーニーの体験は「意識魂の時代」の体験の特徴を帯びると言えるということです。
「後アトランティス第3文化期:エジプト・カルデア文化期」(B.C.2800年頃~B.C.747)では「感覚魂の時代」を体験し、「後アトランティス第4文化期:ギリシャ・ラテン文化期」(B.C.747年~A.C.1413)では、「悟性魂(心情魂)の時代」を体験して、現代に至って、こうして私は文章を書きそれをあなたが読む「今」まさに「意識魂の時代」を通過中なのです。
ここに私は、人間の魂の内容に生き生きと鼓舞されていた時代から、「意識魂の時代」に至って「人間の魂の内面における舞台」を意識できるようになったことの意味・意義を共有したいと思うのです。
そして、NVC(非暴力コミュニケーション)やIFS(内的家族システム)といったモダリティ(心理手法)が「意識魂の時代」が約1/3程過ぎたタイミングで登場した事実の意味・意義を捉えたいと思うのです。
実はこの構想は、今年の3/30〜シュタイナーの命日に、「東京で、日本のアントロポゾフィ(人智学)協会が、分断の時代を乗り越えて普遍的な協会となる集いがあるということで、日帰りで参加することにし※」た際に、新幹線の中で、まさに上記の『アントロポゾフィー協会の進化について』by パウル・マッカイ(入間カイ訳)該当部分を読んでいた時に着想し、総会中に私は協会員が「人間の魂の内面における舞台」を互いに目撃し合う「合宿」ができたらどんなに素敵だろうと発言した際には、IFSコンステレーションのカタチに至るインスピレーションとして既に浮かんでいたのです。
ですから今回、北海道の「いずみの学校」で、このカタチを実際に具体的な感覚界で共有できるものとして表現できたことは、私にとってとても大切なタイミングと機会であると共に、どこかしら霊界と共同作業をしているようなそんな出来事でもあったのです🙏
※ 参考までに、私のその日のFacebookの投稿はこちら✨
1日目夜〜NVCイントロ〜
1日目は、いずみの学校の夏休み前最後の授業の日。私も午前中は12年生の社会の授業と11年生の美術の授業に参加させてもらい、午後は全校で大掃除の時間でした。それらを終えた後、夕方5時から保護者の方や先生が25名近く集まってくれて、「NVCイントロ」の2時間をオイリュトミー教室を借りて行いました。
写真のようにゴザを真ん中に敷き、そこにNVCのニーズカードを2セットとIFSのインナーパーツカードを円状に並べて準備し、このゴザの周りに参加者の方には座ってもらいました。このゴザが2日目にテーマに通じる意味を持つのですが、その時は私も知りませんでした。ニーズカードが2セットあるのは後半の「ハートフルダイアローグ」で10人を越える聴き手にニーズを選んでもらう為です。
流れとしては、まず冒頭で「はじめに」で引用した『アントロポゾフィー協会の進化について』by パウル・マッカイさんを読み「魂の内面に闘いの舞台を築く」というテーマの拠り所を述べた後、席に着いた時に選んでもらっていたニーズカードを集めて「ニーズサークル」をくにちゃんに手伝ってもらい黒板に描きました。私の「NVCイントロ」はこの「ニーズサークル」からフィーリング(感情+身体感覚)と方法・手段(ストラテジー)の関係について一緒に吟味していくことが多いです。
このやり方によると興味深い事実が幾つか全体で確かめることができるからです。その一つは、特定のニーズからそれが満たされた時/満たされない時のフィーリング(感情+身体感覚)を想像することは容易なのに、フィーリング(感情+身体感覚)からその背後にあるニーズを推測することは難しいという事実です。ここに実は、NVCで言われる「共感」が、頭ではなくシュタイナーも述べていた「ハート器官」に拠るものであることが示唆されていると思うのです。
ニーズと感情を人智学的に捉える試み
ちょうど隣の「高校教職員室」に、プラトンとアリストテレスの絵が飾られていたのを借りてきて、ニーズと感情について人智学の文脈において、おそらく他ではあまり触れない側面をお話ししました。
ニーズと方法・手段(ストラテジー)を識別するのに、ギリシャの哲学者プラトンの英語の頭文字PLATOを使うやり方があります。それぞれPerson(人)、Location(場所)、Action(行為)、Time(時間)、そしてObject(物)を意味します。もしこのどれかに結びついているとしたら、それはニーズではなく方法・手段(ストラテジー)として識別するのです。
そうです… まさにNVCで言うところの「ニーズ」は、感覚界に紐付いているのではなく、プラトンの「イデア」を指し示しており、つまり人はニーズにつながることにより、理念界に触れるのです。
そう捉えるなら、シュタイナーが「感情の本質は意志の本質から理解できる」として、次のように述べていることがNVCの実践を通じて具体的に腑に落ちるでしょう。
つまり、人が理念界にあるニーズを感覚界において具体的なカタチを与えて現実化しようとする意志において、「感情は遂行されない意志」であり、「意志が現実化せずに心に留まっているもの」として感情を経験しているということなのです。
シュタイナーは、思考・感情・意志という3つの要素を一緒に話しますが、次の図もNVCの実践から具体的に見えて来ることが幾つかあります✨
例えば(このことはワークショップでは話しませんでしたが)、思考と感情が混ざる下の部分は、NVCの観察と解釈を識別することや、解釈による感情を理解する新たな基盤となるでしょう。
通常の意識において、思考(認識)が目覚めていて、感情が夢見ていて、意志が眠っているとシュタイナーが述べていることも、そう言われば確かにそうだと思えるのではないでしょうか?
理念界に在るものを感覚界において具体的なカタチを与えようとする意志は「眠っていて」、言わば無意識に働き、だからこそニーズを意識化することが難しいのです。
私にとって、フィーリング(感情+身体感覚)からその背後にあるニーズを推測するのが「ハート器官」の働きであることが体験的に明確になっており、言わば「眠れる意志」を「ハート器官」によって意識化することがNVCの共感だと、人智学の智慧を基盤に新たに「共感」を定義できると思うのです。
※ シュタイナーの文献や図式で、共感と反感という対になる用語として「共感」と訳されているのは、英語で言うSympathy(ドイツ語のSympathie)で、NVCの共感のEmpathyではないことに注意してください🙏
最後に、この理解を分かち合うことから二人組で「ハートフルダイアローグ」をしました。最近気になることについて、5分ずつ話し手は「ハートから話し」聞き手は黙って「ハートから聴く」ことを練習し、終わりに聴こえて来たニーズカードを選んで話し手に差し出すのです。
人智学という共通の文脈があるからこそ、「頭」ではなく「ハート」を使って聴くというガイドがすんなりと受け入れられたことがわかりました。
2日目午前〜内なる闘いの舞台でワークする〜
2日目の朝早く起きると、このシュタイナーの文章を思い出して、旅先に持ってこなかったので、本を探してもらいました。IFS(内的家族システム)の導入に、どうしても傷ついた聖杯城の王アンフォルタスと意識魂を象徴するパルツィヴァルが出会う物語との関連を共有したかったのです。
インナーパーツカードを使って
2日目午前のチェックインは、ニーズカードを1セットにしてパーツカードを2層に並べた中央のサークルから、今の自分の中にいる「分身※」を表すパーツカードを選んでもらいました✨
※ 「分身」という表現をここでは使ったのは、人智学者ベルナード・リーヴァフッドさんの『境域に立つ』(丹羽敏雄訳@涼風書林)という著書に「人間の「分身」について」という章から来ています。境域に立つ「現代人」の自己認識が、IFSやその他のパーツワークが現れてきた背景にあると理解するからです。そしてこの背景は、傷ついた聖杯城の王アンフォルタスと意識魂を象徴するパルツィヴァルが出会う物語が示そうとしていることに通じるでしょう。詳しくは、また別のnoteでまとめたいテーマです🙏
Inner Active Partsカード(通称パーツカード)というのは、IFS(内的家族システム)による副人格としてのパーツ(言わば自分の分身)を外在化するためのツールです✨
http://www.inneractivecards.com/home.html
スライドを使った30分のIFSのレクチャーの後、4人組になってもらうそれぞれパーツカードを1セット分(72枚)並べてもらい、20分かけてカードを見ながら次の問いを探求し話し合ってもらいました✨
自分の内側にどんな自分を見ますか?感じますか?どんなパーツがいるでしょうか?
自分の外側にどんな人を見ますか?感じますか?どんな印象を受け取りますか?
(時間があれば)それぞれのイメージに、どんな感情があり、どんなニーズがあるかをハートで感じしてみてください✨
通常は、インナーパーツカードは、内側にある自分のパーツにアクセスするのを助けるためのツールです。しかし、私は外側に見ている「他者」からどんな印象を受け取っているかを理解することにも同様にインナーパーツカードが使えると思ったのです❣️
この意図の背後には、『教育の基礎としての一般人間学』にある次のような図式があります。私はこの図式を、ここ数ヶ月興味深く眺めていました。
なぜなら、シュタイナーはこの図式と共に、とても衝撃的でかつ興味深いことを述べているからです。まず左の部分ですが、私たちが何かを認識する際に持つ「表象」について、「表象とは誕生前の営みの像(霊学的認識)」だと言うんです。
そして、右の「意志」の部分について、「意志とは死後に芽生える萌芽」だと言うんです。そして2つの縦線で区切られている、「今世」が反感・共感の働きと共に「感情」を真ん中に存在している…
さて、小グループでの探求はとても盛り上がっていました。多くの気づきや発見があったようで、全体で感想をシェアする中、例えば、くにちゃんはとても興味深い現象をシェアしてくれました。
内側に「林檎をぶつけられる男の子」(左)のパーツがいて、その子から見ると外側の「他者」に「怒る人」(右)が見えると言うのです。
ミニ・コンステレーション(人間彫刻)
この現象を実際に、2日目午前の残りの20分くらいの時間に、「人間彫刻」と呼ばれるIFSコンステレーションのミニ版でワークしました。このワークは、私がオーストラリアで対面でのIFS公式トレーニングに参加した時、IFSセラピストの在り方を練習する方法として学んだものです✨
ゴザを敷いた場所を「舞台」に、当事者であるシーカー(探求者)の「魂の内面の闘い」を外在化していきます。まず「相手」を参加者の中から選んて「代理人」として「舞台」を挟んで対極に座ってもらい、次にシーカーのパーツの一人一人の「代理人」を参加者から選んで「舞台」の中に呼び入れていきます。そのパーツがどんなことを言っていて、どんな姿勢で、どんな動きをしているか、シーカーの内側を確認しながら「魂の内面の闘い」の「舞台」を構築していくのです。
具体的に何が起こったかは守秘義務を大切にしたいので抽象的になりますが、特定の出来事や関係性に関わるパーツが「舞台」に登場し終わると、シーカーは「魂の内面の闘い」が実際にそのようであるかを確認します。同時に、周りで見ている他の参加者はコミュニティのメンバーとして、シーカーの「魂の内面の闘い」を一緒に目撃するのです。
「I see you(私はあなたを見守っています)」と最後に「舞台」を囲む参加者が全員で言葉にする時、「魂の内面の闘い」を共に目撃するコミュニティーが、そこに在りました❣️
2日目午後〜他者と共に世界を創る〜
三千年紀初頭つまり西暦2000年のはじめに起こる「他者」との遭遇✨
パーツチェックイン
NVC曼荼羅(自己共感)
2日目の午後は、意識魂の働きにも通じる、今自分に何が起こっているかに気づき順番に言葉にするペア練習「パーツ・チェックイン」から始め、昨日からのおさらいも兼ねてパーツ意識を持ちつつ自分の感情からニーズにつながる「NVC曼荼羅(NVC x IFS 自己共感)」の練習をし、その後で上に引用した「天使は私たちのアストラル体で何をするのでしょうか」のシュタイナーの言葉を読み、そこから「他者と出会う」ガイド付き瞑想を歩きながらそこにあるメッセージを咀嚼しました…
共感サークル→つながったニーズからリクエストする
歩いて辿り着いた小グループでの「共感サークル」。今度は同じ話を他者に聴いてもらう体験を、感情カードやニーズカード(「共感トランプ」としてここから購入可能です✨)を使ってするのですが、話を聴く方にとっては「ハートフルダイアローグ」と同様「ハート器官」で聴く練習ですが、一歩進めて相手の感情やニーズを気づく度にカードで差し出しながら聴くのです✨
人の話を聴く時、瞬間瞬間新たに立ち現れて来る「他者」に寄り添い続けながらハートで聴くことができるでしょうか?
こうして、意識魂とハート器官の働きとして自分で、あるいは他者の力を借りて「眠れる意志」につながり、ニーズとして意識化できたなら、次にそのイデア・理念界に通じるニーズを物質・感覚界で現実化することができます。それがNVCの4つのステップOFNR(観察のO、フィーリングのF、ニーズのN、リクエストのR)の最後来る具体的な方法・手段を提案する「リクエスト(お願い)」なのです🙏
一人一人につながったニーズを味わってもらい、リクエストを創造的に考えてもらいました。私の場合、魂の内面の闘いの舞台をコミュニティで共有する理念が生き生きと湧き上がっていました。なので、「また来年もここに来る」が私の私へのリクエストだと言ったのです❣️
2日目夕方〜IFSコンステレーション〜
実際に誰かの魂の内面の闘いのワークをコミュニティで共有する🙏
そして、最後に追加の時間として、残ってくれた希望者10名と共に「IFSコンステレーション」の場を持ちました。こちらも守秘義務を大切にしたいので、具体的な内容は書きませんが、約1時間、一人の当事者=シーカー=探求者の「魂の内面の闘い」を2倍になったゴザの「舞台」に外在化してワークして行ったのです。一つ一つのパーツを誰かに「代理」してもらって外在化することで「ブレンド解除」することができます。それはまるで、意識魂が段々と研ぎ澄まされて霊我の目覚めを促すかのようです。IFSでは「セルフ」と呼びます。セルフがパーツとブレンド(混在)している状態からブレンドを解除することでよりセルフが研ぎ澄まされて来るのです。
ブレンド解除すれば、セルフはパーツと共感的な対話が可能になります。そして、パーツの力動(感覚魂や悟性・心情魂の内容によるドラマ)ではなく、セルフが主導となるのです。
この日のコンステレーションは、まさに受容と対話の後にセルフ主導でパーツと共に生きる在り方が自然と現れたました✨ 感想にもあったように、そこに在った真のパワーと温かい質感をその場にいた全員が共有したと思います🙏
終わりに
コンステレーションのファシリテーターは、そのコンステレーションからハート器官を使ってその場にある真実の言葉(Truth Statement)を聴こうとします。それが真実だと最終的に決めるのは、ワークする探求者(シーカー)のハートと身体がしっくり来るかですが、場にいる他の人にもその真実感覚は共有できるもののようです。真実の言葉は、言わば場に「響く」のです✨
午前のミニ・コンステレーションと夕方のコンステレーション両方の最後に、
シーカー「私はあなたと同じ人間です。」
相手「私もあなたと同じ人間です。」
という真実の言葉が私の中に浮かんで来ました✨
この言葉をシーカーと「相手」に最後に順に言ってもらい、コンステレーションを終えました🙏
最後に、『自由の哲学』の第1章にあるシュタイナーの言葉を、最後に引用することからこの論稿も閉じたいと思います。「表象」を越えた「他者とは誰か?」という問いかけと共に、先程の「表象と萌芽」の図式も改めて眺めて見ると、今世この感覚界において私に何ができるのか?が見えてくるインスピレーションを得るからです。
ここで言う表象形成は、『自由の哲学』がその後論じるように、リアリティそのものに即したものであり、ポジティブな表象を人工的に持つ「幻想」とは本質的に異なるはずです。
「内なる闘いの舞台」を意識化しワークすることで、成熟した意識魂から霊我が目覚めるスペースから既存の「表象」の「奥行き」に「他者」と出会うことを意志する時、「他者」が霊的な側からやって来る本当の姿として受け取ることができるのではないでしょうか?
そして、その具体的な愛に至ろうとする行為は死を超えて、シュタイナーがクリスマス会議以後のカルマ論の連続講義の中で伝えようとしていた「カルマ共同体」の理念へとも通じる予感を感じているのです✨
試論ですが、そのための非常に具体的な実践として、マーシャル・ローゼンバーグ博士によるNVC(非暴力コミュニケーション)とリチャード・シュワルツ博士による IFS (内的家族システム)を掛け合わせたアプローチ(奇しくも創始者は二人とも「普遍性」を大切にするユダヤ人です✨)を、大天使ミカエルの霊脈を感じつつ、いずみの学園で実際に行ったワークショップの流れを追って紹介させていただきました。予定より長文になってしまいましたが、ご精読ありがとうございました🙏
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