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「非存在欲求」箕田(箕田海道)─存在と非存在の狭間

まえがき箕田海道(箕田海道という名前自体が作家性を端的に表しており、実に面白いと思うのだ)とは、私が最初期から作品を追いかけ続けている同人作家であり、また商業作家である。数年間に渡る精力的な同人活動、さらに初の商業作品である「病月」(もちオーレとの共著)を経て、「北の女に試されたい」を連載開始。現在は、「北の女に試されたい-2nd trip-」と題して、一区切りついたのちの作品世界を不定期で連載している。 そのほか、「♀♀本」、♀♀本をさらにブラッシュアップした内容となって

    • 宇多田ヒカルの魅力─楽曲から読み取るノンバイナリズム

      (私の所有しているOne Last Kiss限定盤) はじめに 6月下旬、庵野秀明を招き、宇多田ヒカルが自身のインスタグラムアカウントで放送したライブ配信が話題を呼んだ。その話題、と言えるような内容はいくつもあったが、最も注目を集めたのは、宇多田ヒカルのカミングアウトであると言えるかもしれない。 「ヒカルパイセンに聞け!」と題されたこのライブ配信は、私自身を含めた宇多田ヒカルファンにとってはお馴染みの配信だ。その時々で、様々な国、性別、年齢のファンたちから日本語や英

      • 「付き合ってあげてもいいかな」とセックスへの問い

        まえがきマンガワンで連載中の「付き合ってあげてもいいかな」は、主に大学生の登場人物たちの恋愛関係を主軸とした、恋愛漫画である。 既刊6巻、扱うテーマも描かれる登場人物たちも、何の変哲もないこの作品は、多くの熱烈なファンを抱えている。かくいう私も、コミティア時代からその名が轟いていることも知っていた。にもかかわらず昨年になってようやく読み始めた訳だが、人生でも5本の指に入る作品と感じている。 さきほど、「なんの変哲もない」と書いた。そもそも恋愛というものも、古今東西どの時代

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