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なぜ今、世代を越えて交流・協働・共創することが大切なのか?(最終回)

(その3)の最後に、ユース世代の悩みを書きましたが、それよりも大きな課題は、シニア世代の悩みです。

シニア世代の悩み

GNRの活動を通じ、60歳の誕生日を経て定年退職という節目を迎えた方とお話をする機会を多くいただきました。多くの方は、1年更新の再雇用契約(一般的に業務上の責任が軽減される代わりに、給与が5割減などになる)を結び、数年更新されるようです。しかしながら、最長65歳まで、5回更新する人は案外少ないようです。
その理由は、「今までとほぼ同じフルタイムで業務をこなすのに、その労務対価は半分になる。お金が全てではないが、企業や部署に必要とされている感覚がつかめない・・・」というものです。

会社を辞めて、平日朝から家に居てTVを見ながらゴロゴロしていると、定年前は、ほど良い距離感だった奥さんとの関係がギクシャクする(平日にお昼ご飯作るのは嫌!)ので、とりあえず家からは出たい。
そうは言っても、40年間、会社人生だった身にとって、自宅の周りにコミュニティはなく、スポーツクラブやゴルフにもそれなりのお金がかかる・・・
この資料には正直驚きました。
出典はこちら

201912_Vintage事業プレゼン1

最初は冗談かなと思っていましたが、今まで「仕事」時間だった黄色の時間は、ほとんどがブルーの「TV等」や「休養等」に!
これでは、リアルに「終わった人」になる感じです。しかも、まだ60代ですよ。江戸時代なら、40代とか50代ですよ!(例えが良く分かりませんが笑)。
私のイケてるシニアの理想図は、「終わった人」の舘ひろしではなく、「マイ・インターン」のロバート・デ・ニーロです!
それとTEDで見つけたChip Conleyさんも、すばらしいマインドで、異世代間コネクトのロールモデルだと思います(ぜひご視聴ください)!

人生100年なら、50代は後半戦に入ったばかりで、
人生を締めくくる時に「いい試合だったなぁ・・・」といえるのは、まさに後半戦の過ごし方やご活躍ではないでしょうか。

定年退職を迎えたシニアの皆さんに、実際の想いを伺うと、、、

「仕事も、子育て(給料を家に入れる)も、それなりにがんばってきた。それでも、社会に対して、次世代に対して、まだやり残したことがある。お金が欲しいというよりは、世の中に自分の存在が少しでも必要とされている手応えが欲しい。」

という感じです。いわゆる承認欲求ですね。そこで、

「では、下の世代と積極的につながり、ハンズオンしながら、現場でもう一度汗をかいてみませんか? ユースの方々は徒手空拳でも、日々戦っているのですから、シニアのみなさんのお力添えが必要です!」

とお誘いするのですが、残念ながら「自分に何ができるか分からない、自信がない」という答えも多いです。
会社の中での役職や肩書きが外れた自分に、何が残っているか分からないという不安です。

これはもっともな不安だと思います。
たとえるなら、今まで数十年間、他流試合をしてこなかった人が、ピークが過ぎた頃に、他の道場に稽古にいくようなものでしょうから。

それでも、私はこう言いたいです。

少なくとも真面目に数十年、様々な業務に取り組んできたのであれば、一つでも二つでも、下の世代に伝えられる経験やスキルがあるはずです!
その棚卸しを、ぜひ一緒にしましょう!

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ほとんどの方が、ご自身の知見を過小評価していると思います。
日本人の謙虚さは美徳ですが、ここは自信を持って欲しいです。
自分をさらけ出すことで、下の世代から逆に受け取れるモノも多いはずです!

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「異世代間のつながり」がもたらす社会的価値!

話は戻りますが、「シニアとユースがつながり、ハンズオンして課題解決することは、何となく良いことだと思うけど・・・、それで日本社会がどう変わるの?」という疑問もあると思います。

ここからは、GNRの仮説なので、果たしてこれが正解かは分かりませんが、皆さんに考えていただく一石になればと思います。

大きな流れとして、日本は少子高齢化・人口減少という避けようのない大きな課題を背負っています。この課題に私たちはいささか慣れてしまっていますが、Factで見れば、ものすごい危機です(その1参照)。

このように、今から40年後(ちょうどユース世代が60代になる頃)の2060年に至る過程で、これからも順調に人口増大が続くアメリカや、高齢化が進むとはいえども人口は増加傾向のヨーロッパに対して、少子超高齢化により、総人口が1/3程度も減少する日本は危機的状況といっても過言ではありません。

現在は、世界第3位のGDPを維持する日本ですが、結局GDPの大きさは人口数に依存するところもあります。マクロ経済で見ると、人口数は国力のベースとなる武器であり、正義です。
しかし、今後30~40年において、日本では、生産人口が3000万人近く(今のイギリスの総人口!)減少します。また、100人いるとそのうちの40人は60歳以上!という世代バランスになることを覚悟しておかないといけません(人口動態の推測はかなり精度の高い予測です)。

では、今後人口がかなりのペースで減少し超高齢化が進む日本は、どこを目指すべきなのでしょうか?
私たちの子どもや孫の世代が、今まで同様豊かな日本で暮らせるように、どのような道筋を残してあげられるのでしょうか?

これはかなり難しい課題ですが、現時点での私の考えは以下です。

社会的価値を産み出す「生産人口」の年齢を引き上げたうえで、一人当たりの生産性を向上させること

「生産人口」の年齢を引き上げるとは、
これまでは現役を引退し、年金をもらっていた世代の一部が、まだまだ価値貢献して、健全に稼ぐ世代になることです(健全に稼いでいると、心身も健康で、国家財政における医療費負担も下がることでしょう)。

自分のキャリアを丁寧に棚卸しして、それなりの準備をすれば、フルタイムとは言わずとも、70代までは健全に稼ぐことができると思います。
もちろん、60歳になった途端にその気になっても、マインドや機会、人脈がついてこない可能性も高いので、人生後半戦になった50歳、できれば、40代からその準備をしておくことが大切だと思います。

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もう一つのファクターである「一人当たりの生産性を向上させること」は、知識や経験をそのまま寝かせるのではなく、常に新しい刺激と好奇心でアップデートしていくことです。

たとえ、プログラミングを学んでアプリを開発することができなくても、どんなアプリがあれば、シニアの課題が解決できるかというアイディアは出せるはずです。どんどん世代を越えて、ユースの中で流行っているアプリを積極的に教えてもらってもいいと思います。
そのうち、ユースのエンジニアとベンチャー企業を興せるかもしれません。

異なる価値観・知見・スキル・人脈の多世代がつながることで、何らかの化学反応と刺激が起こるはずです。

シニアにとって、特に有利なのは、20代の自分や、40代のあの頃など、誰しも必ず通ってきた道なので、一瞬でプレイバックできることです!

その気にさえなれば、あの時の自分の情熱を取り戻しやすいことです!!
何歳だって、はじめるのに遅いということはありません。

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異世代間交流・協働・共創には、そんな無限大の可能性があると信じています。

長々と4回にわたり書きましたが、最後までお読みいただき、誠に、誠にありがとうございました~!

共感いただけた方は、ぜひこちらからご連絡いただき、私たちの仲間になってください!!


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