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いずれ来る破綻の日まで

今日はケースワーカーさんが家を訪問する日であった。
まずは髪を切ったことに大いに驚かれ、体調やら生活やら通院やらについてひとしきり聞かれて訪問は終わった。
なんというか、悪いことは何もしていない(はず)なのに、やはり自分を監督する人物の訪れというのは緊張するものである。ひとまず今日のところは特に緊急性のあるような連絡もなく、穏やかな世間話といった調子で終わったが、チャイムが鳴らされた直後辺りはやはり心臓の跳ねるような心地がした。まぁこれは私がこれまで積んできた業によって着信やらバイブやらを過剰に恐れるようになったのの延長のようなものだろう。

先月連絡が来ていた特別臨時給付金とやらも無事振り込まれたとの連絡が来て、もうしばらくは安泰に暮らせそうだと人心地ついたところだ。
とりあえず大部分を消費者金融での借金の返済に充てるとして、残りは生活費、といった感じだろうか。今月の頭にもやはり少し調子に乗ってお金を使いすぎたので、ここで給付金がこないとなれば中々のピンチになっているところだった(給付金前提で消費していたとも言う)。
三月はやや余裕をもって暮らすことが出来そうである。

ただ、これは毎月というか毎日のように思っていることではあるが、この暮らしがいつまで続くのかは全然分からない。
私は自分の外面をしっかりとした真人間に見せかけることに長けているが、中身はぐずぐずの社会不適合者であり、社会に復帰できるかもしれないという希望も、社会に復帰して世のため人のために働きたいという欲求も全くない。自分の立場に対して落ち目を感じることも稀だし、ずっとこの生活が続けばいいのにと思っている。

今日の訪問で、ケースワーカーさんは就労支援などについても言及していた。段々社会人と同じ時間に寝て起きたりするところ辺りから始めたり、私がどういう人間でどういう人となりをしているのかを事前に企業側に伝えたうえでの面接をセッティングしてくれたりなど、多彩で手厚い支援が用意されているらしい。
こういう話を聞くと、「ひょっとして自分は急かされているのではないか」だとか「私はもう社会に復帰するに値する程度の真人間に見えてしまっているのではないか」だとか気を揉むことになる。いつ「じゃあちょっと社会復帰のための努力を始めてみましょうか」とか言われてもおかしくないのだ。
心の準備は全然できていない。体の準備はもっと出来ていない。そうした話を持ってこられるとしたら、私が生活保護に入ってから一年になる今年の六月あたりだろうかと考えているが、六月までにそういった準備が整う気は全くしない。もう私は壊れているのだ。社会的な生活を営むには破綻している部分が多すぎる。

こういう「社会復帰できる気がしない」というのはふとした瞬間に頭に浮かぶ悩みであり、実際メンタルクリニックの先生にもそういったことを相談している。
「このまま薬を飲み続けて精神が安定したとして、それで私が社会復帰できるようになるとは到底思えない」と。
メンタルの先生は、私の体調について市役所と相談する立場にある。先日の通院の時、私の勘違いでなければ、先生は「そういうふうに市役所に相談することもできますよ」と言っていたような気がする。そういうふうにというのがどういうふうなものなのか具体的には分からないが、私の相談内容を聞いてからの回答である以上、社会復帰への猶予をより長くとることができるように取り計らうことができる、と言っているように聞こえる。
そうできるのなら是非ともそうしてほしいところである。しかし、その相談にどれくらいの効果があるのか推し量ることは私にはできない。

この話題について書いているとどうしても悲観的というか憂鬱な気分になってくる。
自分が働くことができないという主張をするためには、自分を貶めるという方法しか私には思いつかない。私はどうしようもない社会不適合者だ。ストレスに極めて弱く、堪え性がなく、自他の言動について曲解をすすめるあまりに他の作業に集中できない。責任感は皆無で衝動的に逃避行動をとったりもする。
もはや自分を貶めることについて何か感慨を抱くような境地ではない……と言いたいところだが、それも見栄を張っているだけで、恐らくはそうした言葉を書き連ねるたびに私は自分の心を傷つけているに違いない。いくら悟ったふうに振舞ったってそうした必然からは逃れられない。

この辺にしておこう。余計なストレスを抱えるだけだ。
ただ、私はどうしても社会復帰した自分を想像できないし、積極的に社会復帰したいとも思わない。
この問題が破綻する日は必ずやってくる。だが少なくとも今日明日ではないし、今月も恐らく大丈夫だろう。
ならば眠ることができる。致命的な破綻を目の前にして解決方法を探らずにただ寝て過ごす。そういうのは得意分野だ。

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