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脂は大事と存じます

ここ数日悩まされていた深刻な倦怠感を引きずって、食料品の買い出しに行ってきた。
結果論ではあるが、もう少し早く出かけるべきだったと思っている。出かける直前になって物凄い飢えを感じたし、自転車を漕ぐ体もくたくたで覚束なかった。こんな状態になるまで放っておくのは危険である。

こういう時は買い物に必要な判断力も低下して、普段なら買わないようなものまで買ったり、逆に買うべきだったものを忘れてしまったりするが、飢えて必死になっていたのか、目下必要なものは一通り買い揃え、数日間体を休めることができるくらいの蓄えができた。ひとまずは病院に行けるくらいになるまで体力を回復するのが肝要だ。普段から何もしていないので回復と言っても特に変わったことをするわけではないが、まぁ大事なのは気の持ちようである。

気分が低迷しているときに必要なものは、何はなくとも脂、脂肪である。
食に対して積極性を欠いているのは大昔から変わらないが、幸いなことに食そのものに拒絶感を感じたり味覚や嗜好を失うような症状にまでは至っていないので、自分の機嫌を取るときは大抵おいしいものを食べることにしている。そして、某有名なキャッチコピーに曰く、おいしいものは脂肪と糖でできている。
私は神でも学者でも広告評論家でもないため、このキャッチコピーの真偽や是非や功罪について語るつもりは全くないが、この短く簡潔な文言に対して私が返せる最も自然な回答は「そうだね」という納得である。私が摂取してハッピーな気持ちになるものの多くは脂肪や糖で成り立っているので、私は私をハッピーにするために脂肪や糖を摂ることにしている。

今日の昼には豚のヒレカツと鮭のおにぎりを、夜にはチキンカツカレーを頂いた。
どれも非常に美味しく、半死半生だった私の瞳にはいくらかの光が戻り、肉体及び精神にまとわりつく倦怠感も多少マシになった。
こうした足の早い食品を食べられるのは外出した当日ないしは翌日くらいだが、その後にも「ちゃんとした食事」をとることができるくらいの備えはしてある。少なくともシリアルと飴とチョコで飢えを紛らすだけの食生活とは比べるべくもなく健全だ。

私のような頭でっかちはどうしても精神偏重なものの考え方をしてしまいがちだが、その精神を支えているのは紛れもなく代謝に基づく肉体である。肉体が傷つけば精神も傷つき、肉体が飢えれば精神も飢えるというもの。
可能な限り両者の機嫌をとってやりたいところだ。

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