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きっと明日もチキン南蛮

近所のスーパーの弁当で私が一番好きなのはチキン南蛮弁当である。
総菜売り場には他にもたくさんの種類の弁当が置かれているが、買った回数は間違いなくチキン南蛮弁当が一番多い。次いでハンバーグ弁当、メンチカツ弁当という感じだろうか。

なぜ私がチキン南蛮弁当、というかチキン南蛮が好きなのかというと、味が濃いからである。
甘酢ベースのソースにタルタルソースまでかかっており、脂の濃厚さと酸味が丁度いい塩梅なのである。チキン南蛮は鳥の胸肉を美味しく頂くために開発された料理だと聞くが、それも納得の味付けだ。油分は肉そのもののものよりも添加されたものの方が多いだろう。こってりさっぱりした味付けをすることで、たんぱくになりがちな胸肉を上手に調理しているわけだ。

と、こんな調子でチキン南蛮は私の好きな食べ物の中では五指に入ろうかというくらいの品なのだが、近頃はスーパーでチキン南蛮弁当を見る機会が少なく、あまり買えていなかったのだ。時間帯が悪かったのか、他にもチキン南蛮弁当を愛好する客が多いのか、スーパーに寄った際に必ず総菜売り場をチェックするようにしていても、ここ何週間か見つけることができず、ハンバーグ弁当で妥協する日々が続いていた。

しかし、今日は久しぶりにチキン南蛮弁当が置いてあった。昼の来客ピークが過ぎて品の並びもややまばらな四時前ごろ、多くの弁当に紛れて一つだけチキン南蛮弁当があった。久しぶりだったので非常に嬉しい。店の方針なのか、同じ種類の弁当を沢山置くよりも種類を増やす方向にしたらしく、弁当の種類自体は非常に豊富であった。
相対的にチキン南蛮弁当の数が減っていたというわけだ。
私は非常に偏食をするたちであるため、美味しく頂ける弁当の種類は限られる。だから変に多様な種類の弁当があるよりは定番のものを数種類置いてくれた方が助かるのだが、まぁそれは私という一客の都合である。天ぷら弁当とかカキフライ弁当を食べたい人々だってきっと数多く存在するはずだ。

体感として、チキン南蛮弁当を比較的容易にゲットできる時間帯は午前十時頃である。この時間に店を訪れると大抵何箱かチキン南蛮弁当が売っている。
ところが私の生活習慣の乱れによって、午前十時に外出して買い物を済ますというのはなかなか難しいことになってきている。その時間は二度寝していたりだとか無為に布団に潜っていたりだとかしていることが多い。
なんとかして来店毎に一つ、いやできれば毎日一つチキン南蛮弁当を手に入れたいところであるが、それほどの頻度で外出するのは非常にしんどいし、これまでのように品切れということも大いにあり得る。それに、コンビニ弁当や宅配ピザなどと比べるとそりゃ安いが、パスタや米を自炊するよりはやはり値が張るのも事実だ。毎日好きなものを食べたいというごくありふれた欲求だが、どうやら叶わないものらしい。悲しい。

いっそ自炊で作れるようになればどれほどいいかと思うが、日持ちしない肉の管理に複雑な味ゆえの調理工程の多さにそもそも調理器具の不足にと、できない理由はわんさか出てくる。
明日も食べたいものだ、チキン南蛮。

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