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『ゼノブレイド3』ゲームデザイン概観

 独断と偏見による自己満足ゲームデザイン概観シリーズ。もうシリーズ化を宣言してもいいくらいには書いてるのでシリーズ化します。しました。

シリーズ化といっても、そのときの気分で好き勝手に書いています。あと、毎回そうだけど概観(全体をざっと見る)と言いつつ、興味あるところだけ見ます。気が向いたら加筆∥修正するかもしれない。


プレイ状況

 執筆時点でのプレイ状況。

■プレイ時間
 ・150時間くらい
 ・エンディング見た
 ・サブクエもだいたい終わらした(たぶん)
■過去作経験
 ・『ゼノブレイド』Wii版
 ・『ゼノブレイド2』

バトル

 バトルについて考える。

バトルの基本

 ゼノブレイド3におけるバトルの基本的な流れはだいたい以下のとおり。

■バトルの流れ
 ①オートアタックでアーツゲージを溜めていく
 ②アーツでロールアクトしてタレントアーツゲージを溜めていく
 ③タレントアーツを放つ
 ④1~3を繰り返しながらチェインアタックゲージを溜めていく
 ⑤チェインアタック
※チェインアタック以外はすべてリアルタイムで進行

オートアタック
 戦闘中に敵の近くで立ち止まっていると自動的に発動する。通常攻撃。

アーツ
 【○回オートアタックをする∥○秒経過する】で利用可能になる技。この仕組みは「もう少し待てばアーツが撃てるぞ」といった計画を立てられるその代わりに予測が容易なために戦闘ごとに変化を感じにくい。どの戦闘でもやることが変わらなくなる。これに関しては【操作キャラクターの切り替え∥操作キャラクターのクラス変更】といった【ロールの変更】によって対応している。

アーツには、背面から使うと威力が上がるといった【位置特効アーツ】や、円形のフィールドを展開し、その中に入っている味方を回復するといった【フィールドアーツ】などが存在する。また、回復系のアーツは効果範囲が決まっており、発動者の近くに居ないと回復できない。こうしたアーツの存在によって、位置取りを考える遊びが生まれている。また、これらの位置関係が重要になってくるアーツによって、ヘイト管理の重要性が増している

また、【コンボアーツ】と呼ばれるアーツがあり、これは
【ブレイク→ダウン→スタン→バースト】あるいは
【ブレイク→ダウン→ライジング→スマッシュ】と
コンボがつながる。これらは大きな攻撃チャンスを生み出し、強い追加効果を発揮する。また、オートアタック直後にアーツを放つと【キャンセルアーツ】となり、素早くアーツを放つことができる。コンボアーツや回復系アーツ、キャンセルアーツの仕組みなどから、アーツを放つタイミングを見極める判断が発生する

クラスとロール
 キャラクターにはクラス(役職)が存在し、クラスは【アタッカー∥ディフェンダー∥ヒーラー】の三種類に分類される。アタッカーなら位置特効アーツを成功させることがロールアクトとなり、それによってタレントアーツゲージが溜まる。ディフェンダーなら敵の注意を引きつけて攻撃を受けることでロールアクトになる。ヒーラーは味方の回復やフィールドアーツの使用。ロールによってプレイスタイルに違いを生み出し、クラスによってさらに細かく違いを作っている。

ただし、ディフェンダーは「とにかくヘイトを稼いでいればOK」というやや単調なゲームプレイに終始しがち。この問題への対応として【回避∥ガード系アーツ】がある。タイミングよく回避系アーツを放つことで、敵の強力なアーツを回避するといった遊びが用意されている。

ヘイトシステム
 
バトルではヘイトと呼ばれる数値が最も高い者が敵からターゲットされて攻撃を受けるようになっている。ただし、詳細な数値自体は秘匿されている。そのため、繊細で緻密な戦況コントロールが困難な一方で、いま望ましい状況かどうかの判断自体は容易にできるようになっている。アタッカーとヒーラーは打たれ弱いため、敵に攻撃を集中されるとすぐにやられてしまう。反面、ディフェンダーは打たれ強く、敵の攻撃を受けることに特化している。

最大七人のバトル

 前作∥前々作ではバトルは三人だったが、今作では最大七人でのバトルが可能になった。当然、一人一人に求められる働きの質は三人のときよりも低下している。それが顕著に現れるのがディフェンダーで、ゼノブレイドのヘイトシステムは一人をターゲッティングする仕組みなので、敵が一体の場合、ディフェンダーが二人居てもヘイトを買えるのは一人だけである。つまり、一人余る。

一方で、ディフェンダーが一人やられても、もう一人のディフェンダーがヘイトを買ってターゲットを引き継ぐといったことが可能になる。これは三人で戦うときよりも安定感があると捉えられる。したがって、弱い敵ならプレイヤーが少しサボっても勝てるようになり、バトルの難易度がやや低下した

また、ディフェンダー二人で敵六体のうち三体ずつヘイトを受け持つといった立ち回りができるようになった。【多対多】といった規模の大きな戦闘をゲームシステムとして表現できるようになっている

人数増加による役割希薄化へのカウンターとして、HPがゼロになった味方の助け起こしはヒーラー専用アクションになった点が挙げられる。また、【戦術士】でデバフをかけて【マシンアサシン】で攻撃、のように複数ロールでの協働で効果を最大限発揮する要素が増えた。

インタリンク

 新要素のインタリンクについて。

■インタリンクの仕様 ‐ ここが強い!
 ・いつでも融合&解除可能
 ・HPの概念が無い(事実上の無敵)
 ・アーツリキャスト時間0秒

これらによってゲーム内設定にたがわぬ、強力無比な要素になっている。当然、インタリンクしているだけで勝てるほど強すぎては面白くないので、いくつかの副作用(弱点とも言う)によって強さを抑えている。

■インタリンクの仕様 ‐ ここが弱点!
 ・メンバーのうち特定の二人が融合
 ・一定時間融合しているとオーバーヒート状態となり強制解除
 ・オーバーヒートするとゲージが全回復するまで再融合は不可

ゲームシステム的には、【今いる二人が消えて、新しく一人がバトルに参加する】仕組みになる。そのため、消えた二人がディフェンダー∥ヒーラーであった場合、前線の崩壊を招く危険がある。さらに、【インタリンクレベル】というシステムがある。

■インタリンクレベル
 ・融合アーツを放つとレベルが上昇していく
 ・レベルが高いほどウロボロスのタレントアーツゲージが溜まりやすい
 ・高いほど融合時のロール効果が大きくなる
 ・レベル3で特殊効果が発動するアーツがある
 ・レベル3状態でチェインアタックをすることで、開幕ウロボロスオーダーができる。ただし、これはメリットが薄い(後述)

つまり、すぐにインタリンクしなければ、そのぶんイイ効果が得られる。こうした要素によって、短期決戦による決着が見込めない場合、融合∥解除のタイミングをしっかりと見極める必要が生じる

チェインアタック

 シリーズおなじみのチェインアタック。バトルは基本的にリアルタイム進行だが、このチェインアタックだけターン制になる。ゲーム進行が根本から変化するため、大きなメリハリがついている

 今作の新しい仕様ざっくりまとめ。

■チェインアタックの主な流れ
 ①ゲージを1/3消費してオーダーを選択
 ②各キャラからアーツを選択してTP(タクティカルポイント)を溜める
  └各ロールによって特性が違う
 ③TPが100以上になったらオーダー達成(追加攻撃&効果発生)
 ④再度行動できるキャラが決まる
  └オーダー達成時のTPによって人数が変動
◆終了条件を満たすまで①~④を繰り返す
◆特定の二人組のオーダーを達成するとウロボロスオーダーが発生し、全キャラが復帰する
 
◆各ロールの特性
 ・アタッカー 最初に選ぶとTPが1.25倍
 ・ヒーラー TPが100以上にならず、99で止まる
 ・ディフェンダー オーダー達成時に復帰するキャラが最もTPの高いキャラになる
 
◆オーダー達成時のTPによって変わる復帰人数
 ・100~149 復帰人数:一人
 ・150~199 復帰人数:二人
 ・200以上 復帰人数:三人

各ロールの特性から、最初にアタッカーを選択してTP1.25倍にしつつ→ヒーラーで99まで溜めて→ディフェンダーでオーダー達成してアタッカーを復帰させるのが基本的な流れになる。各ロールの特性を使いこなすことでより大きなダメージを与えられるので、チェインアタックはパーティー編成の重要性を高める要因の一つになっている。各キャラのTPは選択前に【最低保障数値】が分かるが、実際にはそこからボーナスTPが追加されるようになっている。最低値を保証しつつも確定した数値は分からないようにすることで、選択に一定の悩ましさを付与している

少し慣れればダメージ倍率を1000%以上にすることも容易くできるようになるので、非常に強力。チェインアタックゲージを溜めるのも容易になっている。さらに、前作∥前々作からの大きな違いとして、HPが0になった味方の助け起こしにチェインアタックゲージを使わなくなった点が挙げられる。そのため、【建て直し or 総攻撃】の判断が無くなった。ゲージの使い道が一つになって考える要素が少なくなり、お手軽かつ強力なため、バトルがカジュアルになった

■開幕ウロボロスオーダー
 インタリンクレベル3でインタリンクした状態でチェインアタックを発動すると開幕ウロボロスオーダーが可能になる。しかし、開幕ウロボロスオーダーはダメージ効率で通常のチェインアタックに大きく劣る。そのため、インタリンクレベルを上げる見返りとしては魅力に欠ける。通常のチェインアタックのほうが強い。

■オーバーキル
 チェインアタック中に敵のHPをゼロにするとオーバーキルが発動。以後のダメージは撃破後に得られる経験値倍率の上昇につながっていく。チェインアタックはパーティー全体の総攻撃であり、音楽も切り替わって盛り上がるようになっている。そのため、途中で敵を撃破してあっさり終わってしまうと消化不良になる。オーバーキルはそうした問題を解決している。一方で、オーバーキルによる経験値倍率の増加は、いわば【経験値の先取り】のようなもの。そのため、オーバーキルをしすぎると少ない戦闘回数でレベルが上がりすぎてしまって、以後の戦闘で大きなレベル差が付いて張り合いが無くなるといった問題も孕んでいる。レベルが上がりすぎてしまう問題は、これ以外の要因も多くあるのだが、オーバーキルはその一端と考えられる。

カスタマイズ要素(装備∥育成など)

 カスタマイズや育成要素について少し考える。

レベルキャップ

 今作では各種カスタマイズ要素にレベルキャップが付いている。

■レベルキャップの特徴
 ・「あのレベルまで上げるぞ」と能動的な目標設定を誘発する
 ・いっぺんにいろんな要素を提示しすぎてプレイヤーを混乱させない

こういった効果が考えられる。

クラス

 新要素。ドラクエの職業やファイナルファンタジーのジョブなどに近い。同じアタッカーロールでも立ち回りに特徴を出すことによってプレイ体験に幅を作っている。

■アタッカークラスの例
 ・フラッシュフェンサー
  └速攻が得意で、短期決戦向き
 ・攻騎士
  └クリティカルを出す度に与えるダメージが上昇していく
 ・マシンアサシン
  └デバフがかかっている敵へのダメージが上昇する

クラスには、通常のレベルとは違う成長要素を加えることで、成長する楽しさを作る効果もある。また、ゲーム中のクラスの半分くらいが、メインストーリーの進行とは関係の無いサブクエストによって入手できるようになっている。そのため、探索のモチベーション増加に一役買っている

■導線作り
 新しく得たクラスは、最初はパーティーメンバーのうち一人しか解放されない。キャラ毎に【クラス適正】が用意されていて、クラスレベルの上がりやすさが違う。さらに、基本的に各ロールはバランス良く編成する必要がある。これらによって「どのクラスを選べばいいか分からない」を抑制している。

■ロールの偏り
 ロールの数、偏ってね?

◆各ロールの数
・アタッカー   全10種
・ヒーラー    全8種
・ディフェンダー 全5種

やはりディフェンダーはプレイスタイルの違いを作るのが難しいのかもしれない。ディフェンダーが少ないので、序盤~中盤にかけてディフェンダークラスのレベルが上がりきってしまう可能性がある。

■大器晩成な育成
 クラス強化によるメリットは、【そのクラスのスキル∥アーツの強化】と、【マスタースキル∥マスターアーツの修得】になっている。このうち後者のスキルとアーツの修得は、前述したレベルキャップによる装備制限によって手に入れても使えない場合もあるため、ゲーム序盤は嬉しさが薄い。また、基本的には同じロールのスキル∥アーツでないと装備しても効果が薄い。さらに、クラス編成自体はパーティー全体のロールも同時に考えて運用しなくてはならない。例えば、【パーティー六人全員がアタッカー】のような編成はなかなかできないわけである。そのため【スキル∥アーツ修得→すぐに装備して成長を実感】とはなりにくい。結果として、こうした【育成による強化&編成の自由度増大】を実感するのはゲーム終盤となり、大器晩成な育成要素に仕上がっていると考えられる。

フィールド(探索要素)

 フィールドについて、かるーく考えてみる。

【大通り】の周りに【無数の寄り道】という横に広い構造

 ストーリーを進めるための場所は、一本道かつ幅の広い道の先に用意されている。そして、その“大通り”の周辺に寄り道できる場所がたくさん用意されている。こういう構造になっていると感じた。あくまで個人的な印象に過ぎないが。結果的に、前作(ゼノブレイド2)よりも【横に広い】。

横に広いとどうなるか。

まず、マップの地形情報と実際の地形情報に齟齬が生じにくい。3Dゲームではよくある【マップ表示での座標は合っているが、実は高さが違う】といったことが発生しにくくなっている。次に、高いところから見下ろしたときに、今までに歩いた地形がしっかり全部見渡せる。気持ちいい。三つ目、当たり前だが、横に広いぶん走り回らないといけなくなる。【ダナ砂漠】辺りはさすがに広すぎてちょっとうんざりした。対策として【オートラン機能】が付いている。

いっぺんに全部探索はできない

 広すぎてうんざりしすぎないための対策として、いっぺんに全部探索できないようになっている。用いられている手法はシンプルに二つ。

・強い敵が配置されていて、危なすぎて行けない
・進行で解放されるフィールドスキルが必要

前者はゲーム的に場所を覚えるための補助が少ないので、覚えておかないと忘れがち。後者はマップ上で関連した表示が出ていることが多いので、あとから気付きやすく、「あそこ行けるようになったぞ!」が出やすい。

フィールドの雑魚敵

 今作の新しい仕様として、敵の中にランダムで【ラッキー】【エリート】が現れるようになった(エリートは固定配置かも)。漫然と戦う敵を選ぶのではなく、報酬のいい敵∥ちょっと強い敵を選ぶ遊びができた。また、それ自体がフィールド探索の導線になっている

探索の報酬

 適当に羅列。

■探索の報酬
 ・コレクションアイテム
 ・エーテルシリンダー

 ・骸
  └キズナポイント
 ・コンテナ(RPGで言うところの宝箱)
  └ノポンコイン∥ジェムストーン∥SPなど
 ・投下物資
  └アクセサリーやエーテルシリンダー
 ・ユニークモンスター(フィールドボス)
  └撃破でノポンコイン∥ジェムストーン∥オリジンの欠片など
 ・オリジンの欠片
 ・絶景

  └一部ランドマークでEXP∥SPなど
 ・サブクエスト

以下、いくつか補足。

骸(キズナポイント)
 キズナポイントはサブクエストクリアで一気に入るので、骸をおくって得られるポイントにはそこまで価値が無い。あくまで世界観を魅せる要素か。

コンテナ(別のゲームで言うところの宝箱)
 ノポンコインと、少量ではあるがSPが手に入るのが嬉しい。

ユニークモンスター
 強敵との戦いこそがなによりの報酬ッ……!倒すとノポンコインやオリジンの欠片といった有用なリソースが得られる。

絶景
 大事。いい景色見られるだけで嬉しいよね。

サブクエスト
 新しいクラスが得られる or クラスレベル上限解放の【ヒーロークエスト】が嬉しい。

と、いろいろ書いたが、ここで補足した項目以外のほとんど(コレクションアイテムやエーテルシリンダー)が役に立たないリソースになっている。以下、ゲーム内経済について。

ゲーム内経済

 ゲーム内経済についての考察。経済といっても、ここではアイテムの入手や使い道などについて取り上げる。

まず、ゼノブレイドシリーズはこういったリソースの入手∥消費について、非常に大雑把なデザインが特徴的だ。

「なんかよく分からんけど片っ端から取ってけ!」
「なんかいっぱいあるからパーッと消費してくか!」

というのが基本形。よく言えば、個々のアイテムに特段注意を払う必要が無くて遊びやすい。悪く言えば、アイテムを取ったときになにも感じない。こういった傾向があった。今作はとりわけ大雑把──というか、ちょっと雑過ぎるのではという部分が多い。フィールドで拾うコレクションアイテムのほとんどが役に立たない。マジで。

オールマイティーアイテムが破壊する経済

 ノポンコインというアイテムがある。銀と金の二種類あり、銀は手に入れやすく金は手に入れにくい。で、問題がノポンコイン・銀である。こいつの使い道が以下のとおり。

・クラスのレベルを上げる
・ノポンコイン交換所でアクセサリーと交換
・素材アイテムの代わりに消費して料理をする
・素材アイテムの代わりに消費してコレペディアカードを登録する

注目ポイントは「素材アイテムの代わりに消費して~」というところで、言ってみれば、いろんなアイテムの代わりに消費できるオールマイティーアイテムになっている。そのおかげで、料理とコレペディアカード登録において、素材を消費する必要がほとんどなくなっている。一応、これは各種素材を集めるのがめんどくさいと感じるプレイヤーにとっては遊びやすくなっている一方で、ほとんどのアイテムを集める意味∥価値が消失している

要因は四つくらいある。まず一つ目にノポンコイン・銀、手に入りがち。ユニークモンスターやコンテナから気軽にポンポン手に入る。戦闘中の勢力に加勢した際の報酬としても手に入る。

第二に、素材アイテムの代用以外の消費先、クラスレベルアップとアクセサリー交換は消費先としてあまり魅力が無い。そもそもノポンコイン・銀を大量に入手しているのなら、フィールドの探索をしっかりとおこなっているわけだ。つまり、あるていど戦闘を繰り返してクラスレベルは十分に上がっているのである。また、序盤~中盤にかけてはクラスが揃っておらず、クラスレベル上限も10なため、ノポンコインを使ってしまうとすぐに成長の上限に達してしまい、その後の戦闘で得られる経験値がもったいない。アクセサリーもそこまで欲しくなるような性能ではなく、メインの消費先になり得ない(いちいち交換しにいくのもめんどくさい)。中盤~終盤ならクラスの種類が豊富になり、上限も20まで開放されていくので消費先になり得るのだが……

三つ目、【99個以上得たアイテムは自動的に売却される】というシステムが存在すること。これによって99個以上溜め込むより使ったほうがおトクになり、中盤辺りで溜めたコインの消費先のほとんどが料理およびコレペディアカード登録に流れていく。

最後、代用に必要なコインの枚数がそこまで多くない点だろう。料理なんかコイン1枚消費で済む。素材アイテム消費による料理は【5種類のアイテム5個ずつ必要】とかだったりするのに。コレペディアカード登録も、多くて5枚ていどである。

こうした流れは、個人のプレイスタイルにもよるかもしれない。とはいえ、そこまで特殊なプレイスタイルではないと考えている。フィールドをしっかり探索し、ユニークモンスターを倒したりコンテナを回収したりするのはゼノブレイド3の主要な遊びの一つだからだ。

消費先が少ないリソース

 いっぱい手に入るのに消費先がやたら少ないリソースがちらほらある。

・エーテルシリンダー
 入手:フィールドの至るところ
 消費:朽ちた鉄巨神起動∥ジェムクラフトなど

・ジェムストーン
 入手:至る所にあるコンテナ
 消費:ジェムクラフト

・G(通貨)
 入手:至るところ(コンテナ∥サブクエスト報酬など)
 消費:コレクションアイテム∥アクセサリーなど

この三種類、消費先が少ない。でもめっちゃ手に入る。
とくにジェムストーンは、

・【ジェムストーン】
・【高純度のジェムストーン】
・【超高純度のジェムストーン】

と三段階あるが、そのうちの上二つ、ジェムストーンと高純度のジェムストーンは各種1段階ずつ作ったとしても60個しか使わない。でも余裕で99個より多く手に入っていく。

99個以上手に入って余った分は自動売却されていくので、じゃあGに使い道があればいいのだが、ここがまた……コレクションアイテムは前述のとおりほとんどがノポンコイン・銀で代用できてしまうので買う機会が少ない。料理の注文があるが、これは安い。アクセサリーは店売りだとレアリティが一番低い──性能が低いため、積極的に買いたいモノが少ない。……使い道消えたが?結局、Gを気持ち良く消費できたのは【リ・ガート収容所】の改修イベントや雨を降らすノポンへの賄賂ぐらいだった。バトルやサブクエスト報酬などで溜まりつづけるものの、使い道がほとんど無い。

そのほかのリソース

コレクションアイテム 
 前述のとおり、ノポンコイン・銀によって需要が崩壊している。一応、コレクションアイテムの使い道が一切無いわけではない。一部のサブクエストでは集める必要があるし、一部のコレペディアカード登録はコイン使用できないので、ちゃんと素材アイテムを集める必要がある。

(……でも一度も使わないまま99個以上溜まってるアイテムちらほらあるんですけど)

ただ、仮に消費先がきちんとあったとしてもそれでゲームが面白くなっていたかというと微妙である。なんせアイテムの検索性が悪すぎる。アイテムは入手場所が【○○地方】と表示される。しかし、ひとくちに○○地方といっても、各地方が相当に広く作られている。もちろん、持ってないアイテムはどの地方で取れるのかすら分からない。したがって個別のアイテムを認識し、能動的に集めるのが難しい仕組みになっているわけだ。そういう意味では、ノポンコイン・銀で代用できる仕組みがあってよかったのかもしれない。

ノポンコイン・金
 ノポンコイン・銀と違って、金は入手機会がそこまで多くなく、使い道も限られている──アクセサリーとの交換∥ジェムクラフトの素材代用──ので入手の嬉しさと消費の悩ましさがある。

モンスター素材
 モンスターを倒して入手して、料理やジェムクラフト、一部サブクエストで消費する。料理はノポンコイン・銀一枚でできるのであまり使わない。メインの消費先はジェムクラフトになる。ただ、これもコレクションアイテムと同じ問題で、特定の素材を能動的に集めようとしたときに遊びづらい。

しかもジェムクラフトでは同名素材でもレアリティが違う素材を要求してくる。なんでそんな念入りにめんどくさくしてるのぉぉーーーっ!

オリジンの欠片
 フィールドで光っていて、いかにも重要そうな雰囲気を出している。ゲーム最終盤で【初期武器の強化】という使い道が判明する。この見せかたは、使い道が判明するまでの長いあいだ、手に入れた際の嬉しさが薄くなってしまう。一方で、「これまで集めてきてよかった~~!」をもたらしうると考えられる。

ちなみにオリジンの欠片を使って初期武器がどのくらい強化されたか、ゲーム内で一切説明が無い。「強化された」の一言で済ませてくる。軽く調べたところ【攻撃力+50くらい&クリティカル率とガード率の微増】といった効果がある模様。それぐらいゲーム内で説明しましょうよ。そのほうが嬉しいでしょうが。見た目カッコよくなるだけでも嬉しいっちゃ嬉しいけどさあ……

サブクエスト

 サブクエストについて少し。

発生の仕方

 発生場所に行く&発生キャラに話しかける。この二つがオーソドックスな受注スタイルだが、ゼノブレイド3では新たな発生方法が用意されている。それが以下の流れ。

①各コロニーなどでNPCが会話を聞いて【情報】を一定数集める
②【休憩ポイント】でパーティーメンバーと【相談】してサブクエスト発生

通常の発生スタイルとの違いは、めんどくさいところ。一応【情報を得られるところ=休憩ポイントが近くにある】なので、めんどくささは最小限に抑えられている。一方で、NPCの会話から情報を得る表現によって、サブクエストの実在感を演出している。同様に、パーティーメンバー同士での相談という形を取ることで主人公達六人のリアクションを丁寧に表現している。ゲーム的に少しめんどくさくする代わりに、世界観∥キャラクターの描写を充実させている

遊びやすさ

 遊びやすさって主観でしかないので書くの避けてたんだけど、そもそもこの記事の内容自体が全部主観だろってことで今回から書いてみる。遊びやすさといっても、遊びにくいと感じたところだけ挙げる。つーか遊びやすいところは違和感が無いので気付かない。

マップUI

 スキップトラベルしたいのに、関係無いアイコンにカーソルがフォーカスしてしまって遊びにくい。そもそもアイコン自体が、「その場所になにがあるのか」を示しているわけで、わざわざフォーカスする利点がほとんど無い。

【リスト検索】でスキップトラベルポイントだけを検索することができるが、このときのリストを並べている法則が謎。スキップトラベルがしたくてリスト検索しているので、【マップの北から南へ順番にリスト化している】とかだと遊びやすいかも。「マップ上で下のほうの場所に行きたいから、リストの下のほうを見てみよう」ができる。

マップはショートカットコマンドで直接開けるが、開くマップは現在マップのみ。【ペンテラス地方全図→コロニーラムダ】のように、同地方の別マップエリアにスキップトラベルしたいときに不便。その場合、結局ショートカットを使わずに【メニュー→マップ→地方選択→エリア選択】と選ぶ必要がある。同地方なら詳細マップからワンボタンで切り替えられるような仕組み──【ペンテラス地方】ならば、十字キー入力(←・→)で【ペンテラス地方全図⇔コロニーラムダ⇔モルクナ大森林下層】を切り替えられる──があれば遊びやすかったか。

どんなゲームでも思うことだが、メニュー画面を一発で消せるボタンが欲しい。(こういうの、実装が難しいのかな……)

ごく一部のエリアで、ゲーム進行を待たないと辿り着けない場所がある。「行く方法あるのかなぁ…?」で無駄に悩むハメになった。これは正直、難癖レベルではあるのだが……このゲームでは、いま探索しなくていい箇所はレベルの高い敵が配置されていて【行ってもいいけど殺されるよ?】という作りになっているため、システム的にどうあがいても行けない場所が数カ所あるのが違和感につながった。【どう頑張っても今は辿り着けない場所】を作るのは、【ゲーム全般のスタンスと誘導の仕方】と相性が悪かったといったところか。

クエスト(UI)

 クエストUI、【未クリア】でソートできない。プレイヤー心理的に、「まだクリアしていないヤツがあったらクリアしよう」となるのだが、それをリスト化できない。しかし【未着手】∥【進行中】という、未クリアを二つに分解したようなソートはそれぞれできる。なんでや。別にむちゃくちゃ遊びにくいとかそういうのではないが、なんかズレたUIなんだよな……不思議だ。

アクセサリー(UI)

 アクセサリーを売るときのソートが使いにくい。またソートか。そもそもなぜアクセサリーを売ろうとするのかというと、大量にアクセサリーを入手するところから始まる。装備したいのはもちろん性能が高いモノなのだが、このとき低いのも混じっていると装備欄がごちゃついて見づらい(装備時のUIも使いやすいとは言い難い)。つまり、もう使わないような性能が低いのを売りたくなるわけである。ところが、売るときに性能を比較できるようなソート機能が無い。終わりじゃん。装備するときと売るときでソートの基準が変える必要は無いのかもしれない。

性能比較してアクセサリーを売りたい場合、装備画面から性能比較して売らないアクセサリー全部に【お気に入り】の★マークを付けてから、アクセサリー屋に行って★マークが付いていないアクセサリー全部売る、とやらないといけなかった。めんどくさ。★マークの付いたアクセサリーを売ろうとすると「売っていいんですか?」と警告してくれるが、そもそも★マークアクセサリーが売却候補に入らないようにソートしてくれるような機能は付けてくれない。惜しいんだよなぁ……

そもそも、原因がいくつかあるんだよな。「この大量のアクセサリーの種類を全部使いこなすプレイヤーって本当に居るのか?」と思ってしまうぐらい色んなアクセサリーが登場するところとか。同名のアクセサリーでも、コモン→レア→エピックとレアリティに差が付いていて微妙~に性能が違ったりして、一種類のアクセサリーで三枠取るところとか。【シグネットリング】と【チャンピオンリング】みたいに、効果説明文がまるっきり全部同じ文章が書いてあるアクセサリーが登場したりするところとか(たぶん内部で細かな数値が違うんだろうけど、もうそれなら説明してくれや)。

ロープスライド

 ロープに乗って移動するギミック。乗れずに落ちまくること十数回。七鉄巨神の乗り継ぎするところ、許さねえからなぁ~!乗りさえすれば自動で進むのだが、乗ることができない。単純に判定が小さすぎたのが問題だと思う。この手のレールスライド的ギミックはプレイヤーを吸い寄せるぐらいの判定を用意するのがベターなんだろうなーと思った。もしくはシンプルにAボタンで装置を調べたら自動で移動する仕組みでよかったのではないか。

まとめ

 飽きてきたので終わり。ここだけ読めばイイ説ある。

バトルまとめ

◆基本
 ・オートアタック→アーツ→タレントアーツ→チェインアタックの流れ
 ・位置特効∥フィールド∥ヘイトなどで【位置取りの遊び】
 ・コンボ系アーツ∥キャンセルアーツなどで【タイミングを図る遊び】
 ・クラスとロールでプレイスタイルに幅を持たせている
 
◆七人バトル
 ・三人のときよりも働きの質が低くてもOKになった
 ・シンプルに少し低難易度化した?
 ○戦争というフレーバーの表現に適した大人数戦闘が可能に
 
◆インタリンク
 ○【いつでも使える】×【無敵】×【アーツ連発可】=強い
 ・【人数減少】×【時間制限】=強すぎない
 ・インタリンクレベルによってすぐ融合しないメリットが発生→融合タイミングを見極める必要性が生じる
 
◆チェインアタック
 ○リアルタイムバトル→ターン制による強烈なメリハリ
 ・助け起こしにゲージを使わなくなったのでジレンマが消えた
 ・属性玉のような“前準備”が要らなくなったのでお手軽に強い
  └△全体的なバトルのカジュアル化
 ・ロール特性によってパーティー編成の重要性が高まる
 ・得られるTPをやや曖昧にすることで選択の悩ましさを作っている
 ×開幕ウロボロスオーダー弱くない?
 ・オーバーキルは気持ちいいがレベルが上がりすぎる可能性も

カスタマイズ要素まとめ

◆レベルキャップ
 ・「○○レベルまで頑張るぞ!」能動的な目標設定
 ・要素過多による混乱の抑制∥回避
 
◆クラス
 ○通常のレベル以外に育成の楽しさを提供
 ○探索のモチベーションアップに寄与
 ・【クラス適正】で育成指針が立てやすい
 ・ディフェンダー少なくない?幅を作るのが難しいのかも
 △最初は強くなった感が薄めの【スキル∥アーツ修得】
  └総じて大器晩成な育成要素

フィールドまとめ

◆だいたいの印象
 ・【大通り】の周りに【無数の寄り道】
 ・全体的に【横に広い】
 ・いっぺんに全部探索できないようにしてる
  └【強い敵∥進行で解除されるスキル必須】で通行止め
 
◆横に広いマップの特徴
 ○マップUIとの齟齬が減る
  └「マップ上は合っているが、高さが違う」といった事故が減る
 ○広い大地を見渡せて気持ちいい
 △広すぎてうんざりすることも
  └オートラン機能で対策
 
◆フィールドの雑魚敵
 ・【ラッキー】【エリート】と雑魚敵に幅がある
  └○どの敵を倒すか選ぶ遊び(それ自体が探索の導線になる)
 
◆探索の報酬
 ×もうちょっと嬉しい報酬が多ければなぁ……
 ○クラスゲット or 上限解放のヒーロークエストは嬉しい

経済まとめ

×ノポンコイン・銀が万能過ぎて経済を半壊させている
 └○ただし、カジュアルに遊べるとも言える
×いくつかのリソースは消費先が無い
×検索性が悪すぎる素材アイテム
△【99個以上は自動売却】が遊びやすいと見せかけていまいち
×使い道判明まで入手の嬉しさが薄いオリジンの欠片
 └○「ちゃんと集めてきてよかった~!」がある

遊びやすさまとめ

★メニューをワンボタンで消させてくれ

◆サブクエスト

 ・【NPCの会話を聞く→パーティーで相談】の受注スタイルで世界観描写の充実(ただし、少しだけめんどくさい)
 △【未クリア】でソートできない
 
◆マップUI
 ×どうでもいいアイコンにフォーカスしてしまう
 ・【リスト検索】のリスト、法則バラバラ?
 △同地方別エリアにスキップトラベルしたいときにショートカット機能が扱いづらい(同地方別エリアにワンボタンで切り替えられたら……)
 △【ゲームが進まないと絶対に行けない場所】があるのがゲーム全体の方向性とややミスマッチ
 
◆アクセサリー売却
 ×性能比較しながら売るのがやりにくい
  └△そもそもアクセサリーが無駄に多いのでは?
 
ロープスライド
 ×乗 れ な い
  └プレイヤーを吸い寄せるくらいの判定ください
  └Aボタンで利用するギミックでもいいよ


おしまい!


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