ひつじを数えている間に眠りたい
「死の受容5段階」というものをご存知でしょうか。
キュブラー・ロスという精神科医が唱えたものです。
わたしはこれを薬学部在籍時、がん患者など「死に近い患者が通ることが多いもの」として教わりました。
覚え方は「HITUJI(ひつじ)」。ごろ合わせなので、Sが抜けてるのはご愛嬌。
H...否認I...怒りT...取引U...(抑)うつJ...受容
多くのがん告知をされた患者は上から順に精神的変化を経て最後「受容」にたどり着くとされています。
「死に近い」というイメージがわかりやすいので大学では「がん告知をされた患者」で学びましたが、わたしはこれを自身の小麦アレルギー宣告をされた時から体験しました。
最初は「小麦が食べられないなんて、そんなことあるわけない」(否認)から始まり、「なんで小麦が食べられないなんて不自由な身体なんだ」と怒る。
「小麦を食べなければいつか治るかも」と取引を考え、それでも治らない現実に打ちひしがれて抑うつ状態になる。いつまでも沈んでいたって何も進まないし、小麦を摂取しない生活にも慣れて、いつしか小麦アレルギーである自分を受け入れる。
まさにこの通りに進みました。
最後の受容段階に至るまで、だいたい3年くらいかかっています。
最初の2年は本当に辛くて「小麦が食べれない」と言うことがなかなかできませんでした。
目の前の人の反応が怖かったのもあるし、小麦NGと発言すると、その人といる時に飲食店で食べられるものが激減すると言う事実を乗りこなさなきゃいけないことも怖かった。そして何より、「小麦を食べられない自分」が嫌で嫌でしょうがなくて、その一言を伝えるのにものすごく緊張していました。いや、過去形は嘘。今もすこし緊張する。
自己紹介をするとき、なるべく早い段階で「わたしは小麦アレルギーです」と伝えるようにしています。そして、それを知った相手の反応をみてその人との距離の取り方を図っています。
そんなわたしが先日読んでいた本で
じぶんが好きなことについて話を聞いてくれた人に対して、人は親近感を抱くようになり、ぐっと心を開けるようになります
この文章に出会い、逆説的ではありますが今の自分は「小麦アレルギーであることを相手と食事をするより早い段階で伝えることは自分のバリアにもなっている」と思い当たりました。
その本はこう続けます。
得意なこと→自己開示→子ども時代の嫌なこと
の順番で話をすると打ち解けやすいと。
順番も大切で、「嫌なことを話すときのほうが緊張する」ため、まずは話しやすい「得意なこと」から始める。
更に
人は子どもの頃の原体験のような記憶を人に話すと、とたんに自分をオープンにできる
性質があるらしいので、子どもの頃の話(自己開示)をして、これまでの流れも借りて勢いで嫌なことを話すのだと。
この話と、最初に緊張する嫌なこと(小麦アレルギー)を伝えている自分を比べてみて、自分が小麦アレルギーになってから社交性が減った理由の一つは「自己紹介の仕方」つまり「人間関係の始め方」にもよっているのだと気付きました。
今後自己紹介が必要なときには、この「話す順番」通りにやってみたら、少しは今ほど硬かったり、ハリネズミのようにトゲバリアを張らならなくても済むようになるのかな。
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ここで紹介した内容は以下の書籍から抜粋しています。
ターゲットはミレニアル世代よりも上の世代の人たちのようですが「稼ぐために働きたくない世代」のわたしでも、読みながら「そういえばわたし次何やりたいんだっけ」と考えることができた本でした。
2時間以内に読める、文字が大きくて少ない本なので、ビジネス本も小説も苦手な人でも、このnoteが読めるなら全然大丈夫だと思います。
「モチベーション革命 稼ぐために働きたくない世代の解体書 (NewsPicks Book)」
尾原和啓著
上では紹介しきれませんでしたが、他にわたしの心に残った2つのことをメモ程度に残しておきます。
1. 幸福の種類
マーティン・セリグマンが唱える5つの幸福:「快楽」「達成」「意味合い」「良好な人間関係」「没頭」
前々から「集中できる時がわたしにとっての至高の時間」と思っていたので、すでに唱えている人がいてちょっと安心しました。そう、わたしは「没頭」に90%以上を投じるタイプです。結果よりも「今、集中してそれに取り組めるかどうか」を大切にする。
2. 自分の分析癖はわるいものでもない
人はその特徴を言葉に落とし込むことによって、相手を理解する
「自分を表す『タグ』を付けよ」というのも、これに当たるんじゃないでしょうか。
決めつけるわけではないけれど「特徴を言いあらわせるというスキルは相互理解に役立つ」と前向きに捉えていきたいですね。
以上、久しぶりの1つの本を掘り下げる投稿でした。
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