TAFRO症候群×新型コロナウイルス感染3日目:濃厚接触娘のPCR検査受診とAmazonでおむつ配達
検査は午後からだった。事前に車種とナンバーを伝えてあり、案内された市内の病院の敷地へ入ったら誘導に従って下さいとのことだった。
敷地に入ると、警備の方が何やら紙を確認しながら停車中の車の後ろにつけるよう誘導してくれた。既にどこが検査場なのかわからないほど列ができていて、検査を受ける人の数が少数ではないことを知った。
それでも1時間ほどで検査場へ。
そこは救急車から患者を運ぶために設けられた救急入口スペースで、1台ずつ入った後は自動扉で仕切られ完全に外から見えない形になっていた。
車に乗ったまま窓を開けると、防護服とマスク、フェイスガードに身を包んだ看護師さんが対応してくれた。
非接触検温、指先でのパルスオキシメーター、その後体調等の質問に答えるのだけど、なぜか私は首を縦に振ったり横に振ったりしながら言葉を発することなくその質問に答えていた。無意識だった。
そしていよいよ検査。鼻の奥に綿棒を入れてグリグリと。これはまぁ…痛いね。お父さん「痛かった」って気持ち、私も共有できたよ…とか思いながら、勝手に出てくる涙をティッシュで拭った。鼻の奥はその後1時間くらいジンジンしていた。
夫も無事に終わり、もちろんどこにも寄らずにまっすぐ自宅へ戻る。外に出ているのに、自分たちの周りだけなんだかよそ者みたいな空気。完全に勘違いなのだけど、どうにも社会と分断されている気分になる。
検査結果は翌日中には電話で知らされることになっている。職場のスタッフに検査終了と翌日判明の連絡をして、陰性だとしても陽性だとしても必要になるだろうと思って事前にお願いしていた除菌清掃作業の報告をもらった。
もしも、陽性だったら…
検査が終わってから結果がわかるまでの時間が一番長く、怖く感じた。
『Amazonで送れますから〜』
病院の、また違う下4ケタの番号から着信があった。『集中治療部の看護師です』と自己紹介してくれた。父の入院用品が足りないので手配して欲しいという連絡だった。
後から思えば、まったく想定できなかったのが可笑しいのだけど、父は今、人工呼吸器をつけて鎮静で眠っている。ということは、食事も排泄も自分ではできない。
そうだ、おむつだ。
しかし私は自宅待機の身。届けにいくことも、お金を渡すこともできない。そして大学病院のスタッフさんたちはそのことをみんな知っている。
どうすればいいんだろう?と考える間もなく、看護師さんはこう言った。
『Amazonで送れますから〜。送り先をお伝えしますね』
あぁ〜なるほど。
時代は変わったのぅ。
集中治療部の父宛に送れば、受け取ってくれることを確認。必要なおむつ用品一式と口腔スポンジを注文してアマプラで配送手続きを済ませる。所要時間10分かからず。なんとあっけない入院患者ケアなのだろう。
コロナ関連でこうした段取りは生まれたのだろうか?それとももっと前から必要な人がいて、ネット配送を使った備品のやりとりも以前から行われていたのだろうか?詳しくはわからないけれど、看護師さんの説明の手際の良さからするといずれにしても手慣れた感じ。絶対数が多いのかもしれない。
わずか10分で必要な備品は病院に届けられる。
そのかわり、直接届けた備品受け渡しの際に看護師さんや病棟受付の方から聞ける貴重な情報は届かない。インフルエンザや新型コロナの流行時期、面会できない入院患者の今の状況は、こうやって家族のもとに届いていたのに。
いつも忙しい医療スタッフさんたちにとって、効率よく足りないものを補充できる配達システム?は良いのかもしれない。いろんな事情を抱える家族の負担ももしかしたら減るのかも。でも、やっぱり、私は時間を作って病院に届けに行きたい。父に会えなくても、お世話になってるスタッフさんたちにお礼が言いたい(で、ちゃっかり情報が聞きたい)
自宅待機が明けたら、その日のうちに病院に行きたい。必要なものを届けたい。
そこまで、父が生きていれば
なのだけれども…
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