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訪問入浴(1)

27歳の時、初めて介護職をする事となった。
ホームヘルパー2級の資格を取得し、仕事を探した。
デイサービス、オープンスタッフ募集の案内をコンビニに無料で置いてある求人フリーペーパーで見つけた。
単純な理由で面接を受けることにした。


デイサービスはラクそう。


面接にてその場で採用決定となるのだが…
デイサービスオープンは一ヶ月後、それまで人手不足の訪問入浴を手伝って欲しいと言われた。

デイサービスオープンまでなら良いかぁと思い承諾したが、正直嫌だった。
ホームヘルパー実習時に訪問入浴は大変だと聞いていたからだ。


訪問入浴はオペレーター、看護士、ヘルパーの3人1組でチームを作り、業務を行う。
僕はオペレーターとしての研修が始まった。
オペレーターの業務内容は、利用者宅の自宅を調べ、訪問時間に遅れないよう道順を考え運転する。
利用者宅内に浴槽運んだり、ホースを引っ張って湯水出したり、利用者を抱えて浴槽に運んだりとバリバリの肉体労働だ。

(僕は12年間この仕事を続ける事となるのだが、男性職員の殆どが腰を壊して辞めていく。)

デイサービスもオープン間近となり、スタッフの研修が始まっている。

呼ばれてないけど!!!!


訪問入浴所長にデイサービス希望で入ったので、デイサービスの方に業務を移行したいと伝えた。

所長「そんな事は聞いてない。」
僕「えっ!」
所長「訪問入浴も始めたばっかだし、もう少し極めてから移っても良いんじゃないか?」
僕「….分かりました。」

デイサービスより給料は訪問入浴のが高いし、僕はこの仕事が思ったより嫌ではなかった。
入浴を楽しみにしてくれている利用者がほとんどで、とにかく感謝される事が多かった。
中には僕が来てくれないとお風呂には入らないと言ってくれる利用者もいた。

単純に嬉しかった。 

ただデイサービスには可愛い女の子が何人かいた。
訪問入浴はすぐに泣く太ったおばさん看護士、感じ悪いおばさんヘルパー、やたらとキレまくる女看護士…
男性職員も年が離れていて壁がある。
趣味はパチンコだけの奴、モテないくせに女の話ばかりしてくる奴、不良でもないのに嘘丸わかりの武勇伝ばっか話してくる奴…つまらんわ!
仲良くなれない。
(僕が極度の人見知りで自分で壁を作ってしまっている事もあるのだが…)


仕方ないかぁ……..😩


なんやかんやで数年間、訪問入浴業務を真面目に続けていた。
訪問入浴利用者はターミナル期の方が多く、別れもたくさんあった。
様々な利用者宅に訪問し、会話し、様々な人の想いや人生を知る。
それが、自身に多大な影響を与え成長する事ができている。
僕は訪問入浴の仕事が好きになっていた。


のだが!


徐々にこの会社の闇に巻き込まれて行く事となる。

社長は介護とは無関係の製造業。
製造業は社長の父親が運営しているらしい。
いわゆるボンボンって奴だ。
管理者の女性は社長の愛人。
2人で立ち上げた事業所だったのである。

突然、管理者の女性が退職する事となった。
噂では他に男が出来たらしい。
僕も知らない男と一緒にいるのを見た事があった。

今まで、事業所にフラフラっときては何もせずに帰って行く(知らんけど)社長が指揮をとり始めた。


会社崩壊の始まりであった….


※ターミナル(終末期)病気などの進行によって余命わずかになった状態










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