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音楽夜話

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プロ目線のあれこれ。知ったかぶりの書き飛ばし。気にしないでください。
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シューマンのホルン 高音域の使用

シューマンのホルン 高音域の使用

タイトルの図版はバーコードではない。ピアニストにホルンの高音域がどのように困難か一目で分かるように作られたものだ。

笑った。

友人のピアニストに見せたらやはり笑った。

ホルンは演奏の時、長い管の高次倍音列を頻繁に使う。そのため、この図版の通り高い音ほど音のツボが隣りの音との間が狭まっていて、「音をはずす」リスクにさらされている。

ピアノの鍵盤に置き換えたらこんな感じになるのだ。弾き難いだろ

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シューマンのホルン 「JagdLieder ハインリヒ・ラウベの詩による狩の歌 」op.137 男声合唱と4本のホルン(1849年)

シューマンのホルン 「JagdLieder ハインリヒ・ラウベの詩による狩の歌 」op.137 男声合唱と4本のホルン(1849年)

某有名私立大学の有名グリークラブの定期演奏会の仕事で演奏した。東京と大阪で都合4回の本番があったかな。

男声合唱とホルン4本。なんて胸踊る音響だろうか。実に楽しい仕事だった。

初代の大阪フェスティバルホール、今はない新宿厚生年金会館、かつての郵便貯金会館で演奏したと思う。大阪は特に音響のいいホールでホルンがよく響いた。

偶然だが、その大学のグリークラブに俺の小学生からの友達がいた。仕事に行っ

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シューマンのホルン「アダージョとアレグロ」(1849年)

シューマンのホルン「アダージョとアレグロ」(1849年)

ホルン奏者なら必ず練習する曲の一つだ。リサイタルピースとしても程よい長さがあり、よく演奏される。俺も何度かステージで演奏したことがある。

ホルンパートもいいのだが、ピアノパートが素晴らしい。よく伴奏と言う言い方をするが、この曲のようにピアノとホルンのために書かれた曲のピアノは伴奏ではない。

始めのアダージョ部分の息の長いフレーズ、ホルンの最高音域(実音の高いF)が出てきてそこだけで吹けないアマ

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シューマンのホルン 「4本のホルンと管弦楽のためのコンツェルトシュテュック」(1849年)

シューマンのホルン 「4本のホルンと管弦楽のためのコンツェルトシュテュック」(1849年)

シューマンはホルンについて「オーケストラの魂」と言ったとか言わなかったとか。

文献には関心がないが、ホルンコンシャスな作品がいくつかあるのは確かだ。

「4本のホルンと管弦楽のためのコンツェルトシュテュック」(1849年)
派手な曲でホルン奏者は遊びで必ず練習する曲だろう。学生の頃はしょっちゅう集まっては全パートを交代しながら4回通す、なんてことをやっていた。

1stから4thまでそれぞれに難

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シューマンに物申す (偉そうに・・・)

シューマンに物申す (偉そうに・・・)

シューマンの交響曲第3番「ライン」が好きで朝からテンション上げて聞いた。

ホルン奏者としていいフレーズがたくさんあって聴きどころが多い曲だ。

NHK FMの月曜日朝の番組「音楽の泉」で解説の奥田佳道氏が丁寧に説明してくれた。

この曲はベートーヴェンの野心作、交響曲第3番「英雄」と通じているところがある、と言う話だ。なるほど、調がE♭Majorと同じだし、1楽章は3拍子で序奏なしにいきなり堂々

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