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オリビア・コールマンでおひとりさま


2023-31

エンパイア・オブ・ライト

監督 サム・メンデス
撮影 ロジャー・ディンキンス

出演 オリビア・コールマン、コリン・ファース、トビー・ジョーンズ、マイケル・ウォード

主役のヒラリーが持つ、おひとりさま女史の強さと、おひとりさま女史が陥りやすい弱さ、それを絶妙なバランスで演じていたオリビア・コールマン。

ヒラリーが抱える病の持つ生活の中の独特の抑揚を見事に演じていたシーンには鳥肌立ちました。

圧倒的なコールマンの演技だなあと思いましたが、だからといって彼女だけが印象に残る映画でもなく、映画館を軸に、関わる全ての登場人物がちゃんと意味を持って配役されてることが明確でした。

ヒラリーはボブディランを聴き、恋に落ちた若き黒人青年はスペシャルズが大好き。

そんな風に世相を表してる音楽での対照もわかりやすい。

おひとりさま女史が生きてゆく物語でもあり、若き黒人青年と年老いた白人映写技師を巡る世代の交代の話でもあり、映画館から人が離れていく時代の流れの継ぎ目を感じる話でもある。

covid19の蔓延をきっかけに、あらゆる映画監督が
自身の映画体験などに触れる作品が一気に制作され、順次上映されている今

この映画は監督のサム・メンデスが自身のために作っておきたかった映画なのかも。

映写室で映写機がカラカラ周る音をコンピュータでシステムされた現代の映画館で聞く。

私が物心ついてから映画館で切り替えのパンチを見つけた時はちょっと嬉しかった頃が懐かしい。

撮影監督はロジャー・ディンキンス、その映像は おとぎ話のような、紙芝居のような とにかく綺麗でした。

そういえば、映画館のいやらしい支配人役を『キングスマン』などのコリン・ファースが演じている。
親父臭がしそうな嫌なオヤジな演技が絶妙だったなあ。

2023/3/4

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