【12/17開催】プログラミングトースターでキミだけのクッキーを作ろう
こんにちは、グローカルセンターのインターン生の高津です。
12月17日(日)に関西大学梅田キャンパスで、パナソニックのプログラミングトースターを用いたワークショップを小学生を対象に行いました。本記事では、その様子をご紹介します。
プログラミングトースターって何?
プログラミングトースターとは、プログラミングソフト”Scratch”をベースにしたプログラムで制御ができるIoTトースターです。Wifi/Bluetooth通信により、庫内温度の取得や遠赤、近赤ヒーターのON/OFFが可能で、例えば「180℃で3分間加熱した後、遠赤ヒーターだけを使って200℃で1分間加熱して焼き色を付ける」など、プログラミングにより細かい熱のコントロールができます。それにより、味覚を使った様々な試行錯誤が体験できます。
このプログラミングトースターは、パナソニックの高田さんとMIT Media LabのLifelong Kindergartenグループにより、家電×プログラミングによるくらしの中での創造性教育についてのプロジェクトのなかで開発されました。
また、今回のワークショップで用いたScratch(以下、スクラッチ)は、ブロックのコマンド(命令)を組み合わせることで、直観的かつ簡単にプログラムができるビジュアル系のプログラミング言語です。スクラッチを開発したレズニック(2009)らは、開発コンセプトを部屋に例えて、以下のように表現しています。
スクラッチであれば、誰でもプログラミングを簡単に学ぶことができ、それがトースターと組み合わさることで、より現実的で、クリエイティブな学びを実現できます。
ワークショップの様子
今回のワークショップは、パナソニックの高田さんのもとでインターンをしている同志社大学の牧野さんと一緒に企画し、当日は、パナソニックの清水さんと京都の学生4名と共に実施しました。会場は、関西大学の梅田キャンパスで、午前4名、午後4名の計8名の小学生が参加し、大学生と一緒にプログラミングをしながら、思い思いのクッキー作りを行いました。
まずクッキー作りを行う前に、カントリーマアムなどの市販のクッキーを食べながら、どんなクッキーが好きか、どんなクッキーが美味しいかを考えることから始めました。
プログラミングレクチャー
クッキーの食べ比べを行った後、今回のクッキー作りのカギとなるプログラミングトースターをどのように動かすのかを学びました。ここでは、パナソニックの清水さんがわかりやすく子どもたちに教えてくださいました。子どもたちの中では、スクラッチを触ったことがある子もない子もいたようでしたが、大学生とペアになって進めることで、ヒーターの電源オン・オフ、温度・時間などの基本的な設定をしっかりと学べました。
基本設定が学べたら、温度と時間が書かれたカードをそれぞれランダムに選び、1回目のクッキーづくりを行いました。
各班で温度や時間を変えることで、上手くいく場合も上手くいかない場合もすべてを全員で体験し、共有しながら、それぞれの違いを比較し、関連付け、予想することを子どもたちに促しました。この「比較する、関連付ける、予想する」は小学校の理科で学ぶ科学的な見方・考え方です。さらに、クッキーを焼くということ自体は家庭科での扱われるような学びであり、特定の教科を超えて、教科横断的に学びを実現できるのはプログラミングトースターの大きな特徴です。
大学生と作戦会議
各班でクッキーが焼けたら、各班が作ったクッキーを交換し合い、それぞれのクッキーを味わいなら、温度と時間の組み合わせによって生まれる違いを考察しました。
そして、それらの情報を踏まえながら、「誰に向けて、どんなクッキーを作りたいか」を大学生と一緒に考えました。その際に、クッキーのコンセプトを考えることで、自らの想いを言語化し、それを表現するクッキーを作ることを目指しました。
キミだけのクッキー作り
コンセプトが決まったら、実際にクッキー作りを行いました。チョコチップやココアパウダーなどを用いて、それぞれがオリジナルの味・形のクッキーを作りました。ある子は、ココアパウダーを生地にしっかり染み込ませて、茶色のクッキーを作ったり、別の子はクッキーの上にまぶすだけだったり、同じ材料を用いたとしても、その使い方は子どもたちによって大きく違いました。そうしたそれぞれの「こだわり(想い)」がオリジナルのクッキー作りに繋がっていました。
今回は「誰かのために」という部分も大事にしていたので、ラッピングやメッセージカードを用いて、プレゼントとしての仕上げも行いました。
振り返り
最後に、自らのコンセプトをもとに作ったクッキーの発表と振り返りを行いました。感謝を伝えたり、喜ばせたい人を各々で設定し、その人のために作ったクッキーと工夫したポイントなどを大学生と一緒に発表しました。
思い通りの形にならなかったクッキーをチョコペンなどを使って、もともとの考えに合うように表現するなど、子どもたちならではの工夫が多くみられました。
発表が終わった後は、牧野さんより、①「誰かのために」という想いから、人は何かを作ろうとすること、そして、②その表現の方法はたくさんあること、③それぞれの想いが違うからこそ色んな形のクッキーが作れたこと、というワークショップを通して学んでほしかったことを伝え、無事終了しました。
記事の終わりに
プログラミングに関するワークショップは、私にとってもはじめての挑戦でした。私たちは身近にある機器の裏で動いているプログラムやアルゴリズムをよくわかっていないまま、たくさんの機器を利用しています。裏を返せば、それだけ便利な社会で生きているということでしょうか。
プログラミングトースターは、そうしたブラックボックス化された部分に目を向けたり、プログラムすることに興味を持つきっかけ(KIKKAKE)になる最強の学習ツールだと思いました。さらに、こうしたツールが家の中にたくさんあれば、家庭の中にクリエイティブな学びの場を構築できるかもしれません。そんな未来を思い描くことができるワークショップとなりました。
また、今回のワークショップの特徴として、大学生×小学生が一緒になって学ぶということがありました。何かを学ぶ時に、他者の存在はとても大きいはずです。このような多世代や異なる視点を持った他者と一緒にプログラミングを学ぶ場を今後も実施していければと思います!
ご参加してくださった小学生のみなさん・保護者の方々、手伝ってくださった大学生のみなさん、企画・実施を支援してくださったパナソニックの高田さん、清水さん、ありがとうございました。
執筆者:
グローカル人材開発センター インターン生
大阪大学 大学院人間科学研究科 博士後期課程1年
高津 遥
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?