【企業情報】IHI/選択と集中に課題

今回はIHI(旧石川島播磨重工業)について解説していきたいと思います。IHIは三菱重工業(MHI)・川崎重工業(KHI)と共に三大重工業の一角を成しており、重電業界では非常に有名な企業です。かつての経団連会長 土光敏夫を輩出した企業としても名を馳せていますね。

1.企業概要

(参考:https://www.ihi.co.jp/ihi/ir/individual_owner/glance/performance/)
先ずは、基本データですが、2020年度予想は売上)1.4兆円、営業利益)600億円となります。営業利益率は4.5%に留まります。

IHIも構造改革に取り組んでいる企業で、近年に船舶事業から撤退し愛知工場を大同特殊鋼業に売却してます。

その反面、経営資源を航空・宇宙・防衛事業領域に集中する方針を掲げていますが、当該セグメントの売上)4,400億円、営業利益)270億円、営業利益率は6.1%とやや物足りない数字となっています。

航空エンジン向けのメンテナンス事業の新工場も稼働が迫っておりますので、今後収益率の高いメンテナンス事業でどれだけ売上規模を伸ばせるかが、当該事業成功の鍵になるでしょう。

川崎重工業、三菱重工業も航空事業に力を入れておりますが、これは新興国の所得増加に伴い、海外旅行の需要増加に起因します。旅客機を製造している企業はボーイング、エアバスが有名ですが、彼らは自分たちでエンジンを製造しているわけではありません。

GE、ロールス・ロイス、プラットアンドホイットニーといった企業がエンジンを製造しており、川崎重工業、三菱重工業、IHIはガスタービンをジェットエンジンの基幹部品として、供給しているサプライヤーになります。自動車業界の構造に例えるとティア2に位置します。

2.IHIの給与について

そんな、IHIの給与ですが、以下が一般的な例となります。

キャプチャ

大卒5年目で500万円の水準に到達します。大手製造業の平均的な給与ではありますが、基本給は総じて低めに抑えられているため、会社の規模に比べるとやや物足りなく感じます。

キャプチャ

大卒10年目で課長代理に昇進する人も出始め、ぐっと基本給が上がり年収も750万円程度の水準まで押し上げられます。

3.IHIの経営戦略

また、IHIは石炭火力発電所に不可欠なボイラー、大型産業機器に欠かせない原動機、航空機に使用されるジェットエンジンの基幹部品、棟梁(橋)、トンネルの掘削に使われるシールドなど、非常に多岐に渡る製品群を抱えています。日系重電企業の一角を占めており、戦後の日本経済発展を支えてきました。

その製品群を通じて得られる情報を活用するために、社内にICTグループを立ち上げ、技術力にプラスαする要素として、IoTの展開を今後の戦略として掲げています。

一方で、個別事業の選別には至っておらず、総花的にIoTの活用を提唱することに留まっており、どの事業とIoT技術に相乗効果が見込まれるのか、今後の事業戦略を明確にする必要があり、要するに選択と集中をより一層行うべきと著者は考えています。

4.総括

選択と集中にはもの足りなさは残るものの、事業ポートフォリオは非常にユニークであり、新興国に対して貢献できるインフラ技術がしっかり整っています。海外で活躍されたい方は就職を検討されてみても良いのではないでしょうか。

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