見出し画像

【企業情報】日立製作所/IoTへの挑戦者

いまやかつてのライバルの東芝を大きく引き離し、名実ともに日本最大の総合電機メーカーになりました。そんな日立製作所について今回は解説をしていきたいと思います。

1.日立製作所の概要

現在は業績好調の日立製作所ですが、2009年には日本製造業 *当時歴代最悪の営業利益̠−7873億円を記録しています。その業績悪化を受けて、著書「ラストマン」や日経新聞の「私の履歴書」で有名な川村隆さんが急遽バトンを受けます。現在は東京電力の取締役会長。 (*その後、2017年東芝の-9656億が製造業の歴代最悪記録となっています。)

その時に、構造改革を断行しV字回復を遂げるのですが、現在の経営陣にも当時の教訓は根付いており、時代の流れに沿う形で構造改革を継続して断行しています。

2019年3月期に関しては、売上)87,000億円、営業利益)6,690億円、営業利益)7.6%となっています。営業利益率10%を目標に掲げていますから、徐々に達成する見込みが立ってきたといえるでしょう。

2.日立製作所の給与

そんな日立製作所の年収ですが、以下が年収例になります。

キャプチャ

入社5年目時点では約700万円の年収になります。基本的に日系企業なので、就業年数に比例して給与はあがります。10年目~15年目ほどで部長代理に昇格し、年収1,000万円は超えていくようです。概ね、トヨタ自動車と比べても同水準といったところでしょうか。

キャプチャ

キーエンスなどを除き、製造業は自分達で生産設備や製造に関わる作業員を抱える必要があるため、総合商社に比べてどうしても従業員数や設備への投資金額が増える傾向にあります。そのため、従業員間の給与差や人件費予算を考慮し、総合商社ほど人にお金を充当できないのが現実です。

3.日立製作所について

業界に関しては、製造業全般で近年顕著にみられることですが、本業とITを組み合わせて生き残るため、各社必死に取り組んでいます。

現在は製造した製品を販売し、必要に応じてメンテナンスで稼ぐという流れを踏襲したビジネスモデルが定着しています。

しかし、販売した製品にセンサーを取り付け、収集したデータを分析し、結果をもとに顧客に対して提案する時代が既にやってきています。データを分析することで、いつ製品に不具合が生じるかの予測や、効率的な製品の使い方、更には製品と製品をインターネットでつなぎ合わせる事で、シームレスで最適な工場や物流の設計を提案することができるようになるでしょう。

センサーで収集したデータを分析し、その結果を踏まえた提案までできる一貫したIoT プラットフォームを築き上げることに各社注力している、ということです。

この点、日立製作所は自社でルマーダというIoTプラットフォームを提供しています。決算報告書だけ見れば順調に売り上げは推移していますが、過去にこの取り組みは世界最強の製造企業と呼ばれたGEも失敗しています。

データを収集するのは優れたセンサー技術を持つ日本企業は得意ですが、データを分析するソフトウェア技術はかなり米国、中国に比べて遅れを取っています。GEですら、このソフトウェア技術を確立することができず、開発費用を吸収することができませんでした。

日立製作所もこの事実には気が付いている様で、IT関連の世界本社は米国に置いています。そこでは、日本本社と異なる給与で従業員を雇用し、優秀なエンジニアを採用している様です。

日立製作所は事業領域が大きいですが、高利益率であり、ルマーダを活用することで、付加価値を高められる事業を選別しています。ここ数年でも、日立化成、日立国際電気、日立メディカル、日立情報通信を売却しました。

恐らく、今後はルマーダと相乗効果のない日立金属や利益率が安定しない日立建機といった企業が売却候補として入ってくるのではないでしょうか。

4.総括

近年は好調な業績でありながら、さらなる進化を求めて果敢に構造改革を押し進めている日立製作所。シーメンスやGEの後塵を拝していますが、世界のトップ集団に割って入るのはそう遠い話ではないでしょう。

伝統的な企業でありながら、進化している日立製作所で働くのは楽しいと筆者は想像します。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?