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【企業情報】武田薬品/買収後の統合が鍵

製薬業界で日本の先頭を走る武田薬品。製薬業界そのものが世間ではあまり認知されていませんが、超高給業界でもあります。本日はシャイアー買収でも一躍有名になった武田薬品について解説していきたいと思います。

1.武田薬品工業の概要

(参考:https://www.takeda.com/jp/investors/reports/)          武田薬品は2018年にシャイアーを買収発表をしました。金額は60億ポンド(日本円で約6兆8000億円)と巨額の買収なだけにインパクトは相当のものでした。2019年1月買収が完了し、今は武田薬品の子会社となっています。

2020年3月期予想は連結売上高)3兆3000億円、営業利益)4118億円としており、売上に関してはシャイアー買収の効果がでているといえます。一方で、利益に関しては、これからの統合作業でシナジーをどれだけ発揮できるかが楽しみです。現在はPMI(Post Merger Integration)に取り組んでいる最中のはずですので、相乗効果が出てくのはもう少し先の話になるでしょう。

2.Medical Representativeとは

製薬企業の職種ですが、一般的な総合職に加え、MR職というものがあります。MRとは「Medical Representative」の略で、企業が取り扱っている薬の情報を医者に届け、売り上げを拡大させる役割を主に担っています。

病院では、薬や医療機器の採用を決定するのは医者であり、彼らが意思決定を下すため、彼らにセールスを仕掛けるのがMRというわけです。(MRと総合職の給与には原則的に大きな差はありません。)

3.武田薬品工業の年収

そんな武田薬品の給与ですが、以下の通りが例になります。

キャプチャ

MRの職種で給与例を記載してますが、MRの場合は残業代の代わりに営業手当として3,500円/日が支給されるほか、(総合職でも)家賃の85%まで会社負担となります。

キャプチャ

入社10年目には、課長代理に昇進する人が増えてきますが、課長代理になれば、優に1,000万円は超えてきます。総合商社には一歩劣りますが、トップメーカーにも引けは取りません。

4.これからの製薬業界

一方で、製薬業界も大きな変革を迫られている業界です。ここ数年特に耳にしますが、薬価改定という言葉が紙面に踊ることが増えています。

この背景を理解するためには、薬剤負担、診療負担、社会保険の関係性を理解する必要があります。

まず、社会保険に加入していれば、診療費、薬剤費の7割を国が負担し、3割を自己負担することで済むようになっています。これは、国民全てが医療を受けられるように国が整えた仕組みです。社会保険は国民皆保険のため、すべからく国民のほとんどが加入していると考えてください。

一方で、高齢化社会が進展し、日本国の診療費、薬剤費は毎年積み上がり続けており、財務省が歳出抑制のためにメスを入れ始めました。しかし、診療費用は医者の収入にあたるため、医者を支持基盤としている自民党は切り込めません。一方で、薬剤費は民間企業が製造販売しているため、毎年価格を下げるように圧力をかけています。

そのため、各製薬企業が持つ国内事業の収益は厳しくなりはじめており、各企業がMR、総合職問わずリストラを図るなど構造改革を進めています。

また、同時に新薬の開発に注力してます。これは、新薬であれば特許の名のもとに利益を独占できること、並びに薬価改定の対象になりにくいためで、こういった背景を基に、武田薬品は多くの新薬の可能性を秘めたシャイアーを買収しました。

5.総括

製薬業界は、専門性が非常に高く、入社してからも様々な資格を取得する必要に迫られます。しかし、産業自体は決してなくならず、世界そのものが高齢化に向かうことから、業界の収益拡大機会は増加基調になると筆者は考えます。

また、AIの機械学習を活用し、予防医療や画像診断を自動で行う取り組みを進めている企業も増え、製薬企業をステップにそういったコンサルタントやIT企業に転職する人も増えている様です。(IBMのワトソンを活用した画像診断はかなり有名ですね。)

一見、旧態依然の業界に見えますが、大きな改革の波が押し寄せている製薬業界。専門性は間違いなく身につくので、日本トップ企業の武田薬品に就職するのも良いのではないでしょうか。

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