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何年経っても、何度見ても、心にじわっと沁みてくる映像がある。その一つが英国ヒースロー空港が作ったクリスマス映像。イギリスらしく、主人公達はテディベア。

合計3本の映像があり、最初の作品が7年前。これがリリースされた当時に見たとき「なんて人の心のヒダにフィットしてくるのだろう」と思ったことを思い出す。
それ以来、このクリスマスの季節になると、誰かがSNS上でシェアをしていて、毎年どこかで遭遇することができている。

今年もある方がX(元Twitter)で投稿していらっしゃり、「今年もまた会えたね」と思いながら、改めて見始めた。

まずは最初の作品が2016年。
タイトルは「Coming Home for Christmas」

2作目は翌年2017年。
タイトルは「Fly to someone, NOT JUST SOMEWHERE」

そして3作目が2018年。
タイトルは「MAKING IT HOME, MAKES IT CHRISTMAS」

3作どの映像も見ていて心が震えて、涙が出そうになる。

これらすべての映像でお父さんベアがWalkerのショートブレッドを買っている。特に1作目と3作目で、積み上がったショートブレッドの箱の山から一つ取ろうとして、2度とも崩しちゃうのを見るたびに「あぁー、崩れるよー」と、手を差し伸べたくなってしまう。
そして、お父さんベアがトイレから出てくるのを待っている、お母さんベアの姿や、Bagge claimで荷物をピックアップしようとして、お父さんベアが引きずられそうになり、お母さんベアが慌てる様子など、おっとりしたクマ夫婦である二人の姿で見せられると、ちょっとクスッとしながら、同時にちょっとした心配をしてしまい(映像なのにも関わらず)、無事に辿り着いて!と応援したくなる。そして、結末はわかっているのに何度も見てしまうのだ。

ちなみに、お父さんベアの名前はEdward Bairさん。1作目の中、ボーダーでオフィサーがパスポートをチェックするところで見えるんです。
bearじゃなくて、"Bair"。airともかけているのかな?

クマなのだけど、いや、クマだから、そして喋らないから、人種関係なく自分や自分の知る誰かと存在や感情を重ね合わせることが容易なのだろう。

その映像制作の裏側が見られるのがこちら。

何度見ても心が震えるこの作品の力は偉大。それぞれのシーンが、家族がいて、旅をする誰もに覚えのある、ふとした瞬間なのだろう。

それぞれのタイトルもシンプルで素敵だ。日本語にするとどうにも洗練された感じにならないのが辛いけど(苦笑)

「Coming Home for Christmas」
クリスマス帰郷
「Fly to someone, NOT JUST SOMEWHERE」
どこかに行くのではない、誰かの元へ飛ぶ
「MAKING IT HOME, MAKES IT CHRISTMAS」
家に帰ろう、クリスマスを祝うために

特に今年は、今まで見た中で最もこれらの作品が沁みた。この映像を最初に見た7年前から昨年まで、一度も思ったこともなかったのだけど、何故かこのクマご夫婦の姿が、今年は我が両親が初めてNYに遊びに来てくれた25年以上前のクリスマスの時のその姿と重なり、時間を経て忘れかけていた思い出やそれに付随する様々な感情が蘇り入り混ざり、両親が旅立った後始めて両親を思い出して泣いた。
でも、それは悲しい涙ではなくて、あの時にNYにこられてよかったね、そして寒いけれど、綺麗なクリスマスだったよねって意味のもの。
そっと感情のボタンを押されて、静かにふわっとした感覚の中で泣くことができたのは、年の終わりのこの聖なる季節に、その年のあれこれを浄化する作用さえある。涙を流す行為はストレス発散であり最高のデトックスだから。

感情のデトックスまでするとは、やるなぁヒースローベア。そして、こんなに何年も繰り返し見る人がいる映像を作ったヒースロー空港のチームは素晴らしい。

今ここでないどこかへ行きたい、久々に旅に出たい、そんな気分がやっと生まれ始めた最近、2024年は遥か25年前ぶりにヒースロー空港に降り立ってみたいと本気で思い始めている。

何かを売るのではなく、ストーリーを伝える。数年来それを言われるようになっているが、このヒースロー空港のヒースローベア映像は、とっくにそれをやっていたわけだ。というか、これこそ本質なのだ。

クリスマスイヴの今朝、今年もこの映像に出会えてよかった。

Merry Christmas Everyone🎄

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