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誰も取り残さない組織デザインが生む活力 in シンガポール

こんにちは、グローバル・エデュケーション代表の、福田聡子です。
先月3月に、東南アジア圏のビジネススクール、大学、パートナー企業を歴訪してまいりました。
訪れた国はシンガポール、フィリピン(マニラ)、タイ(バンコク)、インド(ムンバイ、デリー)、ベトナム(ホーチミン)。
計5か国6都市、アポイントメント数は何と計30個!
現地の最新の様子と、熱い勢いをお届けするため、見聞録ブログを連載できればと思っております。
第1弾は、シンガポール編です。


マリーナベイサンズを裏側から望む。全く様変わりしたエリア。

テイラー・スウィフトさんがシンガポールのみで合計6日間のアジア公演をして、
東南アジア諸国から沢山のファンをシンガポールに引きつけたことの経済効果がニュースになった直後、シンガポールに4日間滞在してきました。

EFFICIENT(効率的)

シンガポール出張を終え、フィリピンへ移動中の機内で今、
最も浮かんでくるキーワードは「EFFICIENT(効率的)」。
この一言が、シンガポール人の方々の気質、社会のデジタル化、公共サービス、交通システム、さらには日常生活のあらゆる側面にわたって見られる特徴を端的に表している。
話しをすれば、ビジネスパートナー達からお店の人までみんな弾丸トーク。
頭の回転が早く、次に何ができるかを考えている。
私に何をして欲しいのかを最初に伝えてくるので、こちらも何がしたいかを真っ直ぐに伝えると話がテンポよく進む。

デジタル化とデザイン思考

それを特徴付けているのはデジタル化された社会システムだ。
シンガポール政府は、製造業から高度なデジタル産業「のみ」を厳選して国の発展の中心に置く社会変革を推し進め、そしてその変革を遂げて浮上した。
デジタル技術の活用は、私のような訪問者に快適でアクセスしやすい体験を提供するだけでなく、
シンガポールが国の魅力を磨いて更に影響力を増していく上での大きな戦略ではないかと感じた。
滞在中の支払いは全部をiPhoneタッチレスで終わったからレシートがない。
今回のように5カ国を歴訪する身には、出張精算処理という意味でも、
レシートを無くす恐怖がないという意味でも有り難い。
ショッピング、MTG、移動全てにおいて、単独の旅行者である私のような、
シンガポール社会の仕組みをよくわかってないという意味で「弱者」にも、
ストレスなく活動ができるよう、人を介さないデジタルでのサポート
がされていた。
平たく言うと、「なんでそこまでよくわかってくれるの〜?」と言う感覚。短い時間でこんな経験をしながら、これは、デジタル化に当たって、デザイン思考が変革のデザインの中心に据えられたに違いない、とも感じていた。全ての場面において、解決するべきことを徹底的に洗い出して、特定すると言うことを突き詰めないと、この「なんでそこまでよくわかってくれるの〜?」の感覚は得られないと思ったからだ。

別の表現をすると、誰も取り残さない姿(INCLUSIVE)を目指したデザインであると感じた。
自分が弱者の時は、自然体でいようとしてもちょっと肩肘を張っていて、実は、疲れるものだ。そんなタイミングで、人に親切に助けてもらえると感動する。
しかし、何も言われなくても、他の人同様に自然にインクルーシブに大きな仕組みに取り込んでもらうと、肩肘を張らない自然体でいれるもので、結果、活力が湧き、その組織への愛着を持つ、という、Diversity Equality And Inclusion, DEIの体験となった。
(結果、気分が良くなり予定外の散財というOUTCOMEも創出された)

INCLUSIVEとサステイナビリティ

そんな感覚を持ちながら、
国立のサステイナビリティセンターに行ってみて、理解した。
シンガポールの効率性は、デジタル化の進展だけでなく、教育、サステイナビリティ、都市緑化、経済の高度化といった多方面での社会変革を通じて更に育まれてきたようだ。
これらの変革は、国民が活力ある生活を送るための基盤を作り、国際社会でのリーダーシップを確立するためのものだとのこと。シンガポールがグリーンエネルギーとサステイナビリティの分野でリーダーシップを取ること、教育の国際化を推進することは、この国が今後も繁栄し続けるための重要な要素である、とのこと。
そっか、サステナビリティの根源には「いかにみんなで生き残るか」という課題があるんだ。
サステイナビリティというと、優しい、環境保全、という印象がありがちだが、もっとその根源には「ここでみんなで生き残って行く」という未来志向の決意があるんだ。

女性ガイドさんによる1時間の、熱烈弾丸トークツアーで、政策の中のあらゆる場面で、どのように「生き残るか」サステイナブルでいるか。そのために他より一歩前に出るか、にこの精神で取り組んでいることが感じられた。

リー・シェンロン首相が2015年にグリーンイノベーション宣言で行った力強いスピーチの言葉がサステナビリティセンターに掲げられていました。その通り進んでいる様子です。

本当に解決すべき課題を解決する

本当に解決すべき課題を特定し、それを実行しながら全ての人(=国の重要な資源)にデジタル活用で活力を与えた。
そして、社会変革の時に、取り残される人がいないように大学を増やしたり、リスキルをしてできるだけ多くの人がデジタル変革に参加できるようにしたそうだ。
道理で、シンガポールで会う教育関係の人たちが、「デザイン思考を使ってこのようにしてみた」と自分たちの活動の説明を生き生きと語ってくれていた。社会変革の一員である、自分たちはいい未来を作れると信じているように感じて魅力的だった。自国民に投資をしてレベルアップしたら、更に、まずは東南アジアから人を引き寄せるフェーズに移行している。フィリピンでは、小学生の子が、大学はシンガポールに行きたいと友達同士で話しているときいた。

冒頭のテイラー・スイフトさんの例も、他の国にツアーに行く代わりにシンガポールに呼び寄せているのは、象徴的なのかもしれない。
大学もタイ、ベトナム、フィリピンに着々と拠点を作って、優秀な人が学びに来るように仕掛け始めたりしている。チャンギ空港もHUBだけど、学びもHUB。補完しあってさらに発展していく道が、見えている。

私の今日の移動、市内のホテルのチェックアウトから空港での出国審査が終わるまで、30分しかかかっていない。時計を見て驚いた。羽田では出国審査の列に1時間並んだのに。。時間がありすぎてまた、免税ショッピングをしそうになってしまった。。。危ない。
効率が社会の隅々まで浸透していると、冷たいように感じるかもしれないが、街は朝から夜まで元気。
特に、食事の場面。夜遅くまで、例えば老若男女が、美味しそうな骨付き肉にかぶりついている姿は、生命力を感じ、やっぱり人間、こうじゃなきゃ、と妙に説得力を持った光景だった。
シンガポールに限らず、苦労は買ってでもしろ、というけれど。。。苦労をするべき所が変わってきていると感じる。
楽しむ気持ちや時間の余裕を生み出すための「効率性」は非人間的というよりも、人間的だ。
本当に解決すべき課題を解決するために、デザイン思考を使い、
過去を疑い、何度も何度もプロトタイプを作っては捨てる努力をした結果、
得られる心地よさ、温かさ、人間らしさなのだな、と思った。

当社のプログラムの中でも、選抜リーダーにデザイン思考を様々な形で取り込んでいただいている。
上から与えられた問題を解決するだけでなく、顧客への徹底的な共感からニーズを定義するアプローチは、いま最も日本人ビジネスパーソンが磨くべき力なのかもしれません。

もっと知りたい方は、グローバル・エデュケーションまで!
https://www.globaledu-j.com/


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