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不活性人材は『再活性化』できるのか?

ここ数年、企業の現場において「不活性人材」の問題を耳にすることが増えています。

逃げ切り思考・受け身/指示待ち・他人事 など、
"活かされていない人材"は組織にとって頭の痛い問題です。

一体、この問題の本質は何なのか?突破口はあるのか?を探るべく、日本におけるU理論の第一人者である中土井僚氏をお迎えし、当社創業者布留川とともに「個人を活性化する組織づくり」をテーマとして、第250回グローバル人材育成研究会を開催しました。

「 40代が若手」になる時代に、Can you unlearn and relearn?

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組織において「本来のパフォーマンスが発揮されていない人材」。そもそもこうした人材が生み出されてしまう現象には、どういった背景があるのでしょうか?

この課題の大きな影響を与えているのは、「日本の雇用制度における構造的問題」です。たとえば、新卒一括採用、終身雇用や年功序列の評価制度、企業内労働組合。このような雇用制度は、日本の高度経済成長期を支えたバックボーンともなる仕組みでした。

しかし時代が大きく異なる今、この制度のひずみが隠し切れなくなっています。つまり、多くの真面目で誠実な会社員は、「どんなに高い成果をあげても評価に大きな差はつけない、一生解雇しない」という、この制度のもとでは、組織に長くいればいるほど、組織に依存してしまいやすいのです。いつのまにか自ら動いて組織や現実を変えるのではなく、居心地のよいコンフォートゾーンに安住してしまいやすい側面があります。昨今の「不活性人材」の課題そのものです。

一方で、到来している「人生100年」時代。年金受給時期は延び、80歳まで働き続ける時代がすぐそこまで近づいています。60歳が定年の時代であれば、40歳がキャリアの折り返し地点でした。80歳が定年になれば、キャリアの折り返しは50歳です。つまり、50歳は、まだキャリアが半分残っている「若手」なのです。そうした時代には、年齢と役職はイコールにならず、「若い・老いている」の概念が変わります。いかに、培ってきたキャリアにおける「これまでの成功」に捉われず、常に新しいことを学び続けることができるか"Can you unlearn and relearn?" ということが、より強く問われる時代になるのです。

依存は不活性を生む。再活性化のためには「自立」しかない

不活性人材は『再活性化』できるのか?私たちはもちろん出来ると考えています。ただ、そのためには一人ひとり自らが自立・自律的に自分自身のキャリアと向かい合う必要があると考えています。組織への依存は不活性を生む土壌を作ります。その再活性化のためには、自立しか方法はなく、そのヒントとなる新しい自立をテーマとしたキャリア論が「gALf」です。

gALfのコンセプトの詳細はこちらのブログに掲載していますが、VUCA・100年ライフの今だからこそ、「未来」を見据えて自律的に戦略的にキャリアを描くという視点がますます重要になってきています。

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後半では、U理論の日本における啓蒙と実践にも携わり、共訳書や著書も多く、リーダーシップ開発と組織開発支援を手掛ける当社パートナー講師の中土井 僚氏より、個人を活性化する組織づくりについてお話しいただきました。

「不活性が生まれる構造」を動的にとらえる

正解のないVUCA時代。今、わたしたちを取り巻く環境は目まぐるしく変化し、その対応を余儀なくされています。言ってみれば、外部環境から「火の粉」が飛んでくる時代です。

環境変化が激しいほど、私たちはこの火消しの緊急対応ばかりに追われてしまいがちです。すると、本来の成長領域である「重要だが緊急ではないこと」に手をつけている時間がない。すると、ますます仕事は後手に回り、更なる緊急の火消しに追われてしまいます。

一方、外部環境変化が求める能力水準は、より一層高度化しています。複雑化した問題を抜本的に解決できるような、問題の本質を見抜く力、課題解決力、マネジメント力、そして、リーダーシップ。それらすべてが実務の現場では求められるのに、実際の人間の能力は「すぐに」高まるとは限りません。期待が高くなればなるるほど「もっと●●しなければ」と現状とのギャップは開いていきます。するとストレスや苛立ちを慢性的に抱える状態となります。実際、このような環境で疲弊していくマネージャー層は多いのです。

本来の自己と役割の自己を統合する

では、そうした問題に対しての対策はあるのでしょうか?
中土井氏には、その「リテラシーの高め方」を3つ紹介いただきましたが、ここではそのうちの1つである「本来の自己と役割の自己の統合:オーセンティックリーダーシップをご紹介します。

私たちは社会的立場を複数持っています。電車に乗れば通勤客、会社では課長、ランチではお客さん、家ではお父さん…。気づかないうちに状況にあわせて、役割を瞬時にスイッチしています。

こうした社会的な「肩書」がついた自分は、「役割の自己」あり、「本来の自己」とは別物です。しかし、境界線が時に曖昧になってしまうことがあります。実際、ある人の不満を紐解いてみると、それは「役割」からくる不満であった、というケースもしばしばです。「役割の不満」をそぎ落としたとき、自分の本来の声は何なのか?に耳を傾ける必要があるのです。

本来の自己と役割の自己が一致していると、パフォーマンスは高くなります。自分らしいリーダーシップが発揮できるからです。しかし、大きな組織の中では「役割は果たしているが、本来の自己を生きていない」人の割合が多くなる傾向があります。さらに、事業環境の変化により成果が出ないと、どちらも満たされず、ますます不満が募ってしまうこともあります。

「本来の自己」の声に耳を傾ける

だからこそ、「本来の自己」の声は何なのか?を真剣に考える必要があります。問題処理が中心の「やらねば」サイクルに長らく身を置いてきた人にとっては、「本来の自己」の声に耳を傾けることは難しいものです。今までのキャリアで培ってきた様々なメンタルブロック(思い込み)が働くからです。しかし、このメンタルブロックを外し、創造を中心とした「やりたい」サイクルへ転換することで「自己主導型」の人材が増えていくと、パフォーマンスは伝染し、組織は活性化されていきます。このサイクルをいかに組織内に根付かせるのかが大きな課題です。

研究会当日は、中土井講師が手掛けてきた様々な組織変革プロジェクトの詳細についてもご紹介いただきました。不活性人材の真の行動変容を促すためにはどうしたらいいのか?複雑で難しい課題だからこそ、特効薬はありません。組織は結局のところ、一人ひとりの人間から出来上がっています。不確実性の高い今だからこそ、組織の一人ひとりが「自分自身の人生」としてキャリアに向き合う機会を作ることが、まさに今、問われています。

組織としてこの課題にどうアプローチするか?一つひとつの組織によって異なる複雑な課題に対して、私たちはお客様と一緒にプログラムを作りこんで解決していきたいと考えています。gALfに興味がある、また、中土井講師のプログラムや組織変革プロジェクトにご興味をお持ちの方は、ぜひ当社までお問い合わせください。

■お問合せ先: グローバル・エデュケーションアンドトレーニング・コンサルタンツ株式会社 

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■上記内容に関するお問合せは、こちらから

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