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私にとって必要な一日

6月15日(月)


一昨日は、某趣味を私が教えた子から連絡が来た。「早乙女さんから教わったことを、今は私が教えてるんですよ。後輩が弱気なこと言ったときには、それは早乙女さんの教えじゃないって伝えてます」と言われる。勝つことにこだわって鬼の形相でその趣味に取り組んでいた私はもういないけれど、誰かの記憶の中にはそのときの私が残っていて、それがまた別の誰かに伝わっていったりするのだなあと思うと、なんだかくすぐったいような不思議な感じだ。

昨日は仕事帰りに、もふもふで真っ白い超大型犬と、それにスモールライトを当てたような中型犬を散歩させている女性を久々に近所で見かけた。私は犬にも猫にもあまり興味がないのだけれど、このもふもふの超大型犬はとても目立つし、あまりに二匹がそっくりで、そしてあまりに穏やかでお利口に散歩しているのでいつもじっと通り過ぎるまで見つめてしまう。夕方に散歩させている確率が高いのだけれど、疲れて帰ってきてこの子たちに会えるととても幸せな気持ちになる。引っ越しするまでにあと何回会えるだろう。ほんの一撫ででいいからいつかさわらせてもらいたいなあと思う。



以上ふたつ、昨晩真夜中に書いた日記からこぼれたできごとを今日になって思い出したので記録しておく。



四時間ほど浅く眠って起床。芍薬はすっかり水分を失って、しなびた花びらもピンクより茶色い部分の方が多くなっている。今日は燃えるゴミの日だから処分してしまおうかとも思ったのだけれど、なぜか最後まで見届けなければならないような気がして、今日も水を換えてその花を眺めながら日記を書いている。

今日はT氏と会おうと言っていたのだけど、「疲れちゃうから」という、考え得る限り最悪の言い訳でキャンセルさせてもらってしまった。

午前中、苦手すぎる書類関係やいろんな事務手続きを一気にやる。仕事に必要な資格の取得申請のための提出書類準備と、グリーフケア検定の講習受講申し込みと、司法書士から送られてきた不動産登記にかかわる書類確認。いろんな書類を見て書いて頭がパンクしそう。コンビニと銀行と郵便局を行ったり来たりして書類のコピーや振り込みや為替購入や郵送をすませる。

定額小為替なんて買ったの、中学時代に同人グッズ通販したとき以来だ(時代!)。

午前いっぱいかかったけれど、滞りなく無事にすべての作業が完了(たぶん)。水道橋まで歩いていくと、ずっと気になっていたアイコウシャがちょうど開店したばかりで並ばずに入れた。テリヤキバーガーとアイスティーを頼む。

バンズもパテもカリカリでめちゃくちゃおいしい。フライドポテトでなくポテトチップスなのもいい。しかし朝ご飯を抜いていたのでやや食べたりず。カフェで甘いものを食べようと、神保町までさらに歩いていった。
これまた行ったことのない店に行ってみようと思って、文房堂ギャラリーカフェへ。一・二階の店舗を眺めた後三階のカフェスペースに向かうと、壁に額装された竹久夢二のポスターが飾ってあってテンションが上がる。今の家はポストカードなんかを壁にマスキングテープでぺたぺた貼っていてそれはそれで気に入っているけれど、新居にはせっかくだから気に入った絵を飾ったりしたい気がする。モンブランタルトとコーヒーを頼んだ。

タルト生地もマロンクリームもめちゃくちゃおいしくてずっしりと食べ応えがある。

まったりとタルトを味わいながらチョ・ナムジュ『ミカンの味』読了(そしてタルト生地をぼろぼろこぼす)。派手さはないけれど、思春期の女子の友人関係で起きる諍いとか約束とか、ひょんなきっかけで距離が縮まったり離れたりするかんじがとても丁寧に描かれていて良作だった。何が正しくて何が間違ってるとか、誰が善で誰が悪とか、そういう判断を読者が安易に下せないようになっていたので否応なく考えさせられた。主人公たちに共感して、ああ自分もそうだったなあと思うところも多いのだけれど、でもやはり気づくと彼女たちを見守る大人の目線で見ていたような気がする。



またひたすら歩いて、今度は有楽町に向かう。15時から献血を予約していた。食事制限していた頃は献血終了後になかなか体が回復せず、食事制限をやめた後も血液の比重が軽くて献血できなかったりしたので、かなり久しぶり。今日は無事に献血できてよかった。
成分献血は3、40分かかる。普段テレビを観ないので夕方のニュースをガン見してしまう。げっそり痩せた周庭さんを見て、拘束中にどんな目にあったのかと心配になる。Twitterで検索するとサジェストに「周庭さん 拷問」と出てきて背中が冷たくなった。
無事に献血を終えて、休憩しつつお菓子を食べて、柿の種をもらって帰宅。帰りは徒歩でなくちゃんと電車に乗って帰った。



帰宅したら、ポストに植本一子『個人的な三ヶ月 にぎやかな日々』が届いていて歓喜。ベッドに持ち込んでさっそく読み始める。家族についてや結婚についての考え方など共感することが多い。植本さんの日記はいつも、少しずつ読み進めるということができなくて、今回も一気に読了した。本編最後の、仕事最終日に帰ってこないミツくんを待っている日の日記と、それに続くあとがきがよすぎた。読み終えて、つい人にLINEをしてしまった。

T氏には申し訳なかったけれど、やはり今日は一人で過ごしてよかったと思う。今するべきことを色々とできた。私にとって必要な一日だった。週休一日で明日からまた仕事。今日はちゃんと眠りたい。

#日記 #エッセイ #読書 #カフェ #献血

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