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『エトセトラvol.2』刊行記念「We love田嶋陽子フォーエバー」に行ってきた!

2月9日(日)

久々にぐっすり眠った。午前中はルイボスティーを淹れ、メイコからもらったナッツ入りのチョコレートを食べ、森下信雄『タカラヅカの謎 300万人を魅了する歌劇団の真実』を読んだ。次年度のお仕事で宝塚とほんの少しだけ関わりそうなので、その予習である。

整体に行ってから下北沢へ。
今日は本屋B&Bで行われる『エトセトラvol.2』刊行記念イベント「We love田嶋陽子フォーエバー」に行くのだ。登壇者は同書責任編集の山内マリコさんと柚木麻子さん、そして同書寄稿者の伊藤春奈さん、王谷晶さん、堀越英美さん。司会はエトセトラブックスの松尾さん。

昨年の夏、田嶋陽子『愛という名の支配』を読んだら、過去の恋愛における自分の不可解な行動の理由がすべてわかって憑き物が落ちて、その衝撃と感動をありのままぶつけるように『エトセトラvol.2』の読者投稿コーナーにメールを書き送ったのだった。そんな、勢いしかない私の投稿を『エトセトラvol.2』紙面に採用してもらって、献本でいただいた本を繰り返し読んで、寄稿している方々のフェミニズムについての話をもっと聞きたいと思っていたので、今日のイベントは発表されてすぐ申し込み、心待ちにしていた。

まず、登壇者の自己紹介タイムがあり、田嶋陽子さんやフェミニズムに対するそれぞれの思いが語られる。田嶋さんの『フィルムの中の女』に書評エッセイを寄せた王谷さんは、現在になってもこの本に書かれた「映画の中の女」の表象についての問題が全く古びていないことに触れ、「連綿と受け継がれる女性への抑圧の歴史を自分の世代も認識しなければいけない」と言っていた。それを聞いていてふと感じたのは、フェミ関連の本を読んだり、今このイベントに参加している私たちは、フェミニズムの歴史の新しい一ページを作っているんだ、ということ。

また、フェミニズムにおいては自己開示が重要で、田嶋陽子さん自身が自分自身の経験から自分のフェミニズムを作っていった人だから、田嶋さんの言葉に触れると自分のフェミニズムを語りたくなる、というお話があった。自分も『愛という名の支配』を読んでその感想を実体験を交えて書かずにいられなかったから、それはよくわかった。
そこからの、登壇者の方々のフェミニストとしての目覚めについての話がとても興味深かった。堀越さんは、「昔から、おばさんは(自分の母親だけでなく)みんないつも不機嫌なのに、おじさんは楽しそうなのが不思議だった」と言っていた。子供時代に自分を育てた両親や親戚、そして通っていた小学校の先生たちなどの身近な大人を思いだしてみても、それは本当にそうだった。不機嫌の背景に、おばさんたちに対する社会の抑圧があるなんて、当時は全然考えてもみなかった(しかも、だからといって主婦が楽しそうにしていれば、成長して有名人になった息子に「働いていた父は大変そうだったけれど専業主婦の母は楽そうでした」なんて言われちゃったりするわけで、本当に地獄のような構造だ)。子どもの頃、私は田嶋さんへのバッシングは知らなかったけれど、そういう社会の風潮を肌で感じて、自分自身も女性蔑視を内面化していたんだなあと思う。
そして、伊藤さんが語っていた相撲業界の女が土俵に上がれない問題や、仏教とミソジニーの問題についても、もっと詳しく聞きたいという気持ちになった。イベント終了後に伊藤さんの著書『「姉御」の文化史』を買ったので、読むのがとても楽しみ。

最後にまとめとして言われていた、現在は田嶋陽子さんや上野千鶴子さんの後に続くような強烈なフェミアイコンがいないから、みんなで集合体を作っていく、誰かの放った熱に乗っかっていく、という話にもとても共感する。「集合体」というのは決して、みんなが同じ思想を持つということではない。それぞれが「私にとってのフェミニズム」を語り、それに耳を傾けたり、意見を交わしあったりすることだと私は解釈した。

今日の登壇者のテンションは様々で、山内さんが、まるで田嶋さんが憑依しているかのように田嶋さんの思想をぶわーっと語って止まらなくなっていたかと思えば、伊藤さんは常に淡々と、静かにかつ興味深い語り口で自分の専門分野について説明していた。無理に周りにテンションを合わせず、でもそれぞれの話をうんうんと聞いたり、「もっと聴きたい!」と言い合ったりしている雰囲気が、なんだかすごくいいなと思った。

前日に読んだハフィントンポストのフェミニズム(?)記事が、思いこみや無知に基づく男性の意見を女性のインタビュアーが反論せずに傾聴する、という現実世界にありふれた構図の焼き直しでしかなく、本当につらくて悲しい気持ちになっていたところだった。だからこそ、今日のイベントで(質問していた参加者も含めて)誰がどんなトーンで語る言葉も、途中で遮られたり無視されることなく、その場にいる人たちに受け止められていたのが、本当に尊いことのように感じられた。自分も、誰かが放った言葉の熱を誰かに伝えていく一人になりたいと心から思った。

イベント後に、店内で真剣に本を選んでいた柚木さんにご挨拶できてうれしかった。ちょっと忘れられないやりとりがあったのだけれど、大好きな作家さんが私だけにかけてくれた言葉だから自分の心の中にしまっておく。

帰りに乗換駅の新宿でサウナ・ルビーパレスに寄ることに。ここのサウナはしっかり汗をかくのに湿度がちょうどよくて顔が熱くなったり肌がぴりぴりすることがない。いつまでも入っていられそうな気になる。水風呂も、水がやわらかくていつまでも入っていたい。遠赤サウナでうとうとするのも気持ちよくて気づいたら20分近く経っていた。食堂で注文したミニチャプチェもめちゃくちゃ美味しくて、ミニのわりにボリュームはあるけれどこれの3倍くらいの量は食べたかった。

東新宿から大江戸線で帰宅。

#日記 #エッセイ #エトセトラ #田嶋陽子 #フェミニズム

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